続!素直に同棲したいって言えよ、負けず嫌いめ!ー勉強が苦手な俺がスパダリに溺愛されていますー

美絢

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オメガバース編

その9.(どうして、"番"にさせてくれないんだよ!?)

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 そのまま、ベッドに押し倒された。

「……スオ」

 理人が、俺のシャツのボタンを外し始める。

「ん……っ」

 襟元に唇を寄せた、そのとき。

「ん?」

(待て待て、そうだ。俺は理人を抱いて、うなじを噛まなきゃ――)

「ごめん理人、ちょっと待って」

「なに?」

 肩を押して、タンマをかける。
 そして、真剣に目を見つめてお願いする。

「今日、“交換”したい」

「交換?」

 理人は気にする様子もなく、腹筋のラインに手を這わせる。

 ……止める気、ゼロだな。

 俺は、わかりやすく、きっぱり言った。

「お前に、挿入れたい」

「……またアナニーの話してる?」

 すかさず指がそこを這ってきて、俺はその手を掴んで首を振った。

「違う。……お前を、俺のモノにさせてくれっ!!」

 理人の肩を押し返す。
 パチパチと瞬きをしたあと、驚いた顔で俺の頬をつねった。

「僕を、“スオのモノ”にしてくれるの?」

「うん」

 そのまま、ほっぺをみょーんと引っぱって、じっと俺を見つめてくる。
 俺が真顔でいると、ふっと照れたように笑って、

「……嬉しい」

 両手で俺の頬を包み込みながら、乙女みたいに言った。

「すごく魅力的なお誘い……」

 その目が、あまりにも俺に“ゾッコン“だったから。
 俺は心の中でこっそりガッツポーズを作った。

(……メロメロじゃん?これはイケるだろ)

「そういうことだから。あとは俺に、……」

 任せろ。ぐっと肩を抱き寄せようとした――その瞬間。



 ――手首を、がっちり掴まれた。

「……それは、どうしても“交換”しないとダメなの?」

「……え、う、うん?」

(え、だめだよな?)

 穂積たちが言ってた。
 “挿入れた状態でうなじを噛むと、番になる”って。

(普段はいいけど、今は、……だめだよな?)

 どうやら理人は、本気で話し合う気らしい。
 バカな俺と、天才な彼氏。

(……え?俺が間違ってる?)

 その隙に、ちゃっかり“形勢“が逆転する。

「“スオのモノ”にはなりたいけど、それは――“嫌”」

「え」

(……拒絶された?)

 理系の理人らしくない、感情先行の返事。
 でも、そうしないと番に――

「頼む!頑張るから、一回だけでいいから!!」

「絶対に嫌」

「なんで!?俺のこと、愛してないのかよっ!?」

 必死に説得するけど、取り付く島もない。

 だんだん俺は、ヒステリックになっていった。

「――愛してるよ。でも、これだけは譲れない」

「だってお前は、俺の運命……っ!」

「十分、運命だよ。だって、こんなに仲良しでしょ?」

 手を握り、優しく俺に言い聞かせてくれる。
 でも俺は、その手を振り払った。

「ちがう!!だって好きなのに、俺はお前を、愛してるのに……っ!」

(どうして、番にさせてくれないんだよ!?)

 ……ハッ!

「別の人と、結婚するから?……だから嫌ってこと?」

 姫野が言ってた。理人の婚約者は、“典型的なアルファ”だって。

(そいつと、番うから?)

 理人は、呆れたように言った。

「なに言ってるの? 僕はもう、結婚してるでしょ?」

 静かに、左手の薬指を見せてくる。
 それは、飛行機の機内で渡された、お揃いのシルバーリング。

「ほら」

「お、おう……結婚してたわ……」

 見せつけられて、思考がパニックになる。

(……え、どういうこと?)

「……まあ、普段はつけられないけど」

 理人が、寂しそうに指輪を撫でる。

「……ハワイなら、平気なんだけどね」

 ハワイでは、同性婚ができる。

(……えっ、“戸籍”的な!?)

 そっとリングを外し、ネックレスのチェーンに通してから、

「“カモフラージュ”。本当はもっと、堂々としていたいけど」

(……俺たちの関係、隠してるってこと?)

 小指を立てて、気弱そうに言いかける姿に。

(それ……“オンナ”ってこと!?)

 パズルのピースが、ハマっていく。

 そしてーー

「……スオのこと、守らないといけないから」

 迷うように笑う、その顔。

(アルファと結婚するのって、俺のこと守るため!?)

 西園寺家は、たしかに色々すごいけど。

(世間体とか、体裁とか……あるのかも、しれないけど……!)

 両手で顔を覆った。背中を丸めて、必死に声を絞り出す。

(俺を守るために、結婚なんて……っ!)

 それって、つまり。

(……うなじは、取っておくってこと?)

「うっ……ひっく……!俺だって、お前を守りたいのに……!」

 泣きながら叫んだ。

「やっぱり、挿入れさせろよ……っ!!」

 理人が、ぎょっとして俺の顔を覗き込む。

挿入れさせろって……それは泣くほど、今のえっちが嫌ってこと?
 ……それとも、意地悪しすぎたから?」

 ちょっと困ったように言われて、俺は首を振る。

(俺が、番にするから……!うなじ、くれよ……っ)

 言えずに嗚咽を漏らすと、前髪をかき上げられ、おでこをくっつけられた。

(……ちかい)

「……熱はなさそうだけど、文化祭の疲れかな。なにか作ってくるね」

 そう言って、理人は優しく寝かしつけ、ドアを閉めた。

(……やさしい)

 頭も良くて、見た目も行動も完璧で。
 絶対あいつの方がアルファなのに――

(……オメガ、なんだよな?)

 今日声かけてきたやつも、オメガ。
 理人も姫野も穂積も……みーんなオメガ!

(なんでアルファは、俺だけなんだよっ!?)

 同じ立場で、相談できる相手がいない。
 胸がぎゅっとして、理人を追いかけた。

「……っ待って、り゙ひと、お゙いてかな゙い゙で!!」

 理人が振り返った。めっちゃ心配してる。

「えっ、今度は何があったの?」

 駆け寄ってきた理人に手を伸ばし、抱きついた。
 指先を優しく握られる。

(アルファと結婚するって言ったの、お前じゃん……!)

(俺はアルファで、お前はオメガで……!)

(だから俺は、お前を番にしようとしたのに……っ!)

「だって、お前が嫌だって言うから……!」

 ――でも、噛ませてくれなかった。

 唇を震わせていたら、理人が深く息をついて。

「……わかった。また明日、ちゃんと話し合おう」

 負けず嫌いが折れる形で、この夜は持ち越された。
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