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第三章:アイゼン・ガルドの平穏な日々
ハーフエルフ、次の仕事を思いつかれる
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客室の並ぶ廊下の先から、何やら騒がしい絶叫と、乾いた破裂音が聞こえてくる。
丸太造りの館を揺らすその喧騒に、シャルマーニは重い瞼を持ち上げた。
「……ふん。あやつら、朝から精が出る。若いというのは騒々しいものだな」
若いと言って鼻を鳴らす彼女自身も現在二十二歳の若い女性であり、ロランドよりも年下なのだ。
下手をすればランスローネの方が遥かに歳上かもしれない。
だが、実年齢を上回る覇気と貫録がシャルマーニには備わっている。
ふと横を見れば、たわわな膨らみに厚かましくも手をかけ、満足げに添い寝しているオリビエがいた。
朝の光を浴びたその顔は、聖職者とは思えぬほど堕落した平穏に満ちている。
「いつまで寝ている、この生臭坊主が」
シャルマーニは一切の躊躇なく、オリビエをベッドから力任せに蹴り落とした。
「あうっ!? あぁ、なんというエレガントな目覚めだ……我が主の足の感触で朝を迎えられるとは……」
床に転がったオリビエが、痛みよりも恍惚とした表情で前髪を払う。
シャルマーニはそれを一瞥もせず、一糸纏わぬ艶姿のままベッドを出て立ち上がった。
「さて、あのハーフエルフ……ランスローネには、次に何をさせるか」
腕組みをし、自らの豊かな胸の重みを支えるように持ち上げつつ、シャルマーニは思考を巡らせる。
ドワーフの鉱夫や職人たちは、引き続き地下鉱脈から鉄を掘らせるが、あの岩山をそのまま彼らの「所領」として与えた。
それがシュミットとの契約だ。
(鉄を採る代わりに、住処を与える。鉄を打つ技術は提供させるが、あやつらは『この街』を造る義務までは負っておらぬ)
シュミットらドワーフの技術は、あくまで鉄製品の製造に特化している。
だが、アイゼン・ガルドはまだ脆弱だ。
ランスローネが初日に見抜いた通り、この館は火に弱く、防腐処理も甘い突貫工事の産物である。
「鉄は採れる。ならば、それを活かす『設計図』が必要だ。このアイゼン・ガルドを、名実ともに鉄壁の要塞都市へと作り替えさせる。その総責任者は、工兵長となったあやつ以外におるまい」
都市計画。
それはただ道を作るのとは訳が違う、巨大な労力を要する仕事だ。
だが、シャルマーニの冷徹な頭脳には、すでに完成されたアイゼン・ガルドの威容が浮かんでいる。
「……お考えは、まとまりましたか?」
背後から、オリビエがガウンをシャルマーニの肩にかけつつ抱きついてきた。
項に吹きかけられる甘い息を無視し、シャルマーニは窓の外の荒野を見据える。
「お前はさっさと、朝の礼拝にでも行ってこい。その薄汚れた魂を神にでも洗ってもらうのだな」
シャルマーニは後ろ足の踵で、オリビエの股間を容赦なく、そして「エレガントに」蹴り上げた。
「ぐはぁっ!? あぁ、神よ……! 今日も殿下の愛は深く、鋭い……ッ!」
悶絶しながら床に這いつくばるオリビエを尻目に、シャルマーニはガウンを甲冑のマントのごとく翻し、寝室から颯爽と出て行った。
丸太造りの館を揺らすその喧騒に、シャルマーニは重い瞼を持ち上げた。
「……ふん。あやつら、朝から精が出る。若いというのは騒々しいものだな」
若いと言って鼻を鳴らす彼女自身も現在二十二歳の若い女性であり、ロランドよりも年下なのだ。
下手をすればランスローネの方が遥かに歳上かもしれない。
だが、実年齢を上回る覇気と貫録がシャルマーニには備わっている。
ふと横を見れば、たわわな膨らみに厚かましくも手をかけ、満足げに添い寝しているオリビエがいた。
朝の光を浴びたその顔は、聖職者とは思えぬほど堕落した平穏に満ちている。
「いつまで寝ている、この生臭坊主が」
シャルマーニは一切の躊躇なく、オリビエをベッドから力任せに蹴り落とした。
「あうっ!? あぁ、なんというエレガントな目覚めだ……我が主の足の感触で朝を迎えられるとは……」
床に転がったオリビエが、痛みよりも恍惚とした表情で前髪を払う。
シャルマーニはそれを一瞥もせず、一糸纏わぬ艶姿のままベッドを出て立ち上がった。
「さて、あのハーフエルフ……ランスローネには、次に何をさせるか」
腕組みをし、自らの豊かな胸の重みを支えるように持ち上げつつ、シャルマーニは思考を巡らせる。
ドワーフの鉱夫や職人たちは、引き続き地下鉱脈から鉄を掘らせるが、あの岩山をそのまま彼らの「所領」として与えた。
それがシュミットとの契約だ。
(鉄を採る代わりに、住処を与える。鉄を打つ技術は提供させるが、あやつらは『この街』を造る義務までは負っておらぬ)
シュミットらドワーフの技術は、あくまで鉄製品の製造に特化している。
だが、アイゼン・ガルドはまだ脆弱だ。
ランスローネが初日に見抜いた通り、この館は火に弱く、防腐処理も甘い突貫工事の産物である。
「鉄は採れる。ならば、それを活かす『設計図』が必要だ。このアイゼン・ガルドを、名実ともに鉄壁の要塞都市へと作り替えさせる。その総責任者は、工兵長となったあやつ以外におるまい」
都市計画。
それはただ道を作るのとは訳が違う、巨大な労力を要する仕事だ。
だが、シャルマーニの冷徹な頭脳には、すでに完成されたアイゼン・ガルドの威容が浮かんでいる。
「……お考えは、まとまりましたか?」
背後から、オリビエがガウンをシャルマーニの肩にかけつつ抱きついてきた。
項に吹きかけられる甘い息を無視し、シャルマーニは窓の外の荒野を見据える。
「お前はさっさと、朝の礼拝にでも行ってこい。その薄汚れた魂を神にでも洗ってもらうのだな」
シャルマーニは後ろ足の踵で、オリビエの股間を容赦なく、そして「エレガントに」蹴り上げた。
「ぐはぁっ!? あぁ、神よ……! 今日も殿下の愛は深く、鋭い……ッ!」
悶絶しながら床に這いつくばるオリビエを尻目に、シャルマーニはガウンを甲冑のマントのごとく翻し、寝室から颯爽と出て行った。
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