食べ盛りの王女と、魔法の国の呪われた王太子

リカールさん

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9章

仮面の謎を追って~バジエの町へ

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 春から夏にかけての季節は、ソレイヤールの乾期にあたり、雨が少なく晴天が続く。

   しかし、一行が宿を出発したときには、めずらしく小雨が降っていた。
 アルネリアは馬車の窓に額をつけ、いつものようにパウラに向かって語りかけた。
「雨模様の町って、なんかわびしいね」
「でもよく見てごらん。緑が生き返ったような色になってるよね? 乾期には、こういう雨もありがたいものだよ」
 だが、返ってきたのはヴァレリウスの言葉。そのときアルネリアは自分がパウラとは違う木馬車に乗っていたことを思い出した。
「失礼しました。殿下は、細かいところをよくご覧になっていますね」
「本来なら、政治や、国交、そういうことに携われと叱りつける神官もいるけどね」
 ヴァレリウスは笑い声を漏らしたが、少しさみしそうな響きがあった。
「レオーニスさんですか?」
「君もよく見ているね、人を……」
「商売人の息子ですから、人を見なくてはね……」
「私は、教育係にこの国の生き物や自然すべてを愛することを学んだんだ。とてもすばらしいお方だ。そうだ君も会ったことがあるよ。バレムイーダ大神官だ」
 アルネリアはかすかに眉を寄せた。
「うちの国はそれほど宗教は盛んではありませんが、ソレイヤールでは教育係が大神官になるのですか?」
「我が国の伝統はそうだよ。次期国王の教育はとても大事だからね」
 それはそうでしょうけど……。アルネリアは胸の中で答えた。
「それに、あの方は私の恩人でもあるんだ。呪われた絶望していた少年の私に、この世界の愛と喜びを教えてくれたのは、あの方だった。ねえ、知っているかい? 悪というものはこの世にはないんだ。あるのは、愛が足りない世界なんだ。悪は闇で、光という愛が差し込めば、その世界は愛に満ちあふれる。だから私は、希望を胸に生きていけるんだよ」
 表情は見えないが、ヴァレリウスの声は湿っていた。外れない仮面を10年も身につけながら、王太子が純粋培養な心を失わないでいられるのは、宗教と大神官の力もあるのだろう。
「いい師に巡り会えて良かったですね」
 アルネリアの言葉に、ヴァレリウスは満足そうに頷いた。

  ◆◆◆‡◆◆◆‡◆◆◆


 雨雲が重く垂れ込める空の下、木馬車はしばらく走り続け、ボレム近郊のバジエという村に着いた。
「では、私たちはここで、話を聞いてきます」
 アルネリア、そしてパウラとビルギッタがそれぞれ木馬車を降りると……。なぜかヴァレリウスもそれに続いた。
「殿下、なにを?」
 怪訝な顔つきのティリアーノに、ヴァレリウスは「なにが?」と問いたげな声で答える。
「私も行くんだよ」
「ボレムに帰るんじゃないんですか、私と一緒に」
「ティリアーノには仕事があるでしょう。でも私はそれほど忙しくはない。私もこれだけは、人任せにしないで自分でやりたいのです」
 はあああああ。ティリアーノは大きなため息をつくと、しぶしぶ、といった具合で木馬車を降りた。
「わかりましたよ。僕も付き合います。ただその前に、このガリマーロさんを森まで送って帰ってきますからね。あんまり危険なことしないでくださいねっ!」
「大丈夫大丈夫、私に任せなさい」
 ヴァレリウスはいつものように軽い調子で手を胸に当てる。
「あなたの大丈夫ほど心配なものはないというのに……はあ……」
 ティリアーノは馬車だまりに一台木馬車を止め、人目につかない魔法をかけた。そしてなんども振り返りながら、再び木馬車に乗り込む。彼らを乗せた木馬車は、カラカラという音と共に街道の奥へと消えていった。


 バジエは周囲に壁を巡らせている古い町である。
 そしてアルネリアたち4人は、石造りの門をくぐり、町の中に入っていった。
 初夏とはいえ、霧雨が降り続いている町の中は暗い。
 城壁都市は、王都ボレムや港町ヒシのような開かれた町とは異なり、常に町のどこかに壁が作る影が落ちているものだ。そのため、晴れていても陰鬱でじめじめした印象を与えてしまう。
 それでもその暗さが、自分たちが生まれたアーレンの町と重なって、アルネリアはかすかな懐かしさを覚えた。
「さて、どこに行きましょうか。靴、帽子、手袋……いろんな工房があるけど」
 目抜き通りを一目見るだけで、工房を兼ねる店の種類がわかる。軒先に特徴的な吊り看板が下がっているからである。皮をなめすときには、相当な悪臭が漂う。そのため、ノルデスラムトでは、なめし専用職人と、それに細工を施し販売する職人は、別の区域で暮らしている。その点は、ソレイヤールも同じらしい。
「それもそうだけど、先に宿を取っておこう。今日中に調べきれないかもしれないからね。ティリアーノと私が1室、あなたたち3人で1室」
 ヴァレリウスは、熊が描かれている吊り看板を指さした。
 レンガと木組みを組み合わせたような建物は古く、中に入ると埃や煤が混じったようなにおいが鼻をつく。
 ほとんど営業しているとは思えない食堂の奥で、ヴァレリウスは鈴を鳴らした。しばらくして、店の奥から陰鬱そうな顔の中年男性が現れる。
「5人でふた部屋ですが、空いてますか?」
「先払いだがいいか? 5人で80ルーロだ」
 ヴァレリウスはしばらく自分の腰のあたりを手で探り、そのあとおもむろに顔をビルギッタに向けた。ビルギッタは静かに息を吐いたあと、腰の袋から銅貨を取り、宿の主人に手渡した。
  その様子を見ていたパウラが、そっとアルネリアの上着を引く。
「大丈夫ですかね?」
「なにが?」
「だって地獄を見てきたガリマーロさんと、世情に長けてそうなティリアーノさんがいなくて、ここにいるのは、見事なくらい世間知らずばかりでしょう? まだ子供の私たちと、戦うことしか知らない母上と、あと……」
「皆まで言わなくていいから」
 偽物の少年である自分たちとは違い、ヴァレリウスはとにかく本物の男性である。もしかしたら、子供と女性の組み合わせになることを心配して、ヴァレリウスはここに残ると言ってくれたかもしれない、とアルネリアは思う。ただ、ビルギッタはおそらくヴァレリウスとティリアーノが一度にかかってきたとしても、簡単にねじ伏せてしまうと思うが……。
「さて、部屋も取ったし。これから町の散策に行きましょう」
 皆を促すヴァレリウスは、肩の辺りに、いかにもやりきったという達成感を漂わせていた。

 ◆◆◆‡◆◆◆‡◆◆◆

  それから4人は、手当たり次第目についた店に入り、対応した人に質問を投げかけた。
「10年ほど前、戦のときに仮面の注文を受けませんでしたか?」
 返ってくる答えはバラバラだった。
「うちは靴しか作らないからね」
「手袋なら作りましたけど」
 ただ、帽子の吊り看板が出ている工房は違っていた。
「そういえば作らされましたね。でも話を受けたのは先代でしたから、詳しい話は知りません」
 だいたい中年にさしかかった頃と思われる男性が、思い出しながら答えてくれた。
「そうですか。ほかに、どなたか同じ仕事を請け負った方をご存じじゃないですか?」
 男性の職人はしばらく頭をかいてから、ぼそりとつぶやいた。
「確かではないんだけど、この裏通りにある、カエルの吊り看板の工房ね、うちよりも向こうの方が多く引き受けたって話だよ」
「ありがとうございました。そこに行ってみます」
 ヴァレリウスが頭を下げて、工房を出ようとしたとき、「あ、ちょっと」と職人が呼び止めた。
「なにか?」
「悪口は言いたくないんだが、その人、ちょっと変わってるんだよ。昔からこの町にいたわけじゃなくて、工房付きの店を買った人でね。それでこの町の職人を金で引っ張って、自分の工房の職人にしたという」
 なるほど。商売敵になっただけでなく、優秀な職人を引き抜かれた恨みもあるかもしれないというわけか。アルネリアは話半分に聞くことにした。


  帽子店を出て目抜き通りをしばらく歩く。
 町の入り口から遠くなればなるほど、建物から華やかさがなくなり、薄汚れた風情が漂う。さらに裏道に入ると、通りも狭く、看板を出している建物も少ない。
 誰も住んでいないと思われる建物もあり、壊れた木の扉の向こうには、傾いだ木材や崩れた上階の床が見える場所もあった。
「カエルねえ……あ、あれじゃない?」
 キョロキョロ見渡していたパウラが指を指した先に、小さく黒ずんだ看板が見えた。目をこらせばカエルの絵に見えなくもない。
「うーむこれは……」
 アルネリアは店の前で腕を組んで看板を見上げた。
 通常看板というものは、客の目を引いて、店に呼び込むためにつけるはずなのだが、これはどちらかというと、単なる目印にしかなっていないようである。
 店はというと、ガラスが汚れて中が見えない。扉の金具も触るだけで手が汚れそうである。それでもアルネリアは、扉に手をかけて、引いた。ギィ……という鈍い音が響く。
  店の中には、何の灯火もない。薄闇に目が慣れるまでに、しばらく時間がかかった。ようやく室内の輪郭が浮かんで、アルネリアは周りを見回した。
 店内は、予想と違って片付いていた。その前に訪れた手袋店や帽子店には、商品が乱雑に積み重ねられていたが、この店には、ぽつりとカウンターがあるだけで、ほとんど商品らしいものがない。それでも、皮革独特の染料のにおいがかすかに鼻腔を刺激する。
「すみません」
 人がいなかったので、ヴァレリウスが呼びかけた。間があって、奥で人の気配があった。
「誰だ」
 のそり、と出てきた人物は、禿頭で小柄な男性だった。革職人がよく着ている短めのベストの下には白いシャツ。ズボンの上に余った肉がだらしなく乗っているような、初老の男性であった。
「紹介状でもあるのか、なんの用だ?」
 男はしわがれた声と、うさんくさそうな目で一同を威圧した。
「10年ほど前、戦のときにマスクの注文を受けませんでしたか?」
 ヴァレリウスが同じ質問を投げかけたが、
「知らねえ」
 とりつく島もない、という態度である。
「では、ツニヤーダという神官に覚えは」
「あるわけねえだろ! ここはおまえたちが来る所じゃねえ、帰れっ!」
 男の口から飛んできたつばをよけるように、アルネリアは店の入り口の方に後退った。「帰ろうよ。ここじゃないらしい」
  アルネリアは言いながら、扉を押し、外に出た。
 元来た道を引き返す一同は、無言だった。思うことはもちろんあるが、口に出してはいけない。そんな用心を強いるような気配が、裏路地のあたりに強く漂っている。
 目抜き通りに入ると、空を覆っていた厚い雲が流れ、青空ものぞくようになっていた。だが時は夕刻に近く、そろそろ店が扉に鍵をかけ始める頃になっていた。
「あ、ちょっと待って」
 アルネリアは途中の一軒の店に立ち寄った。吊り看板にペンの絵が描かれている店である。そのあとで、宿に引き返した。
 買ったものは1枚の紙で、アルネリアは霧雨に濡れないように、宿に着くまで上着の下に大切にしまいこんでいた。
「ごめん、ちょっとだけひとりにしてくれないかな」
 パウラにそっとささやいたアルネリアは、明らかに何かを企んでいた。
 その表情から何を言っても無駄だと察したパウラは、ビルギッタとヴァレリウスをしばらくの間別の部屋に誘った。
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