魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

3章 潜入せよ、不信と獣の領地

41話 これが、領主としての仕事

　報告を受けて、武器を持って屋敷を飛び出すと、パウンドは、火の海と化していた。

　そこら中で一般人よの悲鳴が聞こえ、肉を裂く音が聞こえてくる。まるで戦場だ。

　更に町へと近づいていくと、兵士達が、本能の赴くまま動く獣のように唸り、人を襲っていた。

「なんだ！？何が起きているんだ！？」

「わかりません！！とにかく、一部の兵士がいきなり暴れ出しまして・・・いつもよりも凶暴になっていて手に負えないのです！」

「分かった。私がやる」

「待ってください！！我々も助力を！！」

「必要ない！！私で事足りる！！」

　両手に斧を握り、大地を踏み締める。雄叫びをあげると、理性を失った兵士達は、渡しに注目する。

「来い！！私が相手だ！！」

　例え、私の部下だろうと、理性を失い、人々を襲ったらそれは魔物と変わらない。

　第一優先は、人々の安全。私がここで、引導を渡す。

　数はぱっと見で30体。集団意識は持っていないようで、自分勝手に襲いかかってくる。

「でりゃあぁぁぁぁぁぁぁ！！」

　イヴ・シフォンヌは、シフォンヌ領の領主であり、最強の戦士である。その戦力は、兵士200人分とされており、並の戦士では勝てない。

　本能で動くようになり、身体能力のリミッターが外れた兵士達だったが、圧倒的な差はそれだけでは埋める事はできなかった。

　理性を失った兵士達は、圧倒的な力で薙ぎ倒されていき、あっという間に倒されてしまった。

　一時的にあたりに血の雨が降る。その姿に民衆は、歓喜ではなく、悲鳴を上げるのだった。

「また、悲鳴か・・・慣れてるよ」

　守ったのに、悲鳴を上げられる。慣れているが、傷つくことには変わりない。

　でも、私にはアダムがいる。彼が、私の心を癒してくれる。だが、その前に事態を始まりを聞かなけばならない。

「イヴ様！大丈夫ですか！？」

「問題ない。それよりも、何故このような事が起きた。狂気に晒された事以外で人が暴走するなんて初めてだぞ」

「それが・・・エクレイヌ様が差し入れで出した食事と飲み物を口にした兵士達があのようなことになってしまったようで・・・」

「何ぃ！？」

　怒りと反射で、兵士の胸ぐらを掴んでしまう。彼が悪くないのは頭では理解している。しかし、怒りがどうにも収まらない。

「エクレイヌは、我が親族であり、領主である私の補佐！そんな事をするはずがないだろう！！」

「おおお落ち着いて下さい！あくまで１つの共通点です！まだ、彼のせいだとは確定したわけではありません！！」

「・・・それもそうだな。すまない。なら、魔法使いを呼べ。エクレイヌが、提供したという食事はまだ残っているんだろう？」

「は、はい。少しだけなら・・・」

「調べさせろ。迅速に」

「はっ！！」

　数時間後、魔術師によって食事に見た事のない薬が混入している事が報告された。