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9 うさside
しおりを挟むうさが居ない!!
社長のお許しは出てると言っても、内輪の話って感じだから他の人が見たら、また騒ぎになりそうで怖い。
朝の件で寿命が縮み、胃が痛いと言って機嫌が悪いマネージャーが、イライラしてる。こっちも真面目に働きたいよ。正直ほっといても、ただのうさぎじゃ無いから大丈夫な気もする。
戻ってきたらタダじゃおかないからね!!
♢
大きく感じる階段を確認しながら、匂いを辿って登って行く。叶多に付いてきて正解だったかな。叶多がロゼ達に会ってきてくれたから報告も出来たし、指示が出てたのも確認出来た。まったく人使いが荒いねー一応怪我してるんだけど。まぁ、いいや。
それよりも今は、あの社長に会うのが先決。この辺りだと思うんだけど。
ドアを見上げて、鼻で匂いを嗅ぎ分ける。ここで間違いはないだろう。背伸びをしたところで、ドアまで届く訳もないから、ドアをカリカリと引っ掻いてみるしかない。
しばらく、引っ掻いてたらゆっくりとドアが開いた。
「 おや?さっきのうさぎさんじゃないか。どうした?怪我をしていたんじゃないのか」
不思議そうな顔をして僕を見てる。
この会社の社長。
大きな手で僕を抱き上げようとしてるけど、それを無視してピョコピョコと中に入って行く。気配は社長一人だけど、前足を上げて背伸びをしながらキョロキョロと周りを見渡して、社長一人である事を確認した。小さな音を立ててドアが閉まる。
「 好奇心旺盛なうさぎさんだね。飲み物でも持って来ようか 」
大柄な見た目とは裏腹な、のんびりとした口調で社長が背を向ける。
「 用件があって伺いました 」
突然、声が聞こえて今まで居なかった、人間が立っていたら普通驚くだろう。
さして驚いた様子もなく、社長が振り返った。その風貌に不釣合いと思える様な笑顔で嬉しそうに笑っている。
「 まぁまぁ、そう言わずにね。獣人に会える事はそう多くは無い。そこに掛けて待っててくれ 」
粗方、来る事を予想されていた?
社長自らがお茶を用意して戻ってきた。手にしているグラスが小さく見える。警戒心が薄いのかニコニコと楽しそうだ。それとも、自分の方が優位だという事なのか。うさぎは弱者として見られやすい。だから狡猾でずる賢く生きないと。
見た目と中身のギャップは大事。
「 君の噂は耳にしていたよ 」
随分と大胆な行動をしているんだね。目立ち過ぎるんじゃないか?容姿を売りにしている分には打って付けだと思うけど。
そんな事を言って、社長がグラスに口を付けた。
動き方が、僕に合ってるなら何も問題とは思わない。使えるものは使わないと。
目の前に居る人のように、獣人である事を隠しながら人間との関わりを続けて行くのも間違ってない。
人間よりも優れてる点が多いから、この人の様に成功するやらかも少なからず居る。
だけど、そんな獣人はごく僅かで恵まれた環境かそれなりの知識や教育を受けなければ、人間とさして変わる様には思えない。
人間からしてみれば、姿だけじゃなく獣人特有の特質、その事の方が異質で受け入れ難いと感じるからだろう。一部のコレクターみたいな輩は、未だに存在している。見世物のように扱われるだろうが、その存在自体は隠されてるのが現実で。
昔から隠れる様に姿を変え、人に混じるように生きる事が多くなった。
「 先日関わった件で、こちらの会社にも被害が及びそうな話がありました 」
まぁ、最低限の被害だろうけど。
探るように目を見られる。予想はしていたんだろうが、深いため息と共に社長の顔付きが変わる。笑ってないと、そっちの怖い人なんじゃないかと思われるんだろうな。この人。僕も・・・本能的にはヒグマは得意じゃない。
「 怪しげな話は聞いていた。こちらも調査はしていたんだけど。あちらの事務所が問題だと報告があった 」
「 問題なのは、事務所じゃなくて当の本人のようです。こちらにも内通者が居るって事でしょうね。報告が違うようですから 」
直接的な話を振ってきてくれたから、こっちも話がし易くて助かる。どっちにしても問題があるのに変わりない。
「 私が君を信用するとしても、君の条件はなんだい? 」
最低限の被害だろうと、事の振り方によっては甚大な被害を及ぼす。この人は、キチンとその事が理解できるんだろう。
今の世の中、なんでもかんでも叩かれやすい。だからといって慎重になり過ぎるのも良い結果に繋がらない。生きづらい世の中って奴だよね。獣人なんて尚更生きづらい。
「 僕が、代わりのモデルを務めます。無償でと言いたいところですが、幾つか条件を出させてもらいます 」
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