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3-2 アルフレートside
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「つまりあとはあなた方が婚約者達を幸せにするだけです!それにそれに、イアンと話してみたいです。前世がどうだったのか聞きたいんです。流石に日本人じゃないとしても、同じ地球だったのなら沢山したい話があります!」
長く長く話した後ローズリーはそんなことを言う。アルフレートは不愉快そうに眉間に皺を寄せると、興奮したようなローズリーの話をぶった切る。
「却下だ」
「どうしてですか!?」
「お前とイアンが何故仲良くなる必要がある。イアンは俺のものだ。とにかく今後の話をしよう。俺達はこの話を聞かなかった事にする。神がそのような者だと知ると王家に仕える神殿に影響が出る。神殿と信仰があるからこそ抑えられている争いもある」
「そうだね、確かに全てを公にするのは良くない。都合よく話をすり替える必要がある。邪教を利用しよう」
未だ何か言いたげなローズリーを無視して、アルフレートがそう宣言すると間髪入れずにハロルドが同調する。腐っても王族である。国に混乱を招きたくはない。
「しかし邪教を利用するのは些か不謹慎では?それに神子だけの発言では納得できないでしょう。もちろん今までの所業を含め、我々がそう言ったところで信頼は得られません」
チャールズの言葉にハロルドとアルフレート、ダニエル以外が神妙に頷いた。些かどころかかなり不謹慎である。実際に邪教に脅かされた歴史があり、その所業は震える程悍ましいものだった。贄を邪神に捧げるという名目で幼子から老人までを関係なく拐ってきては拷問や凌辱を繰り返して命を奪っていたのだ。血の滴る小部屋の中心で当時の邪教祖は心臓を片手に掲げ笑っていたというのだから最早同じ人間とは思えない。そんな邪教を利用するのは難しい。
「だが、正直創造神が邪神のようなものだろう。嘘ではない」
「そうですが、しかし……」
アルフレートの言葉にチャールズがうぅむと頭を捻る。するとローズリーが口を開いた。
「邪教でいいと思います。実際その邪教がやろうとしていた事って神のせいらしいですよ。邪教祖やってた人は薄らぼんやり未来視が出来る人だったらしく、たぶん断片的にこの世界の崩壊や、俺の受ける拷問、強姦に、婚約者達の最後やあなた方が狂った姿を見て色々と勘違いした上元々邪悪な素質があった事により、妄想が広がりそういう事を神が望んでいると勝手に判断して増長したようですし」
ローズリーが腹立たしそうに早口にそう吐き捨てた。その顔を見てディップが問う。
「君はもしかして稀に神託を受けるというレベルでなく、神の声を聞けるのか」
「えぇ、繰り返しを経験している弊害です。煩くて仕方ない。ごめんなさいと泣いて謝れば良いと思っているのか知りませんけど、今もわんわん泣いてそう訴えかけてきますよ」
ともすれば人を殺しそうな顔で天井を睨むローズリーに向かって、アルフレートは自身の血管がブチ切れそうだと思った。
「いつか神殺しを成功させたい」
「毎日そう思って色々計画を考えているので是非協力してください」
そのセリフに全員が首を重たく頷かせ、そこからは色々と大雑把ではあるが様々な策を練った。ローズリーはあまり目立ちたくないというので、婚約者達を目立たせることにして、決定打として神にも神託と言う手段で協力させることにした。
どうもローズリーは神殿から何度か神官にならないかと誘いがあったようだ。その際に念のためこの神託を伝えていたが、正直話が壮大過ぎて若干疑われている様だとの事だった。その為王家に話が上がってきていないのだろう。であればその話を強固にする為、神を動かせばいい。
ローズリーが神と会話できる神子で本当に良かったと思える。そうして様々な問題を力技で捻じ伏せるつもりで婚約者達を手にする作戦が始まったのだ。
最後までローズリーはイアンと話したいと言っていたが、決して近づくなとアルフレートは頑として首を縦に振らなかった。自身の知らない事をローズリーとイアンが仲良く話すという想像だけでも業腹であるのに、何故態々顔を合わせさせなければならないのか意味が分からない。
ちなみに神子は婚約者達を無理矢理手籠めにすることに否を唱えなかった。ただ嬉しそうに早く幸せにしてあげてくださいとニコニコ笑うだけ。そうして話が終わった後、レノックスを解放すれば泣きながら駆け寄ってその腕の中に囲われてしまった。
レノックスは腹立たし気にこちらを睨み牽制していたが、こちらも愛しい者がこの手から零れそうだったから必死だったのだ許せと訴えかければローズリーの説得も相まって渋々頷いた。万が一事を荒立てられると計画に亀裂が入る為、神子が本当に物わかりの良い者で良かったと安堵した。
そこからはもう、笑える程全てがうまくいった。まるで最初からそう決まっていたかのようにとんとん拍子に、誰もこの杜撰ともいえる計画の穴を見抜く者もおらず、婚約者達も早々に腕の中に戻ってきた。
全て解決した後に結局神子と会わせざるを得なかったがイアンが楽しそうだったので良しとする。一応詳しくは知らない体でいたし、神子とはほぼほぼ初顔合わせのような態度で居たのだがイアンは特に何かに気付く事もなかった。
自身の分からない話をされるのが嫌だったが、意外にもイアンは強制的に囲っていた間にアルフレートにきちんと全部話してくれていたので、思った以上に嫉妬に駆られなかったのも穏やかに見守っていられた原因としてかなり大きい。
この気持ちを表す言葉が幸せという以外に思いつかない事が惜しい程、アルフレートを含めた攻略対象者たちの日々には光が戻ったのだ。
長く長く話した後ローズリーはそんなことを言う。アルフレートは不愉快そうに眉間に皺を寄せると、興奮したようなローズリーの話をぶった切る。
「却下だ」
「どうしてですか!?」
「お前とイアンが何故仲良くなる必要がある。イアンは俺のものだ。とにかく今後の話をしよう。俺達はこの話を聞かなかった事にする。神がそのような者だと知ると王家に仕える神殿に影響が出る。神殿と信仰があるからこそ抑えられている争いもある」
「そうだね、確かに全てを公にするのは良くない。都合よく話をすり替える必要がある。邪教を利用しよう」
未だ何か言いたげなローズリーを無視して、アルフレートがそう宣言すると間髪入れずにハロルドが同調する。腐っても王族である。国に混乱を招きたくはない。
「しかし邪教を利用するのは些か不謹慎では?それに神子だけの発言では納得できないでしょう。もちろん今までの所業を含め、我々がそう言ったところで信頼は得られません」
チャールズの言葉にハロルドとアルフレート、ダニエル以外が神妙に頷いた。些かどころかかなり不謹慎である。実際に邪教に脅かされた歴史があり、その所業は震える程悍ましいものだった。贄を邪神に捧げるという名目で幼子から老人までを関係なく拐ってきては拷問や凌辱を繰り返して命を奪っていたのだ。血の滴る小部屋の中心で当時の邪教祖は心臓を片手に掲げ笑っていたというのだから最早同じ人間とは思えない。そんな邪教を利用するのは難しい。
「だが、正直創造神が邪神のようなものだろう。嘘ではない」
「そうですが、しかし……」
アルフレートの言葉にチャールズがうぅむと頭を捻る。するとローズリーが口を開いた。
「邪教でいいと思います。実際その邪教がやろうとしていた事って神のせいらしいですよ。邪教祖やってた人は薄らぼんやり未来視が出来る人だったらしく、たぶん断片的にこの世界の崩壊や、俺の受ける拷問、強姦に、婚約者達の最後やあなた方が狂った姿を見て色々と勘違いした上元々邪悪な素質があった事により、妄想が広がりそういう事を神が望んでいると勝手に判断して増長したようですし」
ローズリーが腹立たしそうに早口にそう吐き捨てた。その顔を見てディップが問う。
「君はもしかして稀に神託を受けるというレベルでなく、神の声を聞けるのか」
「えぇ、繰り返しを経験している弊害です。煩くて仕方ない。ごめんなさいと泣いて謝れば良いと思っているのか知りませんけど、今もわんわん泣いてそう訴えかけてきますよ」
ともすれば人を殺しそうな顔で天井を睨むローズリーに向かって、アルフレートは自身の血管がブチ切れそうだと思った。
「いつか神殺しを成功させたい」
「毎日そう思って色々計画を考えているので是非協力してください」
そのセリフに全員が首を重たく頷かせ、そこからは色々と大雑把ではあるが様々な策を練った。ローズリーはあまり目立ちたくないというので、婚約者達を目立たせることにして、決定打として神にも神託と言う手段で協力させることにした。
どうもローズリーは神殿から何度か神官にならないかと誘いがあったようだ。その際に念のためこの神託を伝えていたが、正直話が壮大過ぎて若干疑われている様だとの事だった。その為王家に話が上がってきていないのだろう。であればその話を強固にする為、神を動かせばいい。
ローズリーが神と会話できる神子で本当に良かったと思える。そうして様々な問題を力技で捻じ伏せるつもりで婚約者達を手にする作戦が始まったのだ。
最後までローズリーはイアンと話したいと言っていたが、決して近づくなとアルフレートは頑として首を縦に振らなかった。自身の知らない事をローズリーとイアンが仲良く話すという想像だけでも業腹であるのに、何故態々顔を合わせさせなければならないのか意味が分からない。
ちなみに神子は婚約者達を無理矢理手籠めにすることに否を唱えなかった。ただ嬉しそうに早く幸せにしてあげてくださいとニコニコ笑うだけ。そうして話が終わった後、レノックスを解放すれば泣きながら駆け寄ってその腕の中に囲われてしまった。
レノックスは腹立たし気にこちらを睨み牽制していたが、こちらも愛しい者がこの手から零れそうだったから必死だったのだ許せと訴えかければローズリーの説得も相まって渋々頷いた。万が一事を荒立てられると計画に亀裂が入る為、神子が本当に物わかりの良い者で良かったと安堵した。
そこからはもう、笑える程全てがうまくいった。まるで最初からそう決まっていたかのようにとんとん拍子に、誰もこの杜撰ともいえる計画の穴を見抜く者もおらず、婚約者達も早々に腕の中に戻ってきた。
全て解決した後に結局神子と会わせざるを得なかったがイアンが楽しそうだったので良しとする。一応詳しくは知らない体でいたし、神子とはほぼほぼ初顔合わせのような態度で居たのだがイアンは特に何かに気付く事もなかった。
自身の分からない話をされるのが嫌だったが、意外にもイアンは強制的に囲っていた間にアルフレートにきちんと全部話してくれていたので、思った以上に嫉妬に駆られなかったのも穏やかに見守っていられた原因としてかなり大きい。
この気持ちを表す言葉が幸せという以外に思いつかない事が惜しい程、アルフレートを含めた攻略対象者たちの日々には光が戻ったのだ。
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