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4章 魔王の肩書きを持つ少女

54話 緑の親友との再会

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「さてと、お疲れ様。今日はもう帰って良いよ」

「ありがとうございます。お疲れ様です」

 いつもの仕事を終えて、研究室を出て、研究所を出る。階段を降りてゴレイム一帯を見ると、同じく仕事を終えた大人達が、仲間と共に酒場へと向かう姿があちらこちらで見える。

 町を歩いていると、香辛料の効いた肉の匂いを嗅いでいると、お腹が鳴る。今日は、自炊じゃなくて、店で食べるか・・・。

「なら、あそこが良いな」

 安価で、ボリューミーな量の肉が食べられる場所と言ったらあそこしかない。給料日前でなくてもついつい食べたくなってしまう〈酒池肉林〉に行こう。

「いらっしゃい!!・・・って、アルか!!最近見なかったけど何処に行ってたんだこの野郎!!」

「どうも、店主。ちょっと仕事でシフォンヌ領を荒らしに行ってまして・・・」

「そうか!そうか!!おぅい!ゴップ!!アルが帰ってきてるぞ!!」

 どうやら、ゴップも来ていたみたいだ。奥のテーブルで元気に手を振っている。

「アル!!帰ってきたなら、オイラにも会いに来てくれよ~水臭いなー!」

「ごめんごめん。本当は会いたかったんだけど、バール様の部屋が予想以上に散らかっててさ」

 本や衣服だけでなく、魔法まで散らかしているとは思わなかった。お陰で、僕の服が一着ダメになってしまった。

「あはは!やっぱり!匂いが町まで漏れ出してたからもしかしたらと思ってたけど」

「僕以外にも掃除やらせれば良いのに」

「いやぁ、キツイでしょ。あんなヤバい研究室に行けるのはアルぐらいしかいないよ」

「また、そうやっておだてる。何も出てこないよ?出てくるのは、肉料理だけ。勿論、僕の分の」

「ちぇー」

「そういえば、今日は珍しくテーブル席なんだね。いつもカウンター席なのに」

「まあね。実は昨日友達になったばかりの子と待ち合わせしてるんだ!事前に場所を教えてるからそろそろくるはずなんだけど・・・あっ!来た!!」

 後ろを振り向くと、何となく想像していた人物が歩いてきた。魔族の住むゴレイムでは不相応な修道女の服に身を包んだヒュームの少女。

「すみません。少し遅れてしまいました・・・ってあれ?アルフォースさん?」

「やあ、どうも」

 〈酒池肉林〉を知らないゴレイムの住民はいないので、誰かがこの店を進めるとなると、ゴレイムに来た新しい人になる。

 スネイクさんは魔王様についていってしまったので、残すはシームさんのみとなる。

「お知り合いだったんですか?お二人は?」

「「親友」」

「世間は狭いんですね・・・」

「貴女がカルー将軍の実の娘だって知った時もそう思いましたよ」

「そうなの!?」

「あっ、言っちゃダメだったかな?」

「い、いえ!そんな事はございません!!私は隠し事は嫌いですので!!」

「いや、そういう問題じゃなくて既に人が集まっちゃってるから・・・」

「えっ・・・うわぁ!!」

 カルー将軍の娘という情報を耳に入れた人達が、店の中にも外にも集まっていた。

「あはは・・・慕われていたんですね・・・」

「それは滅茶苦茶」

 この日の夜はとても騒がしかった。
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