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伯爵令嬢ジェセニア
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現実世界との繋がりが、転生や転移くらいな程度のハイ・ファンタジーな世界に存在する巨大な陸塊『エウラシア大陸』。
主要な知覚種族は人間だが、エルフやドワーフやオークなどの亜人種族も生息している。
そこでは、大小さまざま国が入り乱れて勃興衰亡を繰り返していた。
エウラシア大陸南方、数多の自治領国を束ねる『グリース連合王国』。
その一翼を担いながらも、豊かな資源と高度な魔法技術で半独立の地位を保つ地──レキサンドニア侯国は、レキサンドニア侯爵の爵位を持つ者が元首だ。
レキサンドニア侯国の侯都ウィンドラゴンでは、レキサンドニア侯国随一の教育機関『レキサンドニア学院』の創立記念パーティーが催されようとしていた。
侯都ウィンドラゴンの市街地にある、アシュリー伯爵邸宅内の、伯爵令嬢ジェセニアの部屋。
「エリック様は、どーいうつもりなんですやろか?
栄えあるレキサンドニア学院の創立記念パーティーの入場に、婚約者であるジェセニア様をエスコートしないなんて阿呆過ぎますわ!」
メイド服を着た茶髪ポニーテールの少女──ジェセニア付きの侍女シャーリーは、ジェセニアの長い黒髪をブラッシングしながら立腹して言う。
エリック様とは、現在のレキサンドニア侯爵の子息であり、ジェセニアの婚約者であるエリック侯子のことだ。
ジェセニアは、エリック侯子と共にレキサンドニア学院に通っている。
レキサンドニア学院は、レキサンドニア侯国の貴族の子女が集う学び舎だ。
侯国の藩屏となる人材を育てるべく、初代レキサンドニア侯爵が創立してから長い歴史と伝統を持つ学校である。
本日は、レキサンドニア学院の創立記念日であり、それを祝う創立記念パーティーが催され、ジェセニアもエリック侯子も出席する。
なのにエリック侯子が、婚約者であるジェセニアの入場のエスコート役をしないという、貴族のマナーの常識に外れたことをすると言ってきたのだ。
「そう怒んな、シャーリーや。
エリック様の奇行は、今に始まったことやない。
ちょっと阿呆な困ったちゃんやけどな……」
「せやけど、ジェセニア様。
栄えあるアシュリー伯爵家御令嬢が、エスコート無しにパーティーに入場するなんて!
嗚呼、どーしてこんな一大事に、旦那様が不在なんやろか……」
「御父上は侯国御所顧問職や。
侯爵閣下の外遊に随行するのは当然やろう。
別にパーティーのエスコート役が無いことなんて、たいした問題やないぞ」
「大ありですやん!
ジェセニア様は、侯爵夫人となるべき御方でっせ。
このレキサンドニア侯国の将来を担われる御方なんでっせ!」
シャーリーはジェセニアと同い年で、幼馴染だ。
お付きの侍女という贔屓目もあるだろうが、シャーリーは敬慕するジェセニアが偉大な侯爵夫人になると本気で思っていた。
「そう言われると面映ゆいけど、エリック様はわたしの夫となる人なんや。
阿呆なんは確かやけど、あんまし悪口を言われるのは、気分良うないで」
「す、すんまそん!」
「いんや、わたしを大切に思うお前の気持ちは嬉しいで」
ジェセニアはシャーリーを窘めつつ、穏やかに微笑む。
髪を整え、パーティーで着るオートクチュールのドレスを着たジェセニアは、アシュリー伯爵家邸宅からレキサンドニア学院へと、箱馬車で向かった。
主要な知覚種族は人間だが、エルフやドワーフやオークなどの亜人種族も生息している。
そこでは、大小さまざま国が入り乱れて勃興衰亡を繰り返していた。
エウラシア大陸南方、数多の自治領国を束ねる『グリース連合王国』。
その一翼を担いながらも、豊かな資源と高度な魔法技術で半独立の地位を保つ地──レキサンドニア侯国は、レキサンドニア侯爵の爵位を持つ者が元首だ。
レキサンドニア侯国の侯都ウィンドラゴンでは、レキサンドニア侯国随一の教育機関『レキサンドニア学院』の創立記念パーティーが催されようとしていた。
侯都ウィンドラゴンの市街地にある、アシュリー伯爵邸宅内の、伯爵令嬢ジェセニアの部屋。
「エリック様は、どーいうつもりなんですやろか?
栄えあるレキサンドニア学院の創立記念パーティーの入場に、婚約者であるジェセニア様をエスコートしないなんて阿呆過ぎますわ!」
メイド服を着た茶髪ポニーテールの少女──ジェセニア付きの侍女シャーリーは、ジェセニアの長い黒髪をブラッシングしながら立腹して言う。
エリック様とは、現在のレキサンドニア侯爵の子息であり、ジェセニアの婚約者であるエリック侯子のことだ。
ジェセニアは、エリック侯子と共にレキサンドニア学院に通っている。
レキサンドニア学院は、レキサンドニア侯国の貴族の子女が集う学び舎だ。
侯国の藩屏となる人材を育てるべく、初代レキサンドニア侯爵が創立してから長い歴史と伝統を持つ学校である。
本日は、レキサンドニア学院の創立記念日であり、それを祝う創立記念パーティーが催され、ジェセニアもエリック侯子も出席する。
なのにエリック侯子が、婚約者であるジェセニアの入場のエスコート役をしないという、貴族のマナーの常識に外れたことをすると言ってきたのだ。
「そう怒んな、シャーリーや。
エリック様の奇行は、今に始まったことやない。
ちょっと阿呆な困ったちゃんやけどな……」
「せやけど、ジェセニア様。
栄えあるアシュリー伯爵家御令嬢が、エスコート無しにパーティーに入場するなんて!
嗚呼、どーしてこんな一大事に、旦那様が不在なんやろか……」
「御父上は侯国御所顧問職や。
侯爵閣下の外遊に随行するのは当然やろう。
別にパーティーのエスコート役が無いことなんて、たいした問題やないぞ」
「大ありですやん!
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このレキサンドニア侯国の将来を担われる御方なんでっせ!」
シャーリーはジェセニアと同い年で、幼馴染だ。
お付きの侍女という贔屓目もあるだろうが、シャーリーは敬慕するジェセニアが偉大な侯爵夫人になると本気で思っていた。
「そう言われると面映ゆいけど、エリック様はわたしの夫となる人なんや。
阿呆なんは確かやけど、あんまし悪口を言われるのは、気分良うないで」
「す、すんまそん!」
「いんや、わたしを大切に思うお前の気持ちは嬉しいで」
ジェセニアはシャーリーを窘めつつ、穏やかに微笑む。
髪を整え、パーティーで着るオートクチュールのドレスを着たジェセニアは、アシュリー伯爵家邸宅からレキサンドニア学院へと、箱馬車で向かった。
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