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第三章:アイゼン・ガルドの平穏な日々
ハーフエルフ、道路を整える
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岩と灌木だらけのヴェリア辺境領。
その唯一にして最大都市アイゼン・ガルドの街は、丸太柵で四角形に囲われている。
中心にある大広場から、東西南北へと真っ直ぐに道が伸びて区分けされ、北西部は領主館、北東部は空き地、南西部は居住区、南東部は商業区となっている。
「街を知るには商いや」
ランスローネは、先ずは商業区から見て回る事にした。
「ランスローネ、剣は持っていけ」
「そうなん? 街の中やし、ロランドはんが守ってくれるから大丈夫ちゃうん?」
「そのつもりだが、万が一の事もある」
「ふむ……分かったわ」
ロランドに言われたランスローネは、領主館二階に新たに与えられた部屋に戻って腰に剣を佩く。
漆黒の鞘に収まった長剣アロンダートだ。
今は亡き母の形見であり、故郷を出てからずっと愛用してきた剣だ。
その柄を握ると、掌にしっくりと馴染む。
ふと、部屋のベッドを見る。
ロランドとまぐわったのはこの部屋でではないが、なかなかに熱く濃厚で甘美な行為であった。
「ええい……!」
美貌を耳まで真っ赤にしたランスローネは、頭を左右に振って一つに束ねた蜂蜜色の長髪を揺らし、両手で頬を叩いて気を引き締め、部屋を出て一階の大広間に再び降りる。
「一応俺も持っていくぜ。こいつは武器にもなるしな」
シュミットは長大な金槌を肩に担いでいた。
「わたしは、護身用にこれを持ってます」
エーリカは身に纏う大き目のローブの前を開いて、腰に帯びた短剣を見せる。
「おぉ!? エーリカ、なかなかええ乳してるやん」
「きゃっ、何を下衆化してるんですかローネさんっ」
ランスローネはローブの下の衣服に包まれた大きな胸を覗き込み、エーリカは慌てて胸前を隠して身を捩る。
「むぅ……!」
ロランドは精悍な顔を赤らめて目を逸らす。
彼は常在戦場とばかり常に鎧姿であり、腰に剣を佩いている。
「酔うてるときはうちの体を隅々までよう見よったくせに、素面のときは純情で真面目なやっちゃなロランドはん」
「う……!」
「ははは。ほな行こか」
揶揄われて絶句するロランドの様子を笑うと、ランスローネは一同を伴って街へと繰り出した。
一概に商業区と言っても、アイゼン・ガルドは施設や設備が整った都市ではない。
建物は石造りではなく丸太家屋。
そして道路は石畳で舗装されたものではなく、土を踏み固めた代物だ。
表面は脆く、風や振動で出来た凹凸だらけである。
一台の荷馬車が、道路の凸凹に嵌って立ち往生していた。
岩山の『ヴェリアの心臓』から重い鉄塊を積んで、『蛇の道』を通って運んで来たのだ。
荷馬車の人夫が数人がかりで動かそうとしているが、なかなか動かない。
「あ~もう、しゃあないな……土の精霊ドゥーフ・ゼムリア、うちに力を貸しや」
見かねたランスローネは土の精霊ドゥーフ・ゼムリアに呼びかけた。
「ちょっとお願いあんねん。この街の道路を、馬車がすんなり通れるようにしたって」
現れた土の精霊に頼むと、アイゼン・ガルドの街中の道路が舗装されたように固く整えられた。
力を振り絞って引いたり押していた人夫たちは、急に荷馬車が動いたので驚きの声を上げる。
「あっ、危ない……先に知らせといたったらよかったな、すんまそーん」
ランスローネは人夫たちに謝ると、ロランドたち振り向く。
「どや、早速結果を一つ出したったで!」
「「「おー」」」
ロランドとシュミットとエーリカは拍手をして讃える。
「まだ排水とか考えなあかんけど、それは追々や」
「排水まで頭が回るなんて、さすがですローネさん」
「せやろ、もっと褒めてや!」
エーリカが感心し、ランスローネはドヤ顔して一同の笑いを誘う。
「ほなこの調子で、次に行こか!」
ランスローネたちは意気揚々と商業区に足を踏み入れた。
その唯一にして最大都市アイゼン・ガルドの街は、丸太柵で四角形に囲われている。
中心にある大広場から、東西南北へと真っ直ぐに道が伸びて区分けされ、北西部は領主館、北東部は空き地、南西部は居住区、南東部は商業区となっている。
「街を知るには商いや」
ランスローネは、先ずは商業区から見て回る事にした。
「ランスローネ、剣は持っていけ」
「そうなん? 街の中やし、ロランドはんが守ってくれるから大丈夫ちゃうん?」
「そのつもりだが、万が一の事もある」
「ふむ……分かったわ」
ロランドに言われたランスローネは、領主館二階に新たに与えられた部屋に戻って腰に剣を佩く。
漆黒の鞘に収まった長剣アロンダートだ。
今は亡き母の形見であり、故郷を出てからずっと愛用してきた剣だ。
その柄を握ると、掌にしっくりと馴染む。
ふと、部屋のベッドを見る。
ロランドとまぐわったのはこの部屋でではないが、なかなかに熱く濃厚で甘美な行為であった。
「ええい……!」
美貌を耳まで真っ赤にしたランスローネは、頭を左右に振って一つに束ねた蜂蜜色の長髪を揺らし、両手で頬を叩いて気を引き締め、部屋を出て一階の大広間に再び降りる。
「一応俺も持っていくぜ。こいつは武器にもなるしな」
シュミットは長大な金槌を肩に担いでいた。
「わたしは、護身用にこれを持ってます」
エーリカは身に纏う大き目のローブの前を開いて、腰に帯びた短剣を見せる。
「おぉ!? エーリカ、なかなかええ乳してるやん」
「きゃっ、何を下衆化してるんですかローネさんっ」
ランスローネはローブの下の衣服に包まれた大きな胸を覗き込み、エーリカは慌てて胸前を隠して身を捩る。
「むぅ……!」
ロランドは精悍な顔を赤らめて目を逸らす。
彼は常在戦場とばかり常に鎧姿であり、腰に剣を佩いている。
「酔うてるときはうちの体を隅々までよう見よったくせに、素面のときは純情で真面目なやっちゃなロランドはん」
「う……!」
「ははは。ほな行こか」
揶揄われて絶句するロランドの様子を笑うと、ランスローネは一同を伴って街へと繰り出した。
一概に商業区と言っても、アイゼン・ガルドは施設や設備が整った都市ではない。
建物は石造りではなく丸太家屋。
そして道路は石畳で舗装されたものではなく、土を踏み固めた代物だ。
表面は脆く、風や振動で出来た凹凸だらけである。
一台の荷馬車が、道路の凸凹に嵌って立ち往生していた。
岩山の『ヴェリアの心臓』から重い鉄塊を積んで、『蛇の道』を通って運んで来たのだ。
荷馬車の人夫が数人がかりで動かそうとしているが、なかなか動かない。
「あ~もう、しゃあないな……土の精霊ドゥーフ・ゼムリア、うちに力を貸しや」
見かねたランスローネは土の精霊ドゥーフ・ゼムリアに呼びかけた。
「ちょっとお願いあんねん。この街の道路を、馬車がすんなり通れるようにしたって」
現れた土の精霊に頼むと、アイゼン・ガルドの街中の道路が舗装されたように固く整えられた。
力を振り絞って引いたり押していた人夫たちは、急に荷馬車が動いたので驚きの声を上げる。
「あっ、危ない……先に知らせといたったらよかったな、すんまそーん」
ランスローネは人夫たちに謝ると、ロランドたち振り向く。
「どや、早速結果を一つ出したったで!」
「「「おー」」」
ロランドとシュミットとエーリカは拍手をして讃える。
「まだ排水とか考えなあかんけど、それは追々や」
「排水まで頭が回るなんて、さすがですローネさん」
「せやろ、もっと褒めてや!」
エーリカが感心し、ランスローネはドヤ顔して一同の笑いを誘う。
「ほなこの調子で、次に行こか!」
ランスローネたちは意気揚々と商業区に足を踏み入れた。
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