248 / 414
第247話 [使命開始。]
しおりを挟む
2人の話を聞いてふっと思った事があったので聞いてみる事にした。
「15年・・・いや、16年前の事件でしたか、アレとは関係無いんですか?」
「あぁ、アレか。関係あらへん。つうか、そのお陰か世界同時スタンピードの時も上手く対処出来た言うても過言やあらへんなぁ。ん?そういう意味ではアイツらも役に立ったいう事か?」
「そうなのだろう。近々で首都でスタンピードが起きたのだ。警戒レベルは上がっておっただろう。」
「かもしれんなぁ。あん時、警戒しとらへんだんは、実際首都のスタンピードで被害を受けたアイツらだけやろうしのぅ。」
「何故じゃ、1番警戒して然るべきであろう?」
「金や。わいらの意見を無視するどころか、圧力を掛けて封じる際にわいらと交わした契約の所為で、あの被害で崩壊した首都をアイツら自身で完全復興せなあかんくなったんや。それでつこうた金の回収に集中しとったんやろうな。自分とこのダンジョンを普段よりもかなり少ない人員で最低限管理させとったんや。まぁその所為でまた被害を受け取ったけどな。」
「それは今トヨタさん達とは別の派閥の人達の事ですか?」
「せや、アイツらは何も学ばんからのぅ。今も権力を自分らのもんにしょうと前以上に悪どい事しとるみたいや。」
「分かっているのに何もしないんですか?」
「こん国はシュウトはんが居った王国とはちごうて、証拠が無いと動けんのや。まぁわいらも頑張っとるけど、今一歩んとこで逃げられてまうんや。」
「この国の法を変更する事は出来ないんですか?」
「今調整はしとるけど、後数年は掛かるやろうな。」
「そんなに掛かるんですか・・・。」
「せやねん。残念な事に良くも悪くも王政国家と民主主義国家の違いやな。」
「なるほど、しかもお金の力で勢力を拡大しつつあるという事ですね。」
「せやな。一応は出来る事をしとるけどそんなとこや。」
「それでダンジョンの話に戻るんですけどその草って何かに使えるんですか?」
「いや、殆ど使えん。中には薬になるもんもあるけど殆どはただの草や。」
「薬かぁ・・・。」
そう言いながら俺が悩んでいるとトヨタさんが不思議そうな顔をして話し掛けてきた。
「シュウトはん、どないしたんや?」
「いや、繊維素材が落ちるダンジョンで背丈を超える草で薬になるんですよねぇ。」
「せやな。薬になるのは似とるけど種類が違うやつらしいで。」
「ですよねぇ。ただもしかして此処のダンジョンを発見したのってもしかして・・・。」
「せや、シュウトはんの思てる通りや。」
「やっぱり。」
「せやけど何で分かったんや?」
「いや、名前が安直過ぎて岩ちゃんらしいなって思って。」
「そんな分かりやすいん?」
「そうですね。前世の記憶を完全に持ってるならそのままの名前だと思いますよ。ただダンジョンに行ってみないと分からないですけどもしかしたら・・・。」
「もしかしたら?何かあるんか?」
「いや、一寸待って下さい。」
俺はそう言うとダンジョンを神の瞳で確認した。
「確かに50階層あるんでSランクですね。それに思った通り、その草も繊維素材ですね。」
「何!?ほんまに!?あの草が!?」
「そうですね。岩ちゃんは麻がどんな植物か知らなかったんだと思いますけど、間違いなく繊維素材ですよ。」
「まじでかぁ~。ただ単に恐ろしく成長の早くて次の階層へ行く邪魔にしかならんもんやと思てたのに。そうかぁ・・・それでそのアサいうんは、どないしたら繊維になるんかもシュウトはんは、知っとるちゅう事か?」
「そうですね・・・あっ。」
「どないしたんや?」
「今、自分が調べた時は名前が無かったんですけど麻って発言で名前が定着したみたいです。」
「名前が無かった?ちゅう事はそのアサいうんは此処にしか無いもんなんやな!」
「今はそうですね。」
「今は?それはどういうこっちゃ?」
「あの麻は高ランクダンジョン内でしか育たないそうなんですけど、種を持って帰れば自分のダンジョンでも育ちそうなんで。あぁ後、あの麻があれば他の高ランクダンジョンの危険度を多少落とせる・・・いや、逆に危険か。」
「どういうこっちゃ?」
「それはダンジョンの魔力を吸収するんで高ランクの魔物が生み出され難くなるみたいなんですけど、あの背丈なんで急に高ランクの魔物に遭遇、なんて事になったら危険だなと思いまして。」
「確かに危険やな。せやけど、話の流れ的にシュウトはんはその種を持って帰りたいちゅう事か?」
「そうですね。あっ、駄目でしたか?」
「いやいや、ちゃうちゃう。どうせシュウトはんが教えてくれんかったら今後も邪魔な草としか思てへんだやろうし、持って帰んのはかまへん。ただシュウトはんが態々持って帰ろう思うちゅう事はええもんやと思てん。」
「そうですね。衣服には勿論、撚り合わせれば丈夫なロープになりますし、解した状態の物は火を着けるのには丁度良い物なんで。」
俺がそう言うとハロルドが声を掛けてきた。
「それでしたら以前教えて頂けたチャークロスでしたか、炭化した布よりも良い物なのですか?」
「前回教えた石で火を着ける時に使うやつだな。アレと一緒に使うとより着け易くなるし、最高の着火剤だな。」
「ほう、それはそれは。では、アサ関係の商品はシュウト様のアイデアとして登録致しますか?」
「は?何でそうなるんだよ。麻は此処のダンジョンの物なんだぞ。」
「それはそれ、アイデアは別でございます。」
「そうは言ってもなぁ。」
俺がそう言って困っているとトヨタさんが話し掛けてきた。
「そりゃ当たり前やでシュウトはん。」
「そうですよねぇ、ほらハロルド、トヨタさんもそう言ってるだろ。」
「ちゃうちゃう。ハロルドの言う通り、シュウトはんのアイデアちゅう事や。」
「え?」
「シュウトはんが教えてくれんかったら新しい儲け話は無かったし、シュウトはんの国で売り出してくれる際にこっから持ってたもんちゅう事も宣伝してくれたらより儲かるちゅう訳や、アイデア料くらい安いもんやで。わいらも潤うシュウトはんも潤う、ええ事だらけや。」
「え?自分達の所で使う分と思ってたんですけど。」
「そんな訳あるかさ、なぁハロルド。」
「そうですぞシュウト様。御自身の世界の環境を考えれば恐ろしい量になるのは必然。商売にしないのは考えられません。」
「そ、そうなのか・・・なら、いつも通り後は任せても良いか?」
「お任せ下さい。」
「せや、シュウトはん。もう昼も過ぎたし、今からダンジョンは止めといた方がええ。」
「危険度が増すって事なら問題無いですけど。」
「ちゃうちゃう、シュウトはんが強いちゅうのは分かっとるけど、あっち見てみ。」
トヨタさんがそう言いながら指した方向に目を輝かせて俺の方を見ているカスミちゃんが居た。
「カスミちゃん、もしかして着いて来るつもりかい?」
「当たり前やん♪シュウト兄がどんだけ強いか見たいし、ダンジョンやでダンジョン!楽しいに決まってるやん♪」
「あぁ言うと思てん。Sランク確定しちょるダンジョンにはなぁ、流石に迷惑ちゅうもんや。」
「あぁ、そういう事なら・・・あっ、そうだ。アキト、今日の夕食までカスミちゃんのレベリングを頼めるか?」
「良いよ。」
「よし。カスミちゃんも例のダンジョンに行ってみたくないかい?」
「え?もうええの?」
「アキトが居るから問題無いから行っておいで、明日朝には此処のダンジョンに潜るからそのつもりで強くなっておいで。」
俺がそう言うとカスミちゃんは飛び跳ねて喜び、アキトにせがんでいたので直ぐにアイテムボックス改を開くとカスミちゃんはアキトを引っ張って中に入っていった。
「シュウトはんは、どないするんや?」
「自分はこの島に居る他の方の下へ向おうかと思います。」
「さよか、ならホンダランが居ったら何処にもでも行けるさかい連れてくとええ。」
「良いんですか?」
「問題あらへん。逆に居らんと金の掛かるとこもあるさかいな。ホンダラン、シュウトはんを案内してやってくれ。」
「御意。」
「急に御意って、わいはどっかの皇帝かい!」
トヨタさんのツッコミなのか、ボケなのか分からないのをスルーして行こうとするとトヨタさんが再び声を掛けてきた。
「シュウトはん、申し訳ないやけど行く前にアサから繊維を取り出す方法だけでも教えてくれんか?」
トヨタさんにそう言われた俺は自分が知っている限りの麻に関する知識を話して部屋を後にした。
「それではシュウト様、何方へ向かわれますか?」
ホンダランさんはそう言いながら地図を拡げて見せてくれたので、マップと照らし合わせて1ヶ所ずつ潰して行く事にした。
数件転生させて次へ行こうとするとホンダランさんが声を掛けてきた。
「も・・・も、申し訳ないのですが・・・はぁ、はぁ・・・馬車で・・・移動は無理でしょうか?」
ホンダランさんを見ると汗だくで足をプルプルさせながら言っていた。
あれ~無理させない様に小走りぐらいのつもりだったんだけどなぁ~。
「えぇと、次の所に案内してもらったら先に馬車で向かってもらっても良いですよ。」
「そ、それは・・・はい。ではそうさせて頂きます。」
その後、夕食の時間ギリギリまで走り回ってなんとかダンジョン以外の使命を済ませれた。
「おっ、シュウトはん戻ったんか。えろう急いで使命を済ませたんやなぁ。」
「えっ・・・?」
トヨタさんに言われて驚いた俺はホンダランさんを見た。
「ちゃうちゃう、あんなスピードで街中走っとったら報告が来るわい。」
「あんなスピード?」
「せや、ホンダランはアレでもAランク冒険者なみの強さもっとるんや、そのホンダランが全力疾走しとってギリギリって、どないなスピードやねん。報告来ん方がおかしいやろ。」
「一寸小走りしたつもりだったんですけど・・・。」
俺がそう呟くとハロルドが話し掛けてきた。
「シュウト様、目立たれない様に行動して頂けませんと。」
「・・・えぇと、何か悪い。もっと気を付けるよ。」
「分かって頂ければ私からは何も。」
俺はその後、アキト達を呼び戻すとトヨタさんから食事の誘いがあったので、首相官邸で食事をする事にした。
「15年・・・いや、16年前の事件でしたか、アレとは関係無いんですか?」
「あぁ、アレか。関係あらへん。つうか、そのお陰か世界同時スタンピードの時も上手く対処出来た言うても過言やあらへんなぁ。ん?そういう意味ではアイツらも役に立ったいう事か?」
「そうなのだろう。近々で首都でスタンピードが起きたのだ。警戒レベルは上がっておっただろう。」
「かもしれんなぁ。あん時、警戒しとらへんだんは、実際首都のスタンピードで被害を受けたアイツらだけやろうしのぅ。」
「何故じゃ、1番警戒して然るべきであろう?」
「金や。わいらの意見を無視するどころか、圧力を掛けて封じる際にわいらと交わした契約の所為で、あの被害で崩壊した首都をアイツら自身で完全復興せなあかんくなったんや。それでつこうた金の回収に集中しとったんやろうな。自分とこのダンジョンを普段よりもかなり少ない人員で最低限管理させとったんや。まぁその所為でまた被害を受け取ったけどな。」
「それは今トヨタさん達とは別の派閥の人達の事ですか?」
「せや、アイツらは何も学ばんからのぅ。今も権力を自分らのもんにしょうと前以上に悪どい事しとるみたいや。」
「分かっているのに何もしないんですか?」
「こん国はシュウトはんが居った王国とはちごうて、証拠が無いと動けんのや。まぁわいらも頑張っとるけど、今一歩んとこで逃げられてまうんや。」
「この国の法を変更する事は出来ないんですか?」
「今調整はしとるけど、後数年は掛かるやろうな。」
「そんなに掛かるんですか・・・。」
「せやねん。残念な事に良くも悪くも王政国家と民主主義国家の違いやな。」
「なるほど、しかもお金の力で勢力を拡大しつつあるという事ですね。」
「せやな。一応は出来る事をしとるけどそんなとこや。」
「それでダンジョンの話に戻るんですけどその草って何かに使えるんですか?」
「いや、殆ど使えん。中には薬になるもんもあるけど殆どはただの草や。」
「薬かぁ・・・。」
そう言いながら俺が悩んでいるとトヨタさんが不思議そうな顔をして話し掛けてきた。
「シュウトはん、どないしたんや?」
「いや、繊維素材が落ちるダンジョンで背丈を超える草で薬になるんですよねぇ。」
「せやな。薬になるのは似とるけど種類が違うやつらしいで。」
「ですよねぇ。ただもしかして此処のダンジョンを発見したのってもしかして・・・。」
「せや、シュウトはんの思てる通りや。」
「やっぱり。」
「せやけど何で分かったんや?」
「いや、名前が安直過ぎて岩ちゃんらしいなって思って。」
「そんな分かりやすいん?」
「そうですね。前世の記憶を完全に持ってるならそのままの名前だと思いますよ。ただダンジョンに行ってみないと分からないですけどもしかしたら・・・。」
「もしかしたら?何かあるんか?」
「いや、一寸待って下さい。」
俺はそう言うとダンジョンを神の瞳で確認した。
「確かに50階層あるんでSランクですね。それに思った通り、その草も繊維素材ですね。」
「何!?ほんまに!?あの草が!?」
「そうですね。岩ちゃんは麻がどんな植物か知らなかったんだと思いますけど、間違いなく繊維素材ですよ。」
「まじでかぁ~。ただ単に恐ろしく成長の早くて次の階層へ行く邪魔にしかならんもんやと思てたのに。そうかぁ・・・それでそのアサいうんは、どないしたら繊維になるんかもシュウトはんは、知っとるちゅう事か?」
「そうですね・・・あっ。」
「どないしたんや?」
「今、自分が調べた時は名前が無かったんですけど麻って発言で名前が定着したみたいです。」
「名前が無かった?ちゅう事はそのアサいうんは此処にしか無いもんなんやな!」
「今はそうですね。」
「今は?それはどういうこっちゃ?」
「あの麻は高ランクダンジョン内でしか育たないそうなんですけど、種を持って帰れば自分のダンジョンでも育ちそうなんで。あぁ後、あの麻があれば他の高ランクダンジョンの危険度を多少落とせる・・・いや、逆に危険か。」
「どういうこっちゃ?」
「それはダンジョンの魔力を吸収するんで高ランクの魔物が生み出され難くなるみたいなんですけど、あの背丈なんで急に高ランクの魔物に遭遇、なんて事になったら危険だなと思いまして。」
「確かに危険やな。せやけど、話の流れ的にシュウトはんはその種を持って帰りたいちゅう事か?」
「そうですね。あっ、駄目でしたか?」
「いやいや、ちゃうちゃう。どうせシュウトはんが教えてくれんかったら今後も邪魔な草としか思てへんだやろうし、持って帰んのはかまへん。ただシュウトはんが態々持って帰ろう思うちゅう事はええもんやと思てん。」
「そうですね。衣服には勿論、撚り合わせれば丈夫なロープになりますし、解した状態の物は火を着けるのには丁度良い物なんで。」
俺がそう言うとハロルドが声を掛けてきた。
「それでしたら以前教えて頂けたチャークロスでしたか、炭化した布よりも良い物なのですか?」
「前回教えた石で火を着ける時に使うやつだな。アレと一緒に使うとより着け易くなるし、最高の着火剤だな。」
「ほう、それはそれは。では、アサ関係の商品はシュウト様のアイデアとして登録致しますか?」
「は?何でそうなるんだよ。麻は此処のダンジョンの物なんだぞ。」
「それはそれ、アイデアは別でございます。」
「そうは言ってもなぁ。」
俺がそう言って困っているとトヨタさんが話し掛けてきた。
「そりゃ当たり前やでシュウトはん。」
「そうですよねぇ、ほらハロルド、トヨタさんもそう言ってるだろ。」
「ちゃうちゃう。ハロルドの言う通り、シュウトはんのアイデアちゅう事や。」
「え?」
「シュウトはんが教えてくれんかったら新しい儲け話は無かったし、シュウトはんの国で売り出してくれる際にこっから持ってたもんちゅう事も宣伝してくれたらより儲かるちゅう訳や、アイデア料くらい安いもんやで。わいらも潤うシュウトはんも潤う、ええ事だらけや。」
「え?自分達の所で使う分と思ってたんですけど。」
「そんな訳あるかさ、なぁハロルド。」
「そうですぞシュウト様。御自身の世界の環境を考えれば恐ろしい量になるのは必然。商売にしないのは考えられません。」
「そ、そうなのか・・・なら、いつも通り後は任せても良いか?」
「お任せ下さい。」
「せや、シュウトはん。もう昼も過ぎたし、今からダンジョンは止めといた方がええ。」
「危険度が増すって事なら問題無いですけど。」
「ちゃうちゃう、シュウトはんが強いちゅうのは分かっとるけど、あっち見てみ。」
トヨタさんがそう言いながら指した方向に目を輝かせて俺の方を見ているカスミちゃんが居た。
「カスミちゃん、もしかして着いて来るつもりかい?」
「当たり前やん♪シュウト兄がどんだけ強いか見たいし、ダンジョンやでダンジョン!楽しいに決まってるやん♪」
「あぁ言うと思てん。Sランク確定しちょるダンジョンにはなぁ、流石に迷惑ちゅうもんや。」
「あぁ、そういう事なら・・・あっ、そうだ。アキト、今日の夕食までカスミちゃんのレベリングを頼めるか?」
「良いよ。」
「よし。カスミちゃんも例のダンジョンに行ってみたくないかい?」
「え?もうええの?」
「アキトが居るから問題無いから行っておいで、明日朝には此処のダンジョンに潜るからそのつもりで強くなっておいで。」
俺がそう言うとカスミちゃんは飛び跳ねて喜び、アキトにせがんでいたので直ぐにアイテムボックス改を開くとカスミちゃんはアキトを引っ張って中に入っていった。
「シュウトはんは、どないするんや?」
「自分はこの島に居る他の方の下へ向おうかと思います。」
「さよか、ならホンダランが居ったら何処にもでも行けるさかい連れてくとええ。」
「良いんですか?」
「問題あらへん。逆に居らんと金の掛かるとこもあるさかいな。ホンダラン、シュウトはんを案内してやってくれ。」
「御意。」
「急に御意って、わいはどっかの皇帝かい!」
トヨタさんのツッコミなのか、ボケなのか分からないのをスルーして行こうとするとトヨタさんが再び声を掛けてきた。
「シュウトはん、申し訳ないやけど行く前にアサから繊維を取り出す方法だけでも教えてくれんか?」
トヨタさんにそう言われた俺は自分が知っている限りの麻に関する知識を話して部屋を後にした。
「それではシュウト様、何方へ向かわれますか?」
ホンダランさんはそう言いながら地図を拡げて見せてくれたので、マップと照らし合わせて1ヶ所ずつ潰して行く事にした。
数件転生させて次へ行こうとするとホンダランさんが声を掛けてきた。
「も・・・も、申し訳ないのですが・・・はぁ、はぁ・・・馬車で・・・移動は無理でしょうか?」
ホンダランさんを見ると汗だくで足をプルプルさせながら言っていた。
あれ~無理させない様に小走りぐらいのつもりだったんだけどなぁ~。
「えぇと、次の所に案内してもらったら先に馬車で向かってもらっても良いですよ。」
「そ、それは・・・はい。ではそうさせて頂きます。」
その後、夕食の時間ギリギリまで走り回ってなんとかダンジョン以外の使命を済ませれた。
「おっ、シュウトはん戻ったんか。えろう急いで使命を済ませたんやなぁ。」
「えっ・・・?」
トヨタさんに言われて驚いた俺はホンダランさんを見た。
「ちゃうちゃう、あんなスピードで街中走っとったら報告が来るわい。」
「あんなスピード?」
「せや、ホンダランはアレでもAランク冒険者なみの強さもっとるんや、そのホンダランが全力疾走しとってギリギリって、どないなスピードやねん。報告来ん方がおかしいやろ。」
「一寸小走りしたつもりだったんですけど・・・。」
俺がそう呟くとハロルドが話し掛けてきた。
「シュウト様、目立たれない様に行動して頂けませんと。」
「・・・えぇと、何か悪い。もっと気を付けるよ。」
「分かって頂ければ私からは何も。」
俺はその後、アキト達を呼び戻すとトヨタさんから食事の誘いがあったので、首相官邸で食事をする事にした。
55
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜
ことりとりとん
ファンタジー
ゲームっぽいシステム満載の異世界に突然呼ばれたので、のんびり生産ライフを送るつもりが……
この世界の文明レベル、低すぎじゃない!?
私はそんなに凄い人じゃないんですけど!
スキルに頼りすぎて上手くいってない世界で、いつの間にか英雄扱いされてますが、気にせず自分のペースで生きようと思います!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる