魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

町島航太

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3章 潜入せよ、不信と獣の領地

33話 裏切りの準備を始めよう

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「コルセットは、非常に貪欲な男です。騎士団長という地位を得たにも拘わらず、まだ権力を求めています」

「それ以上の権力って何です?」

「領主です」

「大分貪欲だなぁ・・・確かにコルセット騎士団長は強そうだけど、イヴ領主に勝てるか?って聞かれたら微妙だよね・・・」

「はい、だから今まで何もしていないんです。本当にチキンですよね、ネコ科のビーストマンなのに」

 ちょこちょこ毒を吐くシームさん。心の底から嫌っている事が分かる。

「なので、貴方が唆して下さい。イヴ・シフォンヌを倒せるんだって」

「成程、それで、襲撃する際に領主サイドに密告するという算段ですね?」

「はい。かなり危険な綱渡りとなりますが、受けてくれますか?」

「受けます。でも、その前にコルセット騎士団長に会わないと。なるべく1人の時にそんな場所とか知ってますか?」

「ええ、知ってますよ。今日の夜の12時に、このメモに書いてある場所に行ってください。必ず、コルセットに会えるので」

 シームさんからメモを渡されると、僕達は解散した。



「はぁ・・・疲れた」

 今日の業務も中々大変だった。あの虎女め、この俺様を顎で使いやがって。俺様よりも弱かったら、すぐに反乱を起こしてやるのに・・・。

「あのヒュームの小僧と言い、上司と言い、最悪だ。毎日ストレスしかたまらない」

 そんなストレスを解放してくれる品物がある。それは、酒だ。酒は良い、自分の欲望を解放してくれる。だから、今日も行きつけのバー『ショート』へ向かう。

「いらっしゃい。おおっ、騎士団長の旦那か」

「悪いが度数が強いのを頼む。今日は速く酔いたい」

「分かった。なあ、旦那。アンタに会いたいって奴が来てるぞ」

「どんな奴だ?」

「ヒュームのガキだ。何故か旦那がここに来るのを知ってた」

 ヒュームのガキ・・・まさか!!昼にやってきたディナス領の?

「個室に入ってるから、興味があるなら行きな。酒は持ってくから」

 店主が指差す先には、防音が施された個室。扉を開けて中に入ると、ノンアルコールのドリンクを楽しむガキがいた。アルフォース・ディナスだ。

「何の用だ?」

「まあ、座ってくださいよ。貴方を呼んだのはほかでもない。貴方の力を貸してほしいのです」

「力?はんっ!何が目的か分からんが、猿ごときに俺様は力は貸さないぞ!どんな事があってもな!!」

「ほう・・・では、イヴ・シフォンヌ暗殺計画はまた別の人に話す事にしましょう」

 立ち上がり、個室を出ようとするディナスのガキの腕を咄嗟に掴む。これは、もしかしたら、人生最大のチャンスかもしれない。

「待て・・・詳しく聞かせてもらおうか」

「・・・ありがとうございます」

 ディナスのガキは不敵な笑みを浮かべて再び席に座った。
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