生贄として神の雷を受けた少年、全て吸収して最強の雷魔術師になる。

しのこ

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旅立ち

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「村に戻ろう……ってみんな無事かなぁ……」

 あたりを見ても黒こげになっている大地が広がってる。生贄の祭壇まで多少距離があったとはいえ、心配だ。

 あたりの地形もだいぶ変わってしまっているけど、あくまで慣れた土地だ。

 村に戻るため、俺は帰路についた。



 ◆


「う、嘘だろ……!?」

 そして歩くこと10分。
 俺の目の前には信じがたい光景が広がっていたのだ。

 あの神が落とした雷は俺の村にも落とされていたようで、村は少しぼろ家が残っている程度でほとんどが消し飛んでいた。

「だ、だれか!! 誰かいないのか!!」

 必死に声を張り上げても誰からの返事もない。
 これが現実だとは分かってるけど、それを理解することを俺の心が拒んでる。

 村を助けるために生贄になったのに、結果的に村をこの形で滅ぼしたのは俺が原因だ。くそ!!


 それでも生存者がいないかと村をくまなく捜査する。
 ぼろ家の下敷きになっているかも、少し離れた位置から帰ってくるものは? 

 全て探したが、結局村の生存者を見つけることは出来なかった。


「ガァァァア!! ガァァァア!!」

 俺が打ちひしがられていると、耳障りな音が俺の耳に届いた。そちらを見てみると、いるのはモンスターだ。

 土色のトカゲで、目をぎょろぎょろとさせていて君が悪い。大きさは5メートル近くあってかなりの大物だ。

 村が残っていれば、村人総出で倒しに行くような強さはある。

 どうやら、このデカブツは雷を逃れて運良く生き残ったらしい。
 こんな化け物じゃなくて、村の誰かが生き残ってくれれば良かったのに!!

「お前、俺のことを狙ってるのか?」

 どうやらこのトカゲは俺のことを捕食したいようだ。舌をちょろちょろと出して俺の様子を窺っている。

 俺が、こんな思いをしてるときに!!
 憎い。このクソトカゲめ。

 なんとか出来ないだろうか。
 村のみんなが死に、それと一緒に旅立てるならまだしもこんなわけのわからんトカゲか食われて終わりなんて勘弁だ。



 俺の中で憎しみが増幅されていくのと同時に、体から電気が迸っているのが分かった。


 パチパチと音をたてて、俺の全身を駆け巡っている。
 これは、さっきの雷?

 どこに消えたのかと思っていたけど、俺の中に内包されていたのか。


「ガァァァア!!」

 そんな俺の状態も関係なしに、トカゲは俺のところに突っ込んでくる。バタバタも音を立てて情けない姿ではあるが、サイズかサイズなので動きは速い。


「やってやる。やってやるさ」

 もし俺が神の雷を使えるとするなら、その力を使ってやる!!


 突っ込んでくるトカゲに意識を向け、片手をトカゲに向けて突き出す。

 すると、頭の中に言葉が流れ込んできた。

『使いこなせ。神白雷。思いのままに使え』

 やる。やってやるさ。
 こんなトカゲに食われて終わりになんてならない!!

「来い!! 神白雷!!」

「ガァァァ!!?」

 俺の手から放たれた白い雷はトカゲを突き抜け、一瞬でまるこげにした。

「や、やったのか……なんて力だ」


 こんな力を手にしているとは思わなかった。無事勝利を収めることはできたが、自分の力が恐ろしい。

 近くで焦げた臭いを出してるトカゲをみて、自分でやったのに身震いしてしまった。

「でも、これからどうしようか」

 村は焼け焦げてしまっているし、この近くでの居住は出来そうにもない。

 あたりを見ても草木もないし、生きるためには住む場所から探さないといけなさそうだ。

「行くか、帝都アトラダムに」

 村から出たことはなかったけど、村を北に真っ直ぐ行った先に巨大な都市があると聞いたことがある。

 道中険しいだろうが、助かるためには行くしかないだろう。


 俺は村人達の冥福を祈った後、帝都アトラダムに向けて出立した。
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