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17 代償 1
しおりを挟む馬車でうとうとしながら森の中にある、ルキの屋敷へとたどり着いた。
ここはとなり街との間にある小さな森だ。
そこに人目を避けるかのように、ひっそりと小さな屋敷が立っていた。
しかし貴族の屋敷としては小さいとは言え、建物は新しく立派な造りで、平民の民家に比べれば10倍はありそうな大きさだった。
さらにその小さな屋敷には小さな庭園まであった。
ここに貴族が住んでいれば耳に入らない訳がない。
「ここは建てたばかりです。貴方に会うためにね」
不思議そうにしていたミハイルを察してか、ルキがそう言った。
「えっ…私に会うために?」
「ええ。さあ、入ってください。夕食を準備してます」
ミハイルはゴクリと唾を飲んだ。
ーーー何故なら代償を払わなければならないからだ。
しかしミハイルの心に在るのは…。
(これは期待だ…。なんて情けない…)
ーーーあの悦楽を心待ちにしている自分に気付いていた。
ミハイルはロザリオを握りしめると、屋敷へ入って行った。
屋敷には数名のメイドもおり、夕食や入浴の世話をしてくれたのだったが、ミハイルの緊張とは裏腹にルキは現れなかった。
ルキが何者か聞きたかったが、何となく聞けなかった。
屋敷の中は豪華絢爛ではなかったが、上品な造りで、あまり装飾品は置いていない。建てたばかりの木の香りがする。
(…私に会うために建てたといっていた。首都の人間なのだろうか)
入浴後は温かなお茶の準備までしてくれ、ミハイルの緊張は次第に溶けていった。
柔らかな高級そうなソファに座ると更に緊張が溶け、ここ数日眠れていなかった事と、安堵感から眠気が襲ってくる。
(ルキは一体何者なんだろうか…。そんな人物がなぜ私を想ってくれたりするのだろうか。それにルキと会った事などなかったはず…)
あのように美しい容姿、過去に会っていたなら忘れられない筈だ。
(しかし今回は本当に助かった。皆が助かるかは分からないが、私一人ではどうにも出来なかった)
「ーーー司祭様」
呼ばれてはっと目を覚ますと、考え事をしながらソファで眠ってしまっていたようだ。
「あ…」
一瞬見慣れない部屋に少し混乱した。
(ーーーそうだ、ここはルキの屋敷)
そして今ミハイルを起こしたのはルキだ。
「お疲れのようですね」
ミハイルが身体を起こすと、ルキは隣へ座った。
「…いえ、もう大丈夫です」
「調査に同行してきました。明日報告があるでしょう」
(調査まで行ってくれたのか…)
「……」
ーーーミハイルはロザリオを首から外しテーブルに置いた。
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