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3章 潜入せよ、不信と獣の領地
31話 優しい修道女さん?
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「あの・・・大丈夫でしたか?」
コルセットに掴まれた箇所を触っていると、1人の女性が声をかけてくる。修道服を着た、シフォンヌでは珍しいヒュームの女性。年齢は僕と同じくらいだろうか?
「大丈夫です。ご心配おかけしてすみません・・・」
「何を言っているんですか!?全然大丈夫じゃないですか!足に切り傷が!!」
「えっ?本当?いつの間に?」
草で切ってしまったのかな?気づいてなかったので、大した怪我じゃないと思うんだけど・・・。
「来てください!すぐに治してあげますから!!」
「ええっ!?ちょっとぉ!?」
自分の目で怪我を確認する前に修道女さんに手を引っ張られ、教会へと連れていかれてしまう。
「すみません!すぐにお薬持ってくるんで、そこに座って待っててください」
「あ、はい・・・」
折角のご厚意だ。丁重に受け取ろう。それにしても怪我なんかしていたっけか?
確認の為にズボンの裾を持ち上げ、確認するも、怪我と言えるような傷は存在しない。一体何処を見て彼女は怪我と言ったのだろう。
「そもそも、どうして長ズボンを履いてるのに怪我があるだなんて分かったんだ?」
その答え合わせは、首筋にナイフを当てられる事で、行われる。ナイフを握るのは、華奢な女性の手。
「動かないでください」
「・・・動いたら?」
「滅多刺しにします」
殺すんじゃないのか。ちょっと怖いな。顔は見えないけど、声からしてさっきの修道女さんに違いない。
「怪我は?」
「すみません、嘘です」
「目的は、貴方の素性を聞くためです」
まずいな。もう既に疑われているのか。修道女に紛争したロール騎士団の団員か?それにしては、声は震えているし、ナイフの突きつけ方も適当。個人の意思による行動なのか?
「貴方が腰に収めてる剣、その剣はなんですか?」
僕の腰には、一本の剣と、予備武器のナイフが付いている。修道女さんが言った剣は、前使っていた物ではなく、カルー将軍が愛用していた剣。申し訳ないと思いながらも勝手に使わせてもらっている一品だ。
「これは、僕の命の恩人の物だよ。それがどうしたの?」
「それは・・・私のお父さんの物です」
お父さん?つまり、この修道女さんは。
「貴女、カルー将軍・・・カルーさんの娘さん?」
「やっぱりお父さんの知り合いなんですね?」
ナイフが首から離れる。振り向くと、修道女さんは少し涙を浮かべながら僕を見ていた。
「話を聞かせてください」
「・・・ここでの会話を全て秘密にしてくれるならば、是非とも」
この邂逅は、運命なのだろうか?
コルセットに掴まれた箇所を触っていると、1人の女性が声をかけてくる。修道服を着た、シフォンヌでは珍しいヒュームの女性。年齢は僕と同じくらいだろうか?
「大丈夫です。ご心配おかけしてすみません・・・」
「何を言っているんですか!?全然大丈夫じゃないですか!足に切り傷が!!」
「えっ?本当?いつの間に?」
草で切ってしまったのかな?気づいてなかったので、大した怪我じゃないと思うんだけど・・・。
「来てください!すぐに治してあげますから!!」
「ええっ!?ちょっとぉ!?」
自分の目で怪我を確認する前に修道女さんに手を引っ張られ、教会へと連れていかれてしまう。
「すみません!すぐにお薬持ってくるんで、そこに座って待っててください」
「あ、はい・・・」
折角のご厚意だ。丁重に受け取ろう。それにしても怪我なんかしていたっけか?
確認の為にズボンの裾を持ち上げ、確認するも、怪我と言えるような傷は存在しない。一体何処を見て彼女は怪我と言ったのだろう。
「そもそも、どうして長ズボンを履いてるのに怪我があるだなんて分かったんだ?」
その答え合わせは、首筋にナイフを当てられる事で、行われる。ナイフを握るのは、華奢な女性の手。
「動かないでください」
「・・・動いたら?」
「滅多刺しにします」
殺すんじゃないのか。ちょっと怖いな。顔は見えないけど、声からしてさっきの修道女さんに違いない。
「怪我は?」
「すみません、嘘です」
「目的は、貴方の素性を聞くためです」
まずいな。もう既に疑われているのか。修道女に紛争したロール騎士団の団員か?それにしては、声は震えているし、ナイフの突きつけ方も適当。個人の意思による行動なのか?
「貴方が腰に収めてる剣、その剣はなんですか?」
僕の腰には、一本の剣と、予備武器のナイフが付いている。修道女さんが言った剣は、前使っていた物ではなく、カルー将軍が愛用していた剣。申し訳ないと思いながらも勝手に使わせてもらっている一品だ。
「これは、僕の命の恩人の物だよ。それがどうしたの?」
「それは・・・私のお父さんの物です」
お父さん?つまり、この修道女さんは。
「貴女、カルー将軍・・・カルーさんの娘さん?」
「やっぱりお父さんの知り合いなんですね?」
ナイフが首から離れる。振り向くと、修道女さんは少し涙を浮かべながら僕を見ていた。
「話を聞かせてください」
「・・・ここでの会話を全て秘密にしてくれるならば、是非とも」
この邂逅は、運命なのだろうか?
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