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小魚、仕上がる

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「随分と派手な技だが、リズ、処理できるか?」

「当たり前じゃない。この程度ならアリスの力を借りるまでもないわ」

「私としてはそれだと面白くないんですけどね……」

 リズが俺たちの前に立ち、蒼炎を出現させる。
 前にリズが使っていた魔法は大蛇だったか。

 あれも大層強い魔法に見えていたが、今リズが展開している魔法に比べたら全然大したことないない。

「炎なんて一瞬で消滅させてあげるわ。これでも、くらいなさい!!」

「蒼炎-獄龍-」

 さらに炎が拡大する。
 リズが出現させたのは蒼き炎のドラゴン。全長10メートル近くある化け物だ。

 アリスは支援魔法を使ってないのにこの規模だ。使ったらどんなことになるかわかったもんじゃない。

 獄龍は水の精霊が俺たちに向かって放った水の柱を炎を吐いて消滅させた。

「え?……え?」

 あまりの光景に、水の精霊が戸惑っているのがわかった。水が炎に負けるなんてこと想定していなかったんだろう。

「アリス! でかい一撃を入れるから支援魔法をかけてくれ!」

「分かりました!」

 アリスが前とは違う支援魔法を大量に俺に付与する。身体中から複数の光で輝いた。

 何がどう強くなってるのかわからないが、そんなのは技を打ち込めば分かるはずだ。

 俺は新しく入手したスキル、ドラゴニックオーバーフローを発動させる。

 この技は、俺の姿を変化させる技だが。
 有り体にいって、一つ進化した状態になることが出来る。

 実際の進化先とは別なんだろうが、すべてのスペックを強化するスキルだ。

 その効果は、アリスの魔法によって飛躍的な効果を発揮する。

 身体は5メートル近くになり、見た目も今までのものとは明らかに違う。ドラゴンの王だといわれてもしっくりくるような、そんな厳つい身体になった。


「こ、これウィズなの?……。モンスターにしか見えないけど」

「思わず攻撃しちゃいそうになるぐらい凶悪な見た目ですね……」

 味方すらそう感じるぐらいらしい。
 俺の見た目はよほど圧がすごいことになってるようだ。

「そんな見た目になったからって、実力が変わるわけじゃないでしょ!」

 水の精霊はさっきとは違い、巨大な水柱を一本だけ生成する。分散攻撃じゃなくて、絞ってきたか。

「ゴールデンカムイ」

 殴って水を破壊しても良いが、それでは面白くない。
 ここで、全て終わらせてやろう。

 スキルを発動させると、黄金の身体に身を包まれる。
 そして、一度だけ使用出来る黄金のレーザーを最速で射出する。

「なっ!?」

 そもそもアリスの支援魔法で光っているところに、さらに金の光が加わってるだけなので見た目に変化はない。

 水の精霊からすればいきなり黄金のレーザーを吐き出されただけだ。

 ほぼノーモーションで打ち出された黄金のレーザーは水の精霊が作り出した水柱を突き破り、そのまま水の精霊もろとも破壊する。

 絶対破壊の一撃と化したゴールデンカムイによって、水の精霊のHPが激減した。

 そこに、リズとアリスがタッグを組んで魔法を打ち込む。
 俺の攻撃によってすでに満身創痍だった水の精霊は、そのまま消滅していった。

「終わったわね」

「早かったですね」

「本当にな……」

 掲示板に書かれていた超強力なボスとの噂はいったいなんだったのか。体感的にはただ雑魚狩りをしただけだ。

 もし、あれが強いモンスターなのだとしたら俺たちの力は他のプレイヤーとは比べもにならないものになっているに違いない。

「と、とりあえずみんなが強くなったってことは分かったし良しとしようじゃないか」

「そうね。本来の目的はボスを倒すことじゃないし、後は三人でイベント首位取れるように頑張りましょ」


 かくして、目的を達成した俺たちは街へと戻る。
 イベントまでもう時間はない。あとはコンビネーションを鍛えるだけで良いだろう。
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