ジェセニア戦記 追放された伯爵令嬢は、森の精霊と魅了の力で敵対者を跪かせる

米ちゃん

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異母弟ブランドン

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「……エリック様、これは、どういうことでっしゃろか?」

 ジェセニアは、わなわなと体を震わせて、虹彩が紫色の双眸を怒りに燃やしてエリック侯子を睨む。

「理由を、お聞かせ願えますやろなあ?」

 ジェセニアが当然の質問をエリック侯子にすると、アリシアを守るように立つ少年たちの視線が、ますます厳しくなった。

「とぼけるつも──」

「とぼけるつもりかいな、姉さん!」

 エリック侯子の発言を被せ遮るようにして、ブランドンが一歩前に進み出て言う。

 ジェセニアが侯爵夫人となったとき、ブランドンはエリック侯子の側近として仕えるべく、普段から侍っている。

「アリシアに、酷いことをしておいてからに!」

 ブランドンは琥珀色の瞳に憎しみの感情を浮かべて、ジェセニアを睨む。

 ジェセニアは正妻の子、ブランドンは妾の子。

 ジェセニアの母は貴族の出だが、ブランドンの母は平民出で、元は下町の娼婦であった。

 ブランドンはアシュリー伯爵に仕える家臣たちから『所詮は下賤の女の息子。高貴な血筋のジェセニア様とは違う』と陰口を叩かれて嫌われて、そのことにコンプレックスを抱いて育ってきた。

 姉であるジェセニアに憎しみの感情を抱くのは当然であろう。

 ジェセニアは、母親が下賤の身だからとブランドンを嫌っていない。

 寧ろ、コンプレックスを跳ね除けようと日々努力して励んでいる彼を好ましく思っていた。

 しかし、姉として弟を甘やかしてはいけないと思い、厳しく接してきた。

「酷いことをしておいてっちゅうか愚弟よ、おんどれがエリック様の御発言を遮って言うんかい!
 見いや、エリック様がお口をアウアウ動かしてるやんけ!
 そんでエリック様の側近が務まると思っとんか!」

 エリック侯子を指差しながら、ジェセニアは異母弟ブランドンを厳しく叱責する。

「な、なにを──」

 ブランドンは言い返そうとするが、実際にエリック侯子が口をアウアウと動かしているのに気づいてハッとなり、

「す、すんまそん、エリック様……」

と謝って、一歩下がって元の位置に戻る。
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