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16 救いの手 3
しおりを挟む窓の外から騒がしさを感じて身を覚めすと、もう既に日が傾いていた。
ソファで仮眠するつもりが、大分寝てしまったようだ。
窓から外を覗くと馬車と見慣れない人たちが集まっている。医者の白衣を着たもの、看護人の女性が数名、白衣を着ていない男も数名。全部で20名程はいそうな数だ。
そしてその中心にはマントを被ったルキがいた。
(ルキ…本当に人を呼んでくれたのか…)
ミハイルは慌てて下の階へと急いだ。
病室となっている部屋を覗くと、皆呼吸も落ち着き眠っているようでとりあえず胸を撫で下ろす。
良く見れば額に濡れた布まで当ててあった。
(貴族が平民の看病など…)
とにかく意外だった。
あの色魔のような男が、自分も移るかもしれない疫病の看病を買ってでるなど、思いもしなかった。
ーーーその上患者は平民で、ルキは貴族だ。
ミハイルは教会の玄関へと急いだ。
「ルキ…」
人だかりにいたルキに声をかける。
「目が覚めましたか。大分顔色も戻りましたね」
「ルキ…ありがとうございます」
ルキの周囲にいた人々がミハイルに気付くと、それぞれ礼をした。
「司祭様、彼らは医者と疫病の調査員です」
(調査員まで?)
「帝国内で広まったら大変ですから来て貰いました」
ルキはそう言ってにこりと笑った。
(確かにそうだ…)
「調査は明日からですね。今日からは彼らに任せて、司祭様は私の屋敷へ移りましょう」
「屋敷…?」
この街は領主の屋敷ぐらいしか屋敷と呼べる所はないが、もちろんルキが領主でないことは領主と面識があるミハイルは知っていた。
「…ですが私もここに残りたいのです。力は及びませんが少しでも役に立ちたいのです。皆家族のようなものですから…」
ミハイルは少し言いにくそうにそう言った。
「さすが神の子ですね。慈愛に満ちてらっしゃる」
ルキはそう言うと、手をパンパンと叩き、
「さあ、皆さん仕事をしてください」
と、声を張り上げた。
すると皆ぞろぞろと教会の中へと入って行ったのだが、どこからともなく騎士服の男たちが3人現れてミハイルの腕を掴んだ。
「えっ」
男たちはミハイルを引き摺るようにして馬車へ乗せるとルキも一緒に馬車へ乗り込んだ。
(ルキの護衛なのか!?)
「司祭様、かなりの神聖力を使ったでしょう。これ以上は命に関わりますから神聖力は使ってはいけません」
(確かに大分眠ったが身体が重い…。神聖力を使いすぎたのか…)
馬車に揺られていると段々と眠気が襲ってくる。
(ルキがこんなに力になってくれるとは思わなかった。礼を言わねば…)
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