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4章 魔王の肩書きを持つ少女
76話 エンジェル
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「消去法的にバール様とミシェル様しかいないと思ってたけど、まさか、従者が裏切り者だったなんてね・・・見た感じ魔族だけど、本当に天使なのかなっ!!」
拳を押し返して距離を取り、剣を構える。魔王様が立ちあがろうとしていたけど、僕自身がケリを付けたいので、再び座ってもらった。
「裏切りとは失礼なっ!!ボクは最初からお前ら魔族に忠誠なんて誓っていない!ボクが忠誠を誓うのは、ニグン様ただ、1柱だけだ!!」
今まで無表情だったのに、感情が爆発したのか、怒りを表情に表すエンジ。
彼は、力み始めると、細部から変化が始まった。薄ピンクの肌は薄橙色に。ツノは取れ、黒白目は、白色に染まる。
背中からは純白の翼が生え始めた所で、剣でエンジの手を貫いた。
「イッッッ!!戻ってる時に攻撃してくるなんて卑怯だぞ!それでも戦士か!!」
「暗闇で不意打ちしてくるような奴が戦士とはなんぞやなんて語るんじゃない!!昨日、槍で僕を貫いたのは君だな!!」
「人類の裏切り者が、ごちゃごちゃとうるさい!!」
エンジの手に赤い槍が出現。昨日、僕とアスタロト様を襲った槍と同型の槍。収納の魔法を修めてるのか?
エンジは、その槍を僕に向かって投擲してきた。
「彼ら魔族は人類じゃないのか!?」
「あんな奴ら誰が人類と認めるか!!」
今度は槍の軌道はしっかりと見えている。難なく避けて見せた。
「いいか!よく聞け!裏切り者のヒュームよ!人類とは平和を望む者の事を言う!お前が肩入れしている魔族は、平和と平穏を阻害する畜生だ!」
「魔族が平和と平穏を望んでいないとでも思っているのか!!町の魔族達を見なかったのか?無駄な争いはしていたか?」
エンジの発言は、僕を挑発するために放っているだけ。中身などはまるで無いし、何もかもが間違っている。
「それに、君が擁護している人類だって、本当に平和と平穏を望んでいる人だけしかいないのか?望んでいるのだとしたら、魔族を迫害なんてしないぞ!!」
魔族と共に過ごしてきてはっきりと分かった事がある。彼らの第一の目的は地上での生活だ。多種族への復讐は二の次でしかない。
魔族は、己の平和と平穏の為に戦っているんだ。
図星を突かれたのか、エンジは歯軋りをして、こちらを睨みつけてくる。
「黙れ!黙れ!!ニグン様の目指す理想郷を実現する為には、不完全な魔族は必要ないのだ!!」
宙に一目では数えきれない程の槍が出現。穂先は僕に向いている。一気に取る事は不可能。だけど────。
「闇より出し黒き手よ、冷たいその手で包み込め『シャドウ・ハンド』!!」
魔法で手を増やせば問題はない。影から現れた影の手は、放たれた複数の槍を全て受け止めた。
「どの種族にも属さぬ化け物が・・・ぐぅっ!?」
悪態をついていたエンジが立膝を突き始める。表情からして辛そうで、顔色も悪い。
それも当然だろう。僕が、エンジの体を突いた時に使ったのは、魔王様から貰った毒が込められた銀の剣なのだから。
「完璧な生き物なんていないよ。僕も、魔族も、魔物も、君もね」
拳を押し返して距離を取り、剣を構える。魔王様が立ちあがろうとしていたけど、僕自身がケリを付けたいので、再び座ってもらった。
「裏切りとは失礼なっ!!ボクは最初からお前ら魔族に忠誠なんて誓っていない!ボクが忠誠を誓うのは、ニグン様ただ、1柱だけだ!!」
今まで無表情だったのに、感情が爆発したのか、怒りを表情に表すエンジ。
彼は、力み始めると、細部から変化が始まった。薄ピンクの肌は薄橙色に。ツノは取れ、黒白目は、白色に染まる。
背中からは純白の翼が生え始めた所で、剣でエンジの手を貫いた。
「イッッッ!!戻ってる時に攻撃してくるなんて卑怯だぞ!それでも戦士か!!」
「暗闇で不意打ちしてくるような奴が戦士とはなんぞやなんて語るんじゃない!!昨日、槍で僕を貫いたのは君だな!!」
「人類の裏切り者が、ごちゃごちゃとうるさい!!」
エンジの手に赤い槍が出現。昨日、僕とアスタロト様を襲った槍と同型の槍。収納の魔法を修めてるのか?
エンジは、その槍を僕に向かって投擲してきた。
「彼ら魔族は人類じゃないのか!?」
「あんな奴ら誰が人類と認めるか!!」
今度は槍の軌道はしっかりと見えている。難なく避けて見せた。
「いいか!よく聞け!裏切り者のヒュームよ!人類とは平和を望む者の事を言う!お前が肩入れしている魔族は、平和と平穏を阻害する畜生だ!」
「魔族が平和と平穏を望んでいないとでも思っているのか!!町の魔族達を見なかったのか?無駄な争いはしていたか?」
エンジの発言は、僕を挑発するために放っているだけ。中身などはまるで無いし、何もかもが間違っている。
「それに、君が擁護している人類だって、本当に平和と平穏を望んでいる人だけしかいないのか?望んでいるのだとしたら、魔族を迫害なんてしないぞ!!」
魔族と共に過ごしてきてはっきりと分かった事がある。彼らの第一の目的は地上での生活だ。多種族への復讐は二の次でしかない。
魔族は、己の平和と平穏の為に戦っているんだ。
図星を突かれたのか、エンジは歯軋りをして、こちらを睨みつけてくる。
「黙れ!黙れ!!ニグン様の目指す理想郷を実現する為には、不完全な魔族は必要ないのだ!!」
宙に一目では数えきれない程の槍が出現。穂先は僕に向いている。一気に取る事は不可能。だけど────。
「闇より出し黒き手よ、冷たいその手で包み込め『シャドウ・ハンド』!!」
魔法で手を増やせば問題はない。影から現れた影の手は、放たれた複数の槍を全て受け止めた。
「どの種族にも属さぬ化け物が・・・ぐぅっ!?」
悪態をついていたエンジが立膝を突き始める。表情からして辛そうで、顔色も悪い。
それも当然だろう。僕が、エンジの体を突いた時に使ったのは、魔王様から貰った毒が込められた銀の剣なのだから。
「完璧な生き物なんていないよ。僕も、魔族も、魔物も、君もね」
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