料理人が始める最強冒険者生活。チートスキルでモンスターを瞬間調理できるようになった件

しのこ

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第六話

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 市長の家を出て、冒険者登録をするためにギルドへ向かう道中、街の人たちはすでに俺がミノタウロスを倒したことを知っている様子だった。

「遠目に見ても怖かったのにどうやったんですか!? 冒険者じゃないんですよね?」

「僕を弟子にしてください! お願いします!」

「あんなガキが本当に倒したのか? 何かの間違いだろ」

 色んな人が僕に注目を集める。
 居心地はとても悪い。

「おい! こいつは見世物じゃねーぞ! 何もないからいちいち寄ってくるんじゃねぇ!」

 歩いては群がられ、歩いては群がられを繰り返していたが、いい加減うっとうしくなったのかルーさんが声を張り上げて野次馬達を追っ払ってくれた。

 さすが知名度も迫力もあるルーさんが言っただけあって、野次馬達は踵を返していく。

「ありがと、ルーさん」

「あんなの気にしてたらこれから先やってられねーぞ。あの力を使えばハルは魔王を倒して英雄にだってなれるんじゃないか? ガハハハハッ!」

「あはは、そんなことないって」

 豪快に笑うルーさんに、合わせて笑うしかなかった。
 今回はミノタウロスを倒すことは出来たけど、俺がなんであんなことを出来たのかもわかってないし、俺は冒険者としての力は何一つもってない。

 いきなり魔王がー、なんて言われても何も実感が湧かなかった。
 まぁ、多分ルーさんも本気で言ってるわけじゃないだろう。

 そんな他愛ない話をルーさんとしながら進んでいくと、ようやく目的地である冒険者ギルドに到着した。そのサイズはとても大きく、石造りで立派な建物だ。


 冒険者ギルドの中には掲示板が張られていて、そこで依頼を受けたり、冒険者が情報収集や飲み会なのでたむろっているので常に相当な人数で賑わっている。


 ここは居酒屋としても機能しているので何度も中に入ったことはあるけど、こういった形でくることになるとは思ってもいなかったなぁ。

「ギルドの姉ちゃんはママじゃないから甘えんなよ? あんまりな対応だとミルク出されちまうぞ」

「子供じゃないんだからそんなことにはならんからな!」

「それだけ言い返せれば上等! 別に大したことしないんだからいつも通りで良いんだよ」

 街の荒くれどもが集う場所だ。
 形式ばったことなんて何一つないし、マナーなんてないに等しい。

 俺が少し固くなっていたから、ルーさんが気を遣ってくれたみたいだ。
 ルーさんに言い返して気持ちも少し落ち着いたので、さっそく冒険者登録するために冒険者ギルドの中に入る。

 街であんな騒ぎがあったのに、中は相変わらず騒がしい。
 いつも通り、冒険者ギルドの中では冒険者達が楽しそうに飲み会を開いていた。


「おぉ、ルーにハルじゃないか! さっきは大活躍だったらしいな!」

「俺は何もしてねーよ、活躍したのはこいつ」

 ルーさんが親指を立てて俺を指さす。
 ギルドに入ってすぐに話しかけてきたのはこの冒険者ギルドのマスターであるシュドナイさんだ。
 肉付きがよく、顎鬚がダンディな35歳だ。

 シュドナイさんも元々は凄腕の冒険者だったけど、モンスターを討伐していた時に負った傷が原因で数年前に引退したんだ。俺の店にもよく通ってくれていた常連だったから顔はよく知ってるし、何度も話したことがある。


「なんか俺が聞いてる話とずれてるなぁ。ハルって戦えたのか?」

「いや、無理だよ。俺が非力なの知ってるでしょ?」

「だよなぁ! でもそれならどうやってミノタウロスを倒したんだ? かなりでかい奴って聞いてるけど」

 当然の疑問だ。
 戦う力のないやつが1人で巨大なミノタウロスを倒したなんて普通だったらありえない。シュドナイさんに関しては俺が戦えないことも知っているし、より疑問に思ってるだろう。

「いつも使ってる調理スキルで倒せたんだよ。触れたら部位ごとに分解できた」

「そんなバカな……。ハルのスキルってそんな力だったっけ? 確かに料理出すのに便利だとは思ってたけど、生物まで分解できたのか」

「死んでる奴を分解したことはあったんだけど、俺もこんなことが出来るなんて知らなかったんだよ。まぁ、さっき初めてできただけだしまぐれかもしれないけど」

 さっきのがまぐれだったら本当に怖い。


 一度ルーさんについてきてもらって、そこでちゃんとスキルが発動するのか試した方が良いな。
 ルーさんにとっては面倒かもしれないけど、ちょっと付き合ってもらおう。

「そういうわけでハルをここに連れて来たんだよ。この能力が確かなら冒険者になれるだろ? 冒険者登録しとかないとおちおち狩りにもいかせられないからな」

「そいつは間違いねーなぁ。俺としてはハルが冒険者になるのは大歓迎だが、あんまり無茶させんなよ?」

 手数料はかかるが、冒険者ギルドに登録しておくことで緊急避難信号を出すことが出来たり、色々便利な機能があるので、冒険に行く人は絶対に登録しなければいけない。

「そんなの分かってるよ。とりあえず今日はハルの力を試しに少し行って来るだけだ。早速登録させてくるわ」

「おう、それじゃハルの活躍に期待してるぞ」

「が、頑張るよ!」

 シュドナイさんは言い残すと場を去っていった。


 それを見たルーさんも登録させるために俺を受付に引っ張る。狩りの付き添いを頼もうかと思っていたけど、一緒についてきてくれるみたいだ。あとで美味しいご飯をご馳走しよう。


「それじゃ、さっさと登録して狩りいくぞ。俺ももう一度ハルのスキルを見てみたいからな」

「う、うん。俺もあれが本当だったのか今でも信じられないし、早く試したい」

 あれを自由自在に扱いたい。
 ピンチにならないと発動できないとかやめてくれよなぁ……

 そんな微妙に不安な気持ちを持ちつつ、俺はルーさんと一緒に登録をし、そのまま狩りに向かうことにした。
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