ジェセニア戦記 追放された伯爵令嬢は、森の精霊と魅了の力で敵対者を跪かせる

米ちゃん

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エリックとエドガー

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「あ……ゴホン! ジェセニアよ。
 入学式の日、おんどれは自分を差し置いて新入生代表となったアリシアを、後で呼び出して詰ったそうやな! 平民ごときが出しゃばるな、と!」

 エリック侯子は咳払いをしてから、ジェセニアがアリシアに対して行った酷いことを具体的に述べる。

「……エリック様」

 ジェセニアはエリック侯子に視線を戻す。

「レキサンドニア学院入学式の日、首席入学のわたしが新入生代表を務めるはずでした。
 けんど、わたしは熱を出して寝込んでしもうて、入学式に出れまへんでした。
 代わりに、次席のヘンゼル殿ではのうてアリシア嬢が新入生代表を務めたそうですよね?
 わたしは後日、アリシア嬢に謝罪とお礼を申し上げましたが──入学式の日、エリック様は御自分も欠席して、わたしのお見舞い来てくだはりました。お忘れでっか?」

「そ、そうやったかな?」

 ジェセニアの言葉に、エリック侯子はそのことを思い出して目を泳がせる。

 ジェセニアは「この阿呆が!」とエリック侯子を怒鳴りつけたくなるが、ぐっと堪える。

「廊下ですれ違う時に足を引っ掛けて転ばせて、平民ごときが気をつけろと言ったそうじゃないか?」

 今度はエドガーが前に進み出てきて言う。

「そのときのアリシアの痛みと悲しみを、味わわせてやろうか?」

 エドガーは青い双眸を憎悪に燃やして睨んでくる。

 ジェセニアとエドガーは幼馴染みだ。

 エリック侯子が阿呆なことを、エドガーもよく知っている。

 ジェセニアはエドガーに「俺の女にならないか? あの阿呆を傀儡にして、二人でこの侯国を支配しようぜ」と言い寄られたことがある。

 ジェセニアは「わたしが侯爵夫人になったら、おんどれを真っ先に粛清してやるから、覚悟しいや」と脅して適当にあしらったが、エドガーはそのことをずっと根に持っているようだった。

「言われて思い出したぞエドガー。
 あんとき、アリシアはんが急に倒れてきよったんや。
 わたしは咄嗟に避けてしまって、受け止めて支えてあげることができへんかった。
 転んでまいはったアリシアはんに、わたしは大丈夫かいなと声をかけたけんど、アリシアはんは自分で起き上がって、わたしに謝って去って行きはった。
 下校する時刻だったから、誰か憶えている人がおんのとちゃうか?」

 ジェセニアの言葉に、

「そういえばそのような事がございましたわね」

 と女子の誰かの声がして、賛同の声が次々と上がる。

「う──」

 エドガーは言葉に詰まり、一歩下がって元の位置に戻る。
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