天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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終章 未来へ導く光

182話 番狂わせのジョーカー

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「あれ?ライタの体は何処に?それに今の声は誰かな?」

「おいおいおい、酷いなぁ・・・アンタが俺を閉じこめた癖に俺の声を忘れるなんて少しひどすぎやしないか?メルグーン・・・いや、今は悪魔リヴァだっけ?」

 声は最も高い瓦礫の山から聴こえてきた。声が聴こえる方向に全員が一斉に目線を向ける。瓦礫の山の上にいたのは1人の男だった。

 男の姿に連合軍は喜び、中には涙する者まで現れる。

「テツロー!!」

 男の名は哲郎。雷太よりも4年前にこの世界に呼び出され、世界を悪魔の手から救う手助けをした日本人。現在はイリスの夫となり、200年間鎖国状態だったコンパスの外交に力を注いでいるコンパス国の架け橋的存在である。

「混乱と王都の崩壊に乗じて脱出できたけど、流石に危なかった。たまたま近くにいたゴルム騎士が持っていたスキル『空間移動』ってスキルが無ければ今頃死んでたよ」

 そういって哲郎は指先から小さな穴を作り出す。雷太はそのスキルで救出されたみたいだ。

「日本人・・・?てことはアンタがイリス女王の王配か」

「俺の話は既に聞いてるみたいだね。話が早くて助かるよ。君はもしかしなくても俺と同じ日本人?」

「ああ・・・そうだ」

「もしかして、五十嵐雷太君かな?」

「な、何で俺の名前を・・・?」

「いやさ、前の世界でテレビに出てた天才空手家少年と顔が似てたからもしかしてっと思ったんだけど、まさか当たってるだなんて思わなかったな。ハハッ!!」

 あったばかりなのに凄い親近感が湧く。まるで親戚のお兄さんのような雰囲気の人だ。

「とりあえず、その体だと身動きも取れないでしょ?今、助けるから待ってね」

 全身の骨が砕けているので、回復魔法で治すとしてもかなりの魔力を必要とするだろう。この人は魔力が膨大にあるタイプの人なのだろうか?

 回復魔法を待っていると、哲郎さんは俺の額に手を置いてくる。

「ちょっと痛いけど、我慢してね・・・スキルお試し『強制再生』」

「えっ・・・があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 全身に今まで味わった事のない激痛が走る。目線を下にして自分の体を見てみると、体内で粉々になった骨がまるで芋虫のように体内で動いて、元の状態に戻っているではないか。激痛が走っているのは、とにかくスピード重視で体が再生している為、再生途中で神経が破壊されたり、筋繊維が破壊してもお構い無しだからだ。

 激痛の甲斐もあってか、体はたった2分で元通りに戻った。既に全身の骨を砕かれるという激痛を耐えきったお陰でショック死せずに済んだが、精神衛生上あまりよろしくない治し方だというのは分かる。

「ごめんね、本当は魔法で治したかったんだけど、魔力と時間が無くってさ」

「全然いいっすよ。寧ろ、気が引き締まった感じがします」

「それは良かった!それじゃあ、ここから反撃と行こうか!!」
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