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文化祭編
その11.チェキ会
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ミニ数学オリンピックは――理人の圧勝だった。
フラッシュ暗算は桁数20、行数30でも秒。
チートかよ。
対戦後、門にしがみついていた猛者たちが、妙に爽やかな顔でステージを後にしていった。
「チェキ会、会場はこちらで~す!!」
実行委員の声が響く。
『穂積』の列! 『姫野』の列! そして――『西園寺』の列……
(ん?)
理人のプラカードの前だけ、誰も並んでない。
「有効票、一枚だけだったみたい」
「ああ、ヤが言ってたな」
理人は票数不足でイケコンに出られなかった。だから、姫野・穂積・俺の三人で名前を貸した。
つまり、理人の列は俺しかいない。
「穂積たちのチェキは?」
「拒否」
拒否らしい。
まあ……だろうな、とは思った。
隣の列に視線を移す。
「ハート?いいよぉ」
穂積が女子と一緒に指でハートを作ってる。…ふーん?
「肩を抱いてほしい?こう、かな?」
姫野はさりげなく肩を抱いていた。……ふーん?
「……何?」
「別に」
家では甘々のイチャイチャ変態ヤンデレ男だが、学校ではかっこつけ。
(どうせハートも肩抱きも、してくれないよな~)
「準備、いい?」
実行委員がカメラを構えた。
俺しかいないから、場所は自由らしい。目立たない校舎裏に、三人で移動する。
「……僕の分も」
「二回シャッター押すね」
理人も欲しいらしい。同じ考えなのだろうか?
……あれ、肩を抱かれた。え?二人でハート作った。あ、はい、チー
「ちゅ」
……ちゅ???
「よく撮れてるよ!」
カメラマンが写真を見せてくれた。
……ほっぺに、ちゅーされてる。
相変わらず超イケメンの理人、間抜け顔の俺ーーいや待て、俺は今犬だろ?
………普通に人間じゃね?
「スマホの裏に挟めるんだっけ」
理人が俺のスマホケースを脱皮させていく。
そしてチェキをスッと差し込んだ。
「今日は泊まれる?」
気づけば、カメラマンが消えていた。
その場には、俺と理人だけ。
こんなふうに理人と話すの、ほんとに久しぶりだ。
「……連絡すれば、いける」
「僕の方は、“大丈夫”ってことだけ伝えておくね」
以前なら、泊まりに来て――って流れだった。
「新しい家はどう?」
「広いけど、駅から遠い」
俺は前、理人のタクシー登校を否定していた。
それが今は、俺自身が送迎生活を送っている。
……理人は、ちゃんと電車で通えてるんだろうか。
「……やば。そろそろ戻るか」
スマホを開いて、時計を見る。もうすぐ一日目のプログラムが終わる時間だった。
「……最近、パンしか食べてない」
理人がぽつりとつぶやく。
「マジで?」
「マジ」
またパン定食しか食べていないのだろうか。
俺が引っ越してから、理人に弁当を作ってない。夜は一人だから、おそらく自炊もしていない。
「洗濯機が壊れた」
「は?」
最新型ドラム洗濯機を?どうやったらあれを壊せるんだよ。
「食器洗い機も、泡だらけになった」
「えぇ……?」
お前の家カオスだろ。
「見に行くわ。校門で待ち合わせでいい?」
「騒ぎになるから………別棟の特別教室がいい」
「遠いけど……わかった」
フラッシュ暗算は桁数20、行数30でも秒。
チートかよ。
対戦後、門にしがみついていた猛者たちが、妙に爽やかな顔でステージを後にしていった。
「チェキ会、会場はこちらで~す!!」
実行委員の声が響く。
『穂積』の列! 『姫野』の列! そして――『西園寺』の列……
(ん?)
理人のプラカードの前だけ、誰も並んでない。
「有効票、一枚だけだったみたい」
「ああ、ヤが言ってたな」
理人は票数不足でイケコンに出られなかった。だから、姫野・穂積・俺の三人で名前を貸した。
つまり、理人の列は俺しかいない。
「穂積たちのチェキは?」
「拒否」
拒否らしい。
まあ……だろうな、とは思った。
隣の列に視線を移す。
「ハート?いいよぉ」
穂積が女子と一緒に指でハートを作ってる。…ふーん?
「肩を抱いてほしい?こう、かな?」
姫野はさりげなく肩を抱いていた。……ふーん?
「……何?」
「別に」
家では甘々のイチャイチャ変態ヤンデレ男だが、学校ではかっこつけ。
(どうせハートも肩抱きも、してくれないよな~)
「準備、いい?」
実行委員がカメラを構えた。
俺しかいないから、場所は自由らしい。目立たない校舎裏に、三人で移動する。
「……僕の分も」
「二回シャッター押すね」
理人も欲しいらしい。同じ考えなのだろうか?
……あれ、肩を抱かれた。え?二人でハート作った。あ、はい、チー
「ちゅ」
……ちゅ???
「よく撮れてるよ!」
カメラマンが写真を見せてくれた。
……ほっぺに、ちゅーされてる。
相変わらず超イケメンの理人、間抜け顔の俺ーーいや待て、俺は今犬だろ?
………普通に人間じゃね?
「スマホの裏に挟めるんだっけ」
理人が俺のスマホケースを脱皮させていく。
そしてチェキをスッと差し込んだ。
「今日は泊まれる?」
気づけば、カメラマンが消えていた。
その場には、俺と理人だけ。
こんなふうに理人と話すの、ほんとに久しぶりだ。
「……連絡すれば、いける」
「僕の方は、“大丈夫”ってことだけ伝えておくね」
以前なら、泊まりに来て――って流れだった。
「新しい家はどう?」
「広いけど、駅から遠い」
俺は前、理人のタクシー登校を否定していた。
それが今は、俺自身が送迎生活を送っている。
……理人は、ちゃんと電車で通えてるんだろうか。
「……やば。そろそろ戻るか」
スマホを開いて、時計を見る。もうすぐ一日目のプログラムが終わる時間だった。
「……最近、パンしか食べてない」
理人がぽつりとつぶやく。
「マジで?」
「マジ」
またパン定食しか食べていないのだろうか。
俺が引っ越してから、理人に弁当を作ってない。夜は一人だから、おそらく自炊もしていない。
「洗濯機が壊れた」
「は?」
最新型ドラム洗濯機を?どうやったらあれを壊せるんだよ。
「食器洗い機も、泡だらけになった」
「えぇ……?」
お前の家カオスだろ。
「見に行くわ。校門で待ち合わせでいい?」
「騒ぎになるから………別棟の特別教室がいい」
「遠いけど……わかった」
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