ジェセニア戦記 追放された伯爵令嬢は、森の精霊と魅了の力で敵対者を跪かせる

米ちゃん

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婚約破棄宣言

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(わたしが着るこのドレス一着の値段で、貧しい民草がどれだけ食べられるやろうか……)

 箱馬車の座席から、窓の外の景色を眺めながらジェセニアはそんなことを考える。

 一回のパーティーごとにドレスを新調する貴族社会の見栄と慣習を、貴族の家に生まれ育ちながら、ジェセニアは馬鹿馬鹿しく思うのだ。
 
 パーティーのドレスなど、お古でも良いというのがジェセニアの考えである。

(とはいえ、わたしは将来侯爵夫人となる身や。
 グリース連合王国内の自治領とはいえ、半独立国であるレキサンドニア侯国の上に立つ者が、あまり貧乏くさかったら、他の王侯貴族に品位を低く見られて侮られてしまう。
 ある程度の贅沢は仕方ないかもしれんが、度が過ぎればそれだけ民草が苦しんでしまうわ。
 阿呆なエリック様がレキサンドニア侯爵になったら、いきなり租税を、これまでの百倍にするとか言いそうやしな。
 この国を守るためにも、わたしが侯爵夫人として、しっかりと手綱を握らんとな!)

 決意を新たにして、ジェセニアはレキサンドニア学院に着いた。

 創立記念パーティーの会場は、レキサンドニア学院校舎内の大広間だ。

 既に入場していた貴族の子女たちは、エスコート役無しに一人で会場入りしたジェセニアを見てどよめきを起こす。

(エリック様は──おった)

 パーティー会場の中心に、ウェーブのかかった銀髪をした見目麗しい貴公子──エリック侯子を発見したジェセニアは、優雅に歩いて近づいた。

 そして──

「アシュリー伯爵令嬢ジェセニア!
 レキサンドニア侯国侯子エリックの名において、おんどれとの婚約を破棄すんぞ!」
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