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それにしても、相変わらず胡散臭い奴。
マルクルは柔らかく滑らかな耳に心地よい声をしていた。
その声で、愛を語れれば一夜の間違いであっても喜び身を捧げる者は多く、多くの侍女達が餌食になった。 レーネ様を思えば腹立たしいけれど、レーネ様に手を出されるよりは良いと割り切り考えている。
腹を立てつつもレーネは戸惑いを覚えていた。
マルクルの語る言葉の大半は視点を変えて見える真実として許容できるものだと言うのが……昔から厄介なのだと思い出す。
昔から、傲慢で尊大で、周囲に対して命令的だった。
今は……まともに見せている所が、周囲の支持を集め問題になっているのですよね。 以前はもっと簡単だったのに……。
支配的で暴力的、独善的で傲慢、周囲を下僕扱いし暴力をふるう。 ソレに反論しようなら国王陛下に嘘の報告をし制裁を与えていた。 ソレを止めていたのは王妃とフェルザーだった。
今はそんな分かりやすい事はしていませんからねぇ……まさか文官に仕事を振っていたなんて……他にも色々と裏がありそうですよね。 見せては、くれませんが……。
レーネに対する抑圧的な言葉を周囲に聞かれるような失態だけは、気を付けているマルクルなだけにノーラは何処か安易に考えていた。
殿下は子供のころから問題が多かった。
ノーラは思い出す。
殿下の価値観に危機意識を覚えた王妃様は、もし殿下の傲慢が国を亡ぼす事になった時のために、殿下と同等の地位を与える者が必要だと進言した。
その時も、国王様と王妃様は大きな喧嘩を行い、長引かせ周囲を不安にさせたものだった。間に入ったのはバルテン公爵家に婿入りした国王陛下の弟君。
王家の男子は恋愛に積極的で、盲目的なところがあるのだ。
『兄上こそが、マルクルを信用していない。 私にはそのように見えますね。 マルクルを信用するなら王妃の提案を受けるべきでしょう。 何も問題がなければ、何も無いままマルクルは王位を継ぐのですから』
そう言われ……フェルザー様に第二王位継承権を与え、全てにおいて殿下と対等とする権利を与えた。 ソレ殿下の抑止としては幼くして公爵家を出て王宮で住まうと言う事。 そんな彼のために公爵は王宮内に屋敷と使用人を配備した。 それが、現在レーネが使用している屋敷と使用人なのだ。
昔は……酷かったなぁ……。
腹は立つが、殿下はレーネ様に慕われマシになった。 レーネ様があんな野郎のものになると思えば腹立たしいが……留学先から戻ってからと言うもの、殿下は多少の進歩を遂げている。 ……それがあのアリアーヌ姫のお陰と聞けばとても複雑な気持ちになるのだ……マシになったのならレーネ様を大切にしてくれればいいのに。
あと、仕事しろ。
思い出と、現在進行中の出来事が入り乱れながら、ノーラは色々考えていたが国王夫婦が戻ってきた事で、身を引き締めた。
「良かった。 お戻りになってくださって。 私、嫌われてしまったかと……」
アリアーヌ姫が悲しそうな顔をすれば、マルクルが慰める。
「姫を嫌いになれる者なんかいるはずありませんよ」
「そう、かしら?」
チラチラと国王夫婦を見れば王妃は、笑顔を向けた。
「えぇ、マルクルはとても素敵な女性を連れ帰ってきたと、噂になっていますし、私もとても感謝していますのよ。 それで、その感謝の気持ちとして、マルクルとレーネの婚姻を無効にしてしまおうと考えておりますの」
「えぇ!! それは……」
「喜んではくれませんか?」
「いえ……その、レーネ様とは先ほどのあの可愛らしい方ですよね? あのようなお可愛らしい方を悲しませるなんて……とても心苦しくて……。 あの、私は、あの子と仲良くなって共にマルクル様を支えていきたいと考えておりますの。 どうか、紹介していただけないでしょうか?」
「あの子は、とても繊細で……最近は体調も悪くて表に出る事は控えさせておりますの。 どうか、勘弁してやってくださいませ。 それで、マルクル、貴方とあの子はもう夫婦ではないそのように考えるように」
「ですが……私は、いえ……私達は、このアリアーヌ姫とは違う愛ではありますが、確かに愛し合っていたのは事実です。 勝手に離縁等と決めつけないで下さい。 それと……お母様は政治には疎い方なので知らないでしょうが、王族の離婚手続きはとても難しいのですよ?」
「それは子供がいる場合でしょう。 貴方とレーネのように身体の関係が無いとなれば、簡単に手続きが済みますわ」
「……なぜ、無いと言えるのですか?」
「あれば分かります。 それにあの子には常に侍女と護衛がついていますからね。 貴方は其方のアリアーヌ姫様を幸せにする事だけをお考えなさい」
自分の血を引いた息子マルクルと、娘のようにかわいがっているレーネがずっと幸せに王宮で過ごしてくれる。 そんな夢をあきらめきれない国王陛下は……テーブルの下で延々と太腿を王妃につねられながら、沈黙を保つのだった。
マルクルは柔らかく滑らかな耳に心地よい声をしていた。
その声で、愛を語れれば一夜の間違いであっても喜び身を捧げる者は多く、多くの侍女達が餌食になった。 レーネ様を思えば腹立たしいけれど、レーネ様に手を出されるよりは良いと割り切り考えている。
腹を立てつつもレーネは戸惑いを覚えていた。
マルクルの語る言葉の大半は視点を変えて見える真実として許容できるものだと言うのが……昔から厄介なのだと思い出す。
昔から、傲慢で尊大で、周囲に対して命令的だった。
今は……まともに見せている所が、周囲の支持を集め問題になっているのですよね。 以前はもっと簡単だったのに……。
支配的で暴力的、独善的で傲慢、周囲を下僕扱いし暴力をふるう。 ソレに反論しようなら国王陛下に嘘の報告をし制裁を与えていた。 ソレを止めていたのは王妃とフェルザーだった。
今はそんな分かりやすい事はしていませんからねぇ……まさか文官に仕事を振っていたなんて……他にも色々と裏がありそうですよね。 見せては、くれませんが……。
レーネに対する抑圧的な言葉を周囲に聞かれるような失態だけは、気を付けているマルクルなだけにノーラは何処か安易に考えていた。
殿下は子供のころから問題が多かった。
ノーラは思い出す。
殿下の価値観に危機意識を覚えた王妃様は、もし殿下の傲慢が国を亡ぼす事になった時のために、殿下と同等の地位を与える者が必要だと進言した。
その時も、国王様と王妃様は大きな喧嘩を行い、長引かせ周囲を不安にさせたものだった。間に入ったのはバルテン公爵家に婿入りした国王陛下の弟君。
王家の男子は恋愛に積極的で、盲目的なところがあるのだ。
『兄上こそが、マルクルを信用していない。 私にはそのように見えますね。 マルクルを信用するなら王妃の提案を受けるべきでしょう。 何も問題がなければ、何も無いままマルクルは王位を継ぐのですから』
そう言われ……フェルザー様に第二王位継承権を与え、全てにおいて殿下と対等とする権利を与えた。 ソレ殿下の抑止としては幼くして公爵家を出て王宮で住まうと言う事。 そんな彼のために公爵は王宮内に屋敷と使用人を配備した。 それが、現在レーネが使用している屋敷と使用人なのだ。
昔は……酷かったなぁ……。
腹は立つが、殿下はレーネ様に慕われマシになった。 レーネ様があんな野郎のものになると思えば腹立たしいが……留学先から戻ってからと言うもの、殿下は多少の進歩を遂げている。 ……それがあのアリアーヌ姫のお陰と聞けばとても複雑な気持ちになるのだ……マシになったのならレーネ様を大切にしてくれればいいのに。
あと、仕事しろ。
思い出と、現在進行中の出来事が入り乱れながら、ノーラは色々考えていたが国王夫婦が戻ってきた事で、身を引き締めた。
「良かった。 お戻りになってくださって。 私、嫌われてしまったかと……」
アリアーヌ姫が悲しそうな顔をすれば、マルクルが慰める。
「姫を嫌いになれる者なんかいるはずありませんよ」
「そう、かしら?」
チラチラと国王夫婦を見れば王妃は、笑顔を向けた。
「えぇ、マルクルはとても素敵な女性を連れ帰ってきたと、噂になっていますし、私もとても感謝していますのよ。 それで、その感謝の気持ちとして、マルクルとレーネの婚姻を無効にしてしまおうと考えておりますの」
「えぇ!! それは……」
「喜んではくれませんか?」
「いえ……その、レーネ様とは先ほどのあの可愛らしい方ですよね? あのようなお可愛らしい方を悲しませるなんて……とても心苦しくて……。 あの、私は、あの子と仲良くなって共にマルクル様を支えていきたいと考えておりますの。 どうか、紹介していただけないでしょうか?」
「あの子は、とても繊細で……最近は体調も悪くて表に出る事は控えさせておりますの。 どうか、勘弁してやってくださいませ。 それで、マルクル、貴方とあの子はもう夫婦ではないそのように考えるように」
「ですが……私は、いえ……私達は、このアリアーヌ姫とは違う愛ではありますが、確かに愛し合っていたのは事実です。 勝手に離縁等と決めつけないで下さい。 それと……お母様は政治には疎い方なので知らないでしょうが、王族の離婚手続きはとても難しいのですよ?」
「それは子供がいる場合でしょう。 貴方とレーネのように身体の関係が無いとなれば、簡単に手続きが済みますわ」
「……なぜ、無いと言えるのですか?」
「あれば分かります。 それにあの子には常に侍女と護衛がついていますからね。 貴方は其方のアリアーヌ姫様を幸せにする事だけをお考えなさい」
自分の血を引いた息子マルクルと、娘のようにかわいがっているレーネがずっと幸せに王宮で過ごしてくれる。 そんな夢をあきらめきれない国王陛下は……テーブルの下で延々と太腿を王妃につねられながら、沈黙を保つのだった。
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