4 / 5
第4話:帰還
しおりを挟む
結構な距離を走り抜けていたので時間がかかってしまったが、ようやく村まで戻ってくることが出来た。村には相変わらず古臭い木で作られた家が雑多に立てられており、家の中から光が漏れている。
あちこち行っていたせいでかなり時間が経ってしまったみたい。すでに日は暮れているせいで、みんな家の中に入っているんだと思う。家の外に出ている人はすでにいなかった。
今、僕は村の入口を示す門の前に来ている。ここを入れば僕の村だ。だった、にならないことを信じたいけど……期待はしないほうが良いかもしれない。
高まる鼓動を抑え、ゆっくりと門をくぐる。
もちろん一人ではない。僕の後ろにはスライムが付いてきている。
「大丈夫かな、大丈夫であって。信じてるからね、父さん、母さん」
誰から返事があるわけでもないが、思わず唱えてしまう。
10年間、ずっとお世話になった母さん。
今日も僕が出発する前に優しく抱きしめてくれた。
10年間、ずっと頼りにしてきた父さん。
僕に剣や魔法を教え、今日も緊張している僕の背中を押してくれた。
そんな二人なら、きっと大丈夫。
これまでも優しくしてくれたし、これからも優しくしてくれるはずだ。
確かにさっきまではスライムのせいで取り乱していたけど、冷静に考えれば僕の父さんと母さんならそんなのは問題にしないはずだ! なんとなくだけど、時間が経ってきたせいかそう思えてきた。
行きと同じ、特に舗装もされてない土の道を進んでいく。
辺りに灯る光が今日の僕には特に眩しく見える。
いつまでも1人で考えているとまた悪い方向に考えてしまいそうだ。
早く父さんと母さんに会って、この悩みを絶たせてもらおう。
スライムに視線を向けてみると、僕を励ましてくれてるのか、何度も跳ねながら僕の周りをぐるぐるとまわる。
「うん、頑張るよ。ありがとね」
励ましてくれたお礼にスライムを撫でてみると、ひんやりとした感覚が手の平に伝わってくる。こんな風にスライムを触るのは初めてだ。
突いてみたり、撫でてみたり。
今までスライムを見たら殴るか、蹴るかとひどい対応をしていたが、こうしてちゃんと見てみると意外と愛くるしいかもしれない。
しばらくスライムをいじりたおしていたが、何かを思ったらしく僕の少し前に移動した。大きくなったり、縮んだりを何度か繰り返したりしてるけど、これは何かをアピールしてるのかな?
僕が近くまで進むと、スライムは先に進む。また僕が近づくと、スライムは先に行く。それを何度か繰り返して、スライムが僕のことを前に進ませようとしてるんだってことに気が付いた。
「大丈夫。ちゃんと行くからね」
出会ってすぐのスライムに心配されるような顔をしていたのかな?
自分の中では結構大丈夫だって思おうと思っていたんだけど、外から見ると全然違うように見えてるのかもしれない。
それとも、このスライムは人の心を見抜いたりする技でも持ってるのかなぁ。
もともとこんなに知性的なスライムの話は聞いたことがないし、こんなに強いって話も聞いたこともない。このスライムは多分特別だから、そんなことができるのかなって思う。
「さて、いきますか」
スライムは僕の家が分かるわけではない。
いつまでも先導させるさせるわけにもいかないので、スライムより前に出るように歩を進めるとさっきと同じようにスライムは僕の後ろについてくるような形になった。
他の村人に会わなかったのは幸運だったかもしれない。スライムは退治するのが普通なので、僕がこんな風に接していても他の村人が攻撃を加えてきてもおかしくない。
このスライムは頭が良いから多分大丈夫だと思うけど、さっきの蛇にしたみたいな攻撃を人にしたら一撃で殺してしまう。そんなことをしてしまったら、スライムを召喚したから村を追い出されるとかそんなレベルの話じゃなくなってしまう。
人殺しだ。そんな犯罪者の扱いを受けることになってしまうかもしれない。まだ家の外に出てくる人はいないけど、何か用事があって外に出てくる人がいるかもしれないので、さっさと家に移動してしまおう。
僕がうじうじしている間にだいぶ暗くなってきてしまった。
僕はさきほどよりも足を速めて自分の家へと向かったほうがよさそうだ。いつまでもここにいたら余計な問題が起こってもおかしくない。
しばらく道を進むと慣れ親しんだ明かりの灯った我が家に到着した。父さんも母さんも家にいるだろう。僕は近くにいたスライムをぎゅっと握りしめ、扉を叩いた。
あちこち行っていたせいでかなり時間が経ってしまったみたい。すでに日は暮れているせいで、みんな家の中に入っているんだと思う。家の外に出ている人はすでにいなかった。
今、僕は村の入口を示す門の前に来ている。ここを入れば僕の村だ。だった、にならないことを信じたいけど……期待はしないほうが良いかもしれない。
高まる鼓動を抑え、ゆっくりと門をくぐる。
もちろん一人ではない。僕の後ろにはスライムが付いてきている。
「大丈夫かな、大丈夫であって。信じてるからね、父さん、母さん」
誰から返事があるわけでもないが、思わず唱えてしまう。
10年間、ずっとお世話になった母さん。
今日も僕が出発する前に優しく抱きしめてくれた。
10年間、ずっと頼りにしてきた父さん。
僕に剣や魔法を教え、今日も緊張している僕の背中を押してくれた。
そんな二人なら、きっと大丈夫。
これまでも優しくしてくれたし、これからも優しくしてくれるはずだ。
確かにさっきまではスライムのせいで取り乱していたけど、冷静に考えれば僕の父さんと母さんならそんなのは問題にしないはずだ! なんとなくだけど、時間が経ってきたせいかそう思えてきた。
行きと同じ、特に舗装もされてない土の道を進んでいく。
辺りに灯る光が今日の僕には特に眩しく見える。
いつまでも1人で考えているとまた悪い方向に考えてしまいそうだ。
早く父さんと母さんに会って、この悩みを絶たせてもらおう。
スライムに視線を向けてみると、僕を励ましてくれてるのか、何度も跳ねながら僕の周りをぐるぐるとまわる。
「うん、頑張るよ。ありがとね」
励ましてくれたお礼にスライムを撫でてみると、ひんやりとした感覚が手の平に伝わってくる。こんな風にスライムを触るのは初めてだ。
突いてみたり、撫でてみたり。
今までスライムを見たら殴るか、蹴るかとひどい対応をしていたが、こうしてちゃんと見てみると意外と愛くるしいかもしれない。
しばらくスライムをいじりたおしていたが、何かを思ったらしく僕の少し前に移動した。大きくなったり、縮んだりを何度か繰り返したりしてるけど、これは何かをアピールしてるのかな?
僕が近くまで進むと、スライムは先に進む。また僕が近づくと、スライムは先に行く。それを何度か繰り返して、スライムが僕のことを前に進ませようとしてるんだってことに気が付いた。
「大丈夫。ちゃんと行くからね」
出会ってすぐのスライムに心配されるような顔をしていたのかな?
自分の中では結構大丈夫だって思おうと思っていたんだけど、外から見ると全然違うように見えてるのかもしれない。
それとも、このスライムは人の心を見抜いたりする技でも持ってるのかなぁ。
もともとこんなに知性的なスライムの話は聞いたことがないし、こんなに強いって話も聞いたこともない。このスライムは多分特別だから、そんなことができるのかなって思う。
「さて、いきますか」
スライムは僕の家が分かるわけではない。
いつまでも先導させるさせるわけにもいかないので、スライムより前に出るように歩を進めるとさっきと同じようにスライムは僕の後ろについてくるような形になった。
他の村人に会わなかったのは幸運だったかもしれない。スライムは退治するのが普通なので、僕がこんな風に接していても他の村人が攻撃を加えてきてもおかしくない。
このスライムは頭が良いから多分大丈夫だと思うけど、さっきの蛇にしたみたいな攻撃を人にしたら一撃で殺してしまう。そんなことをしてしまったら、スライムを召喚したから村を追い出されるとかそんなレベルの話じゃなくなってしまう。
人殺しだ。そんな犯罪者の扱いを受けることになってしまうかもしれない。まだ家の外に出てくる人はいないけど、何か用事があって外に出てくる人がいるかもしれないので、さっさと家に移動してしまおう。
僕がうじうじしている間にだいぶ暗くなってきてしまった。
僕はさきほどよりも足を速めて自分の家へと向かったほうがよさそうだ。いつまでもここにいたら余計な問題が起こってもおかしくない。
しばらく道を進むと慣れ親しんだ明かりの灯った我が家に到着した。父さんも母さんも家にいるだろう。僕は近くにいたスライムをぎゅっと握りしめ、扉を叩いた。
0
あなたにおすすめの小説
極寒の国を追放された俺、南の島で『日光浴』無双!常夏ハーレムを築いて最強リゾートライフ~凍える故国が泣きついてきても、もう遅い~
たまごころ
ファンタジー
「役立たずの『日光浴』スキル持ちなど、我が極寒の王国には不要だ!」
万年雪に閉ざされた北の軍事国家。
そこで兵站係をしていた少年・カイは、寒さに震えるだけの無能と罵られ、国外追放を言い渡される。
身一つで流された先は、魔物が蔓延ると噂される未開の『南の島』だった。
死を覚悟したカイだったが、強烈な日差しを浴びた瞬間、スキルが覚醒する。
彼のスキルはただ日光を浴びるだけのものではなく、太陽のエネルギーを魔力に変え、植物を操り、天候すら支配する太陽神の権能『トロピカル・ロード』だったのだ!
「え、このヤシの実、食べるとステータスが倍になる?」
「俺が作ったハンモックで寝るだけで、HPが全回復?」
カイは瞬く間に安全地帯を作り上げ、極上のリゾートライフを開始する。
助けた人魚の姫、森に住む褐色のハイエルフ、漂着した女騎士……。
集まってきた美少女たちと、南国フルーツや海鮮BBQに舌鼓を打ち、夜はハーレムで大忙し。
一方、カイを追い出した故国では、彼が密かに行っていた気温調整や物資管理が途絶え、未曾有の大寒波と飢饉に襲われていた。
勇者パーティもカイの支援なしではダンジョン攻略ができず、没落の一途をたどる。
「頼む、戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、カイは冷たいトロピカルジュースを飲みながらこう答えるのだ。
「いまさら? 俺はこの楽園で忙しいから、帰らないよ」
これは、南の島で最強の力を手に入れた少年が、極上のスローライフを送りながら、自分を捨てた者たちを見返す、爽快成り上がりファンタジー。
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
追放されたので辺境でスローライフしてたら、いつの間にか世界最強の無自覚賢者になっていて元婚約者たちが土下座してきた件
にゃ-さん
ファンタジー
王都で「無能」と蔑まれ、婚約破棄と追放を言い渡された青年リオン。
唯一の取り柄は、古代語でびっしり書かれたボロ本を黙々と読み続けることだけ。
辺境で静かに暮らすはずが、その本が実は「失われた大魔導書」だったことから、世界の常識がひっくり返る。
本人は「ちょっと魔法が得意なだけ」と思っているのに、
・竜を一撃で黙らせ
・災厄級ダンジョンを散歩感覚で踏破し
・国家レベルの結界を片手間で張り直し
気づけば、訳あり美少女たちに囲まれたハーレム状態に。
やがて、かつて彼を笑い、切り捨てた王都の貴族や元仲間たちが、
国家存亡の危機を前に「助けてくれ」と縋りついてくる。
だがリオンは、領民と仲間の笑顔を守るためだけに、淡々と「本気」を解放していくのだった——。
無自覚最強×追放×ざまぁ×ハーレム。
辺境から始まる、ゆるくて激しいファンタジー無双譚!
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました
たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」
幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。
あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。
しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。
俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる!
「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」
俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。
その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。
「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」
「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」
『コメント:なんだこの配信……神か?』
『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』
これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる