料理人が始める最強冒険者生活。チートスキルでモンスターを瞬間調理できるようになった件

しのこ

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第八話

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翌日、俺は店長に昨日のことを告げた。
 当然驚いていたけど、昨日の出来事は店長の耳にも入っていたらしい。
 俺はその時のことを説明すると、店長は興味深そうに俺の話を聞いてくれた。

 急にこんな話をぶっこまれても信用なんて出来ないだろうけど、昨日の件は目撃者が多数いる。
 多くの人から証言があれば信憑性も増すだろう。

 昨日の件を全て説明して俺は本題に入る。
 冒険者になるって話だ。

 ただ、昔俺が冒険者を目指していたということを店長は知っていたので、俺が旅立つことを快く了承してくれた。


「頑張って来いよ。無理だったらいつでも戻ってきていいからなぁ!」

「はい! 長い間お世話になりました!」

 本当は色々引き継いだりしなきゃいけないんだろうけど、店長がそんなこまけーことはいいから自分の力をぶつけて来いって言ってくれた。

 ありがてぇ。あぁ、体よく追い出されたとかではないからね?
 あんな便利スキルを持ってたから、これでも仕事は人並以上に出来たんだよ。

 大変だと思うけど、店長は俺が気にしてるのを分かって豪快に言ってくれたんだと思う。
 それだったらその優しさに甘えさせてもらおう。
 俺はやれることを全部やってみる。

 店に背を向けて店の外に出る。
 俺が十年以上お世話になった店ともこれでおさらばだ。
 今までいろんなことがあって思い入れもあるけど、俺は違う道に進みます。

「ありがとうございましたッッ!!」

 店に向かって深々と一礼する。
 周りにいる人に変な目で見られているのは分かるけど、一番自分がお世話になった場所だから、最後の挨拶はしっかり決めた。

 ◆

「さて、それじゃさっそく冒険者ギルドに行って依頼を受けに行こう」

 店への挨拶を終え、一人で冒険者ギルドに来た。
 今回冒険者ギルドに来た理由は依頼を受けるためだ。

 冒険者は基本的に冒険者ギルドから出される依頼を受け、それを達成して生計を立てる。
 階級はE,D,C,B,Aと右にいくにつれて高くなり、自分の階級以上の依頼は受けることが出来ないようになっている。

 階級は依頼を達成することで上昇させることができ、それを確認するためにギルドカードと呼ばれるものがある。このカードは登録主の討伐数などをカウントする能力が秘められているので、それでギルドの依頼を完了したのか判断するのだ。

 さっそく依頼を受けるために掲示板の元へと向かう。
 冒険者ギルドの中はいつも通り混み合っており、掲示板の前なんてさらに人口密度が高くなっている。
「おい! その依頼は俺がさきに目をつけてたんだ! 取るんじゃねぇ!」
「うるせぇ! さきに依頼書を取ったもんがちだろ!」


「うるさーい! 喧嘩するならギルドの外でやんなさいよ! もし続けるなら私が相手になるわよ?」

「げぇ、クリスかよ。悪かったから見逃してくれ」

「わ、悪かったって。もう大人しくするから勘弁してくれ」


 当然だけど俺は一度も掲示板のところに来たことはないので、今回が初体験だ。
 目の前でこんなことが起きるなんて思っていなかったのでワタワタしていると、青髪の女性が屈強な男たちの間に割って入ると、あっという間に喧嘩を抑え込んだ。

 女性とりては身長が高く、170センチ近くはあるだろうか、その態度も相まってとてもかっこよく見える。



「す、すごい……」

「気にしなくて良いからねぇ。初心者さんを守るのも私達冒険者ギルドの職員の仕事なんだからさ」

「ありがとうございます……かっこいい……」

 クリスさんがにこりと満面な笑みを浮かべたので、目鼻立ちがはっきりしていて美しい顔におもわずみとれてしまった。ポロリと本音が漏れてしまったが、クリスさんは少し引きつった笑みを浮かべた。

「それで、君は依頼を受けに来たんだよね? どの依頼を受けに来たの?」

 クリスさんが諍いを止めてくれたおかげで、今は依頼掲示板の前が今までよりもすいている。
 すぐに人がごちゃごちゃして目当ての依頼を探しにくくなるだろうし、さっさと探しちゃおう。

 今回俺が受けようと思っているのはバーストチキンの討伐だ。体長70センチ程度の真っ赤な鶏なのだ。こいつの依頼の難易度は最低ランクだが、それは討伐に限ってのことだ。

 バーストチキンの肉はとても美味で高値で取引されている。それは討伐は出来ても綺麗に確保することが出来ず、自分の身が窮地に陥ると自爆するからだ。

 その状態になる前に一瞬で仕留めなければいけないので、討伐難易度は低いわりに肉の値段が高値で取引されている。普通の冒険者なら一番最初に受けるような依頼ではないけど、俺の能力があれば討伐に一番適したモンスターだ。

「これを受けたいです」

「バーストチキン討伐かぁ。君、これが初めてみたいだけど本当に大丈夫なの?」

 掲示板に貼られていたバーストチキンの依頼書を剥がしてクリスさんに依頼書とギルドカードを提出すると怪訝な顔を向けられてしまった。

 俺のギルドカードにはまだ何も記載されていないので、これが一番最初の依頼であるということがぱっと見で分かってしまう。バーストチキンはその質の悪い習性のせいで最下級の依頼でもトップクラスの危険が伴う。

 クリスさんはお前初めてなんだったらもっと楽な依頼にしろよと目で訴えてきてるんだろう。
 その心配はありがたいけど不要だ。

「大丈夫ですよ。ちょっと特殊なスキルを持ってるんで」

「それなら良いけど、無茶はしないようにね」

 ギルドカードには個人が所有するスキルがどんなものまでかは記載されないし、それを聞くのはマナー違反とされている。俺がクリスさんに平気であるという旨を伝えると、渋々ながら引き下がってくれた。

「大丈夫ですよ。初めての依頼ですしばっちり決めます」

「それじゃバーストチキン5羽の討伐をお願いします。依頼の期限は3日以内になってるから、強から3日以内に冒険者ギルドに報告に来てね。来ないと依頼失敗になっちゃうから」


「了解しました! それでは、頑張ってきます」

 依頼も無事受けることができたので、心配そうなクリスさんに背を向けてギルドから立ち去る。


「よっし! 頑張るぞー!」

 ギルドを出て空を見上げると、どんよりと黒い雲が空にかかっている。
 太陽が出る気配もなく、街もどことなくくらい雰囲気だ。
 初めての冒険なので快晴の中気持ちよく狩りに行きたかったけど、仕方ないか。

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