29 / 38
愛し合う者たち1
しおりを挟む
死角から短剣がとんでくる。間に合わない。パワーは意を決し、相打ち覚悟で短剣を持ったラブへ虫を飛ばした。
胸に短剣が刺さり血が滲む。視界の端からはサーの血の気の引いた顔が見えた。
意識が朦朧とする中、上から落とした虫はラブに見事命中し、その命を絶った。しかし、パワーに残された時間も多くない。
パワーはサーと過ごした日々を思い浮かべた。
「……ぇ、ねぇ。大丈夫?」
ふらつく頭を抑えながらパワーの意識は次第に覚醒して来た。
ここは深い森の中、サーと二人でキャンプに来た時に交通事故を起こし崖の上から落ちてしまったのだ。幸いそんなに高い崖でなかったので、二人は無傷と言わないまでも重傷ではなかった。
「サーも大丈夫か?すまないな、こんなことになっちまって」
パワーは自分の不甲斐なさに唇を噛み締めた。
「大丈夫だから。ほら、ここにいても仕方がないから道を探そう?」
「ああ」
サーはここでじっとしているよりも道を探したほうがいいと言い、森の中へ入って行った。パワーもそれについていく。
後ろから見るサーは綺麗だった。だが、ここで言っているのは容姿ではない。傷のことだ。擦り傷や腫れなどはできているが、骨が折れたりなどの傷は見られなかった。
(結構丈夫なんだな)
パワーがそんなことを考えているとサーが何かを見つけたように走り出した。
パワーも置いていかれないように追いかけた。
サーに追いつくとそこには川が流れていた。周りには花が沢山咲いており、蝶々や蜂の姿も見てとれた。
「綺麗だな」
「うん」
「……そういえばこの川に沿って下っていけばいつか道に着くんじゃないか?」
パワーの提案にサーも頷く。
そして、川に沿って数十分後。奥に光が見えた。サーは嬉しさのあまりに走り出す。しかし、意外と道はすぐそこでサーは道路へと飛び出した。そして、運悪く車がそこへ突っ込んで来た。「プー」というクラクションの音が鳴る。
「危ない‼︎」
パワーが叫ぶとサーも車に気づき振り返った。しかし、それも遅くサーは車に吹き飛ばされた。サーを轢いた車は逃げて行くが、パワーは追いかけずサーの元へと駆け寄った。
そこで、サーの姿に驚く。傷がどんどんと治っていくのだ。そして、数分後には傷ひとつない綺麗な身体に戻っていた。
これがサーの能力が発現を初めて目にした瞬間だった。
胸に短剣が刺さり血が滲む。視界の端からはサーの血の気の引いた顔が見えた。
意識が朦朧とする中、上から落とした虫はラブに見事命中し、その命を絶った。しかし、パワーに残された時間も多くない。
パワーはサーと過ごした日々を思い浮かべた。
「……ぇ、ねぇ。大丈夫?」
ふらつく頭を抑えながらパワーの意識は次第に覚醒して来た。
ここは深い森の中、サーと二人でキャンプに来た時に交通事故を起こし崖の上から落ちてしまったのだ。幸いそんなに高い崖でなかったので、二人は無傷と言わないまでも重傷ではなかった。
「サーも大丈夫か?すまないな、こんなことになっちまって」
パワーは自分の不甲斐なさに唇を噛み締めた。
「大丈夫だから。ほら、ここにいても仕方がないから道を探そう?」
「ああ」
サーはここでじっとしているよりも道を探したほうがいいと言い、森の中へ入って行った。パワーもそれについていく。
後ろから見るサーは綺麗だった。だが、ここで言っているのは容姿ではない。傷のことだ。擦り傷や腫れなどはできているが、骨が折れたりなどの傷は見られなかった。
(結構丈夫なんだな)
パワーがそんなことを考えているとサーが何かを見つけたように走り出した。
パワーも置いていかれないように追いかけた。
サーに追いつくとそこには川が流れていた。周りには花が沢山咲いており、蝶々や蜂の姿も見てとれた。
「綺麗だな」
「うん」
「……そういえばこの川に沿って下っていけばいつか道に着くんじゃないか?」
パワーの提案にサーも頷く。
そして、川に沿って数十分後。奥に光が見えた。サーは嬉しさのあまりに走り出す。しかし、意外と道はすぐそこでサーは道路へと飛び出した。そして、運悪く車がそこへ突っ込んで来た。「プー」というクラクションの音が鳴る。
「危ない‼︎」
パワーが叫ぶとサーも車に気づき振り返った。しかし、それも遅くサーは車に吹き飛ばされた。サーを轢いた車は逃げて行くが、パワーは追いかけずサーの元へと駆け寄った。
そこで、サーの姿に驚く。傷がどんどんと治っていくのだ。そして、数分後には傷ひとつない綺麗な身体に戻っていた。
これがサーの能力が発現を初めて目にした瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる