村を追い出されたけど、最強のスライムが仲間にいるので冒険者を目指したいと思います

しのこ

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第4話:帰還

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 結構な距離を走り抜けていたので時間がかかってしまったが、ようやく村まで戻ってくることが出来た。村には相変わらず古臭い木で作られた家が雑多に立てられており、家の中から光が漏れている。

 あちこち行っていたせいでかなり時間が経ってしまったみたい。すでに日は暮れているせいで、みんな家の中に入っているんだと思う。家の外に出ている人はすでにいなかった。

 今、僕は村の入口を示す門の前に来ている。ここを入れば僕の村だ。だった、にならないことを信じたいけど……期待はしないほうが良いかもしれない。


 高まる鼓動を抑え、ゆっくりと門をくぐる。
 もちろん一人ではない。僕の後ろにはスライムが付いてきている。

「大丈夫かな、大丈夫であって。信じてるからね、父さん、母さん」

 誰から返事があるわけでもないが、思わず唱えてしまう。

 10年間、ずっとお世話になった母さん。
 今日も僕が出発する前に優しく抱きしめてくれた。

 10年間、ずっと頼りにしてきた父さん。
 僕に剣や魔法を教え、今日も緊張している僕の背中を押してくれた。


 そんな二人なら、きっと大丈夫。
 これまでも優しくしてくれたし、これからも優しくしてくれるはずだ。
 確かにさっきまではスライムのせいで取り乱していたけど、冷静に考えれば僕の父さんと母さんならそんなのは問題にしないはずだ! なんとなくだけど、時間が経ってきたせいかそう思えてきた。


 行きと同じ、特に舗装もされてない土の道を進んでいく。
 辺りに灯る光が今日の僕には特に眩しく見える。
 いつまでも1人で考えているとまた悪い方向に考えてしまいそうだ。

 早く父さんと母さんに会って、この悩みを絶たせてもらおう。
 スライムに視線を向けてみると、僕を励ましてくれてるのか、何度も跳ねながら僕の周りをぐるぐるとまわる。

「うん、頑張るよ。ありがとね」

 励ましてくれたお礼にスライムを撫でてみると、ひんやりとした感覚が手の平に伝わってくる。こんな風にスライムを触るのは初めてだ。

 突いてみたり、撫でてみたり。
 今までスライムを見たら殴るか、蹴るかとひどい対応をしていたが、こうしてちゃんと見てみると意外と愛くるしいかもしれない。

 しばらくスライムをいじりたおしていたが、何かを思ったらしく僕の少し前に移動した。大きくなったり、縮んだりを何度か繰り返したりしてるけど、これは何かをアピールしてるのかな?

 僕が近くまで進むと、スライムは先に進む。また僕が近づくと、スライムは先に行く。それを何度か繰り返して、スライムが僕のことを前に進ませようとしてるんだってことに気が付いた。

「大丈夫。ちゃんと行くからね」

 出会ってすぐのスライムに心配されるような顔をしていたのかな?
 自分の中では結構大丈夫だって思おうと思っていたんだけど、外から見ると全然違うように見えてるのかもしれない。

 それとも、このスライムは人の心を見抜いたりする技でも持ってるのかなぁ。
 もともとこんなに知性的なスライムの話は聞いたことがないし、こんなに強いって話も聞いたこともない。このスライムは多分特別だから、そんなことができるのかなって思う。

「さて、いきますか」

 スライムは僕の家が分かるわけではない。
 いつまでも先導させるさせるわけにもいかないので、スライムより前に出るように歩を進めるとさっきと同じようにスライムは僕の後ろについてくるような形になった。

 他の村人に会わなかったのは幸運だったかもしれない。スライムは退治するのが普通なので、僕がこんな風に接していても他の村人が攻撃を加えてきてもおかしくない。

 このスライムは頭が良いから多分大丈夫だと思うけど、さっきの蛇にしたみたいな攻撃を人にしたら一撃で殺してしまう。そんなことをしてしまったら、スライムを召喚したから村を追い出されるとかそんなレベルの話じゃなくなってしまう。

 人殺しだ。そんな犯罪者の扱いを受けることになってしまうかもしれない。まだ家の外に出てくる人はいないけど、何か用事があって外に出てくる人がいるかもしれないので、さっさと家に移動してしまおう。

 僕がうじうじしている間にだいぶ暗くなってきてしまった。
 僕はさきほどよりも足を速めて自分の家へと向かったほうがよさそうだ。いつまでもここにいたら余計な問題が起こってもおかしくない。

 しばらく道を進むと慣れ親しんだ明かりの灯った我が家に到着した。父さんも母さんも家にいるだろう。僕は近くにいたスライムをぎゅっと握りしめ、扉を叩いた。
 
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