生贄として神の雷を受けた少年、全て吸収して最強の雷魔術師になる。

しのこ

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出会い

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「今までこんなに大きく村を出ることはなかったからなぁ……。さすがに怖くなってきた」

 村の外に狩りに行く事はあっても、それまでだ。
 都市の姿を遠目に見たぐらいなので、どんなものなのか想像も出来ない。

「雷は、なんだか使えるようになってるな」

 さっきの戦い以降、神の雷を自由に扱うことが出来る様になっていた。

 これならモンスターがいつ襲ってきてもさっきのように瞬殺できる。ただ、いまいち加減が出来ない。

 あたり一帯を破壊するような攻撃しか出せないので、練習が必要だ。


「きゃぁぁぁぁあ!!?」


 雷の練習をしながらアトラダムを目指していると、女性の声が聞こえてきた。

 少し先に森があり、おそらく音源はそこだと思われる。初めて村の外の人に会うのは緊張……とか言ってる場合じゃなさそうだ。

 何かに襲われているのかもしれないし、現場に急行しよう。

 ◆

 ガザガサと木をかき分けて進んでいくと、叫び声の女性とは他に別の声も聞こえてきた。


「ケケケッ! お前達命もこれで終わりダァ」

「私たちを相手に一人でここまでやるとは……!! こいつ、強い」

「人間にしてはお前達も頑張ってるけどナァ! 所詮は人間の域を超えられてないんだヨォ!」

 むむ。もしかして、女性が変態に襲われているのか!?
 現場についたのでこっそりら様子を見てみると、漆黒の翼を持つ男? に女性二人が痛めつけられているようだ。

 二人はボロボロになっていて、片方は地面に倒れている。死んでいるわけではなさそうだけど、大ピンチだ。

「この一撃で終わりダァ!! 死を齎せ、デットストライク!!」

 真っ黒な球体が出現したと思うと、それが女性に向けて放たれる。明らかに異質な攻撃なのは感じ取れた。

 あの攻撃を直撃したら間違いなくあの二人は死ぬ。
 助けるなら今しかないな。

 行くぞ、神白雷

「蹴散らせ!!!」

 対象はいまいち定まらないが、女性さえ守れればあとはなんでも良いのだ。俺は雷を放ち、黒い球にヒットさせる。

 よほど強力な魔法だったらしく、この雷を持ってしても黒い球はバチバチと音を立てていたが、すぐに黒い球は消滅した。

「だ、誰だ!?」

 横から突如放たれた雷に、男が驚いた様子で俺の方をみる。

「横から失礼するよ。女性に乱暴しているのはさすがに放っておけなかったんでね」

「す、すごい……」

「に、人間!? 俺の魔法を、人間が打ち落としたというのか!?」

 雷で作った焦げた道をゆっくり歩くと、男は驚愕の表情、女性はぼーっとした表情で俺をみる。


「あぁ? さっきの変な球を打ち落としたのは俺だぞ」

「へ、変な球だぁ? なめやがって」

「そこのお姉さん。俺はあんたを助けたいんだが、構わないか?」

「は、はい! こいつにつけ狙われ、姉が私を庇って負傷したんです! なんとか、お助けください!!」

「た、たすけ、て……」

 襲われてたのはこの子の姉妹だったのか。
 絶対に助けねば。

「分かった。助けてやるからそこで寝てろ」

「人間風情ガァ!! 調子にのるナァぁぁぁあ!!」

 キレた男は目を真っ赤にしたと思うと、さっきとは比べものにならないほど大きな黒い球体を生成した。

 そのまま球を俺に飛ばしてくる。

「頼むぞ。神白雷」

 手を前に突き出し。出来る限りの思いを込めて雷を解き放つ。

 いままでとは比べものにならいほどの爆音を立てたあと、雷が球体を破壊し、そのまま男は跡形も残らないほど消し炭になった。

 森には数十メートル規模の焦げ跡が残る。

「終わったか」

 意外にあっけないものだ。
 いや、それほどまでにこの雷が強いということか。

「た、助かりました!! あなたがいなければ私たちは二人とも殺されていたことでしょう」

「気にするな。通りがかっただけだ」

「この魔の森を通りがかるとは……。さぞや高明な魔術師とお見受けします」

「い、いや? 俺は冒険者じゃないが。それよりも、姉のことは良いのか?」

「すでに治癒魔法はかけています。少し時間はかかりますが、問題ありません」

「それなら良かった。あぁ、俺の名前はトール。君に少し聞きたいことがあるんだけど良いかな?」

「もちろんです! 何でも聞いてくださいな」

 よし、これで情報を入手することが出来るぞ。
 結果的に窮地を救ったようだし、嘘はつかれないだろう。

 これから先どうすれば良いのかもこれで方針がたつ。
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