ジェセニア戦記 追放された伯爵令嬢は、森の精霊と魅了の力で敵対者を跪かせる

米ちゃん

文字の大きさ
3 / 7

込み上げてきた怒り

しおりを挟む
 ジェセニアに向かって婚約破棄を宣言するエリック侯子の声が響き渡り、会場内はしんと静まり返った。

 エリック侯子の背後から、ウェービーボブの茶髪をした小柄で肉感的な可愛らしい少女が、怯えるような表情でジェセニアを見ている。

 少女の名は、アリシアという。

 アリシアは平民出身だが、父親が現レキサンドニア侯国に多額の税金を納めている大商人で、本人も特別にレキサンドニア学院に通うことが許可された。

 学業成績は芳しい方ではなく、礼儀作法も行儀作法もなってないが、魔法には図抜けた才能があり、どこか人を惹きつける魅力があった。

 ジェセニアは、アリシアを平民だからと蔑んだり、目障りだからと虐めたりもせず、逆にそういったことをする輩を窘めていた。

 平民が傅いてくれるからこそ、王侯貴族は彼らの上に君臨出来るのである。

 身分が低いからと虐げ蔑むのは愚か者のすることだと、ジェセニアは思っていた。

 が、アリシアとは特別に仲良く接したりもせずにいた。

 身分の貴賤に関わらず、アリシアの人柄が芳しくないと、ジェセニアは個人的に思っていたからだ。

 アリシアを守るように、周囲には四人の少年が立ち、いずれも厳しい視線をジェセニアに向けている。

 センターパートの黒髪をした小癪な顔をした貴公子ヘンゼル。

 レキサンドニア侯国御所魔法術士長グーグルハルト伯爵の子息で、次期御所魔法術士長候補だ。

 レキサンドニア学院の学業成績は、首席のジェセニアに次ぐ秀才である。

 マッシュルームの茶髪をした軟派そうな印象の美少年ユリアン。

 レキサンドニア侯国の財務大臣レイヴンズクロフト伯爵の子息である。

 エリック侯子ほど美形ではないが、数多くの艶聞が立っている。

 ウルフカットの赤髪をした野生的な雰囲気のエドガー。
 
 レキサンドニア侯国常備軍であるレキサンドニア騎士団団長ブレスリー伯爵の子息だ。

 レキサンドニア騎士団の次期団長に相応しい武勇の持ち主である。

 ツーブロックの茶髪をした精悍な顔立ちのブランドン。

 ジェセニアの腹違いの弟である。

 レキサンドニア侯国を守護する勇者的存在である『聖騎士』になるべく、その見習いとして日々励んでいる。

 婚約者と学友たち、そして異母弟から感じる憎悪に、ジェセニアは内心怯むが、込み上げてきた怒りが勝った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

追放された無能、実は全スキルを喰らう者だった

ruta32
ファンタジー
「スキル:無。追放します」——王に切り捨てられた蓮が最初に出会ったのは、己を殺そうとした野盗だった。気づいた時には、四人分のスキルが体の中に宿っていた。これは、世界最強への静かな歩みの記録である。

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

悪役(っぽい)令嬢、婚約破棄され(そうにな)る

ひぽたま
ファンタジー
悪役(っぽい)巻き毛の公爵令嬢、マルガリータはある日突然、婚約者たる王子に告げられた。 「マルガリータ令嬢、そなたとの婚約を破棄する!」 聞けば王子は病に侵された際、心を込めて看病してくれた平民出身の令嬢にほだされたのだという。 それはそれでいたしかたないが、マルガリータには質さなければならない事情があってーー。 (pixivに先に掲載したものです)

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

悪役令嬢を断罪したくせに、今さら溺愛とか都合が良すぎますわ!

nacat
恋愛
侯爵令嬢リディアは、無実の罪で婚約者の王太子に断罪された。 冷笑を浮かべ、すべてを捨てて国外へ去った彼女が、数年後、驚くべき姿で帰ってくる。 誰もが羨む天才魔導師として──。 今さら後悔する王太子、ざまぁを噛みしめる貴族令嬢たち。 そして、リディアをひそかに守ってきた公爵の青年が、ようやく想いを告げる時が来た。 これは、不当な断罪を受けた少女が、自分の誇りと愛を取り戻す溺愛系ロマンス。 すべての「裏切られた少女」たちに捧ぐ、痛快で甘く切ない逆転劇。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...