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第4章 竜と思ったらトカゲだった
11-2 3匹目がやってきた
しおりを挟む「ぎゃーっ」
掃き溜めの街の上空に悲鳴がこだまする。
助走をつけて白竜となり、そのまま空を飛んだ背に乗せられ、デュークは高速移動する物体に必死にしがみついた。
「落ちる! お・ち・るっ!」
『喚くな愚民が! 振り落とされたならばそれは貴様の力量不足だ!』
「むちゃくちゃ言うな!」
曇る空の下、同じ色をした翼を持つ影が、引き離すでもない速度で前方を飛んでいる。
『ふん、誘導か……この私を挑発しているつもりか!』
「アレは一体何なんだよ?」
『竜だ』
「知っとるわ!」
『私の身体を奪った人間に仕えている竜だ。間違いない』
「人間に仕える? 竜が?」
思わず聞き返したデュークに、白竜が小馬鹿にしたように言った。
『竜使いという人種がいる。魔法大国と言われたディアドラでもごく一握りの者のみが知る竜を使役する魔法則――【血の契約】を継承する精鋭集団、それが竜騎士団エルトシャン。地下組織エルトシャンの前身だ。現代に生き残る竜使いはほぼ全てこのエルトシャンの一味と考えて間違いない。貴様はシグルドの末裔のくせにそんなことも知らないのか』
「悪かったな。俺はドラゴンが大嫌いでね。そんなもんに関わる知識を得ようと思ったこともないんだよ」
『そうか。もとより人間と竜は相容れぬもの。私も人間は大嫌いだ』
「そうだろうな」
そこだけは気が合うらしい。そっけなく答えたデュークに、蒼銀の瞳はまっすぐ前方を見据えながら付け加えた。
『だが弟はそうでもないらしい。あれだけの目に遭っていながらまだ人を信じようとするとは、我が弟ながら理解しがたい』
「…………」
兄の言葉は、何となく分かる気がした。
デュークは人間だが、どちらかと言うと人は嫌いだ。
だが、カルマは人間であるデューク以上に、人に対して良い感情を持っているように見える。
『竜使いは竜騎士団エルトシャンの末裔だ。百年前の竜の反乱で帰る国を失った奴らの最終目的は、ディアドラの復興――再び人が竜を支配する世を生み出すことだ。その為にはシグルドの末裔――貴様を利用しようとする者がいてもおかしくはあるまい?』
「俺を餌にそのエルトシャンってやつらをおびき出そうとしたのか? 兄弟揃ってやってくれるぜ」
『カルマは関係ない』
「……あんたさぁ」
デュークは、慣れてきた竜の背の上で、呆れたようにたてがみを引っ張った。
「相当なブラコンだよな」
『振り落とされたいのか?』
「わーったんまたんま!」
本気で急降下を始める竜の首に、デュークは必死にしがみついた。
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