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べ、別に同人誌みたいな事をしたいとは思っていない!

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 後藤 健宏ごとう たけひろはアイドルグッズ制作及び販売会社に勤める社長は風貌は強面で背が高く、ラグビー経験もあり、体格がガッチリしている。その見た目から近寄りがたい存在であった。


「相変わらず村重 祐真むらしげ ゆうま君が好きですよね」
「当たり前だ。Splashの中でも、あの全人を癒やす太陽のような笑顔、グループ随一の神ファンサ。大好き過ぎて、毎日、拝みたい位だ」
「今度、全国握手会がありますよね。行くんですか?」
「うむ、行きたいが、こんな奴が行ったら、周りが怖がりそうだ……」
「まぁ、確かに社長は見た目厳ついですけど、そんなの関係ないですよ! 絶対に行った方が良いですよ!」


 Splashの全国握手会はシングル毎に行われる。ずっと行くのを我慢していたが、今回のシングルは推しメンである祐真君がセンターなのだ。社員からの押しもあり、後藤は握手会へ行く事にした。
 握手会当日、後藤は気合を入れて、祐真君のために新調したスーツを身に纏い、握手会へ向かった。


「祐真君、俺を見て、怖がらないかな。それより、祐真君と何をお話すればいいだろうか?」


 会場はやはり女性ファンが多くを占め、背が高く、厳つい俺は異常に目立ち、この場に居てもいいのか不安になった。それよりも、会場は満員であり、どのレーンに並べばいいのか分からない程だった。
 後藤は係員が持っている立て看板を見て、レーンに並んだ。後藤は少し心配になって、前に並んでいる若い女性ファンに恐る恐る声を掛けた。


「あ、あの……すみません。祐真君のレーンはここで合ってますか?」
「ひぃ! あ、合ってますけど……」
「ありがとうございます」


 話しかけられた女性は俺を見るなり、ビックリして、声を震わせながら、一応答えてくれた。それにしても、周りが騒がしい。俺を指差して、コソコソと話す人や距離を置く人までいた。
 居心地が悪い中、俺は祐真君の事だけを考えて、じっと我慢した。自分が臭くないかを確認したり、身なりを整えていると、スタッフらしき人から声を掛けられた。


「ちょっとそこの人! そこで何してるんですか」
「……俺か?」
「貴方ですよ! SPさんがここで何やってるんですか! こっちですよ!」
「いや、俺は……」


 俺はスタッフに怒られながら、手を引っ張られ、握手会で待機している人の間を縫って、握手会の裏へ連れてこられた。


「あ、あの、俺は……」
「はぁ、当日の流れも読んでないんですか? まぁ、SPが一欠で、貴方が補充されたんだと思いますけど、とりあえず貴方は祐真君の後ろについて、危険がないかを監視してください」
「えっ、祐真君ですか! えっと……」
「はいはい、もう始まるから、あそこのレーンね。頼んだよ」


 スタッフは指を指し、俺に早く持ち場に行けと手を払った。俺は仕方なく祐真君のブースへ走った。


「あ、あの……。ここのレーンを任されたんですけど」
「あっ、お疲れ様です。SPさんですかね? 村重 祐真です。今日はよろしくお願いします」
(か、可愛い……。しかも、良い香りがする)

 祐真君はキラキラとした笑顔で俺を迎えてくれた。こんな至近距離で見れるなんて夢にも思っていなかった。握手会は順調に進んだ。
 長時間の握手会なのに、祐真君は笑顔を絶やさず、ずっと立ちっぱなしで会いに来てくれるファンと握手していた。他のメンバーとは違い、そのファンに合わせたサービスをしていて、感動した。


(アイドルって大変なんだな……)


 そう思っている時、怪しげな中年男性がブースへ入ってきた。
 祐真君はいつものようにファンサをして、終わりだと思ったその時、その怪しい男がバタフライナイフを取り出し、祐真君に襲いかかったのだ。


「こんなに、祐真君の事が好きなのに、なんで、ぼ、僕だけを見てくれないんだぁ!」


 祐真君はその場に立ち尽くし、身構える事しか出来なかった。男がナイフを振りかざした瞬間、俺は身を挺して、祐真君を守った。スーツが引き裂かれる音と左腕に鋭利な痛みが走った。
 会場は悲鳴が上がり、騒ぎを駆けつけ、他のスタッフも集まり、男は警察へ引き渡された。


「祐真君。だ、大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがとうございます。でも、SPさん、怪我してるよ! 救護室行きましょ! 僕のせいで……」


 俺の左腕から垂れてくる血液を見て、祐真君は申し訳無さそうな顔をし、泣きそうになっていた。


「こんなキズ、すぐ治りますから。動揺しているかもしれませんが、他のファンの方々に夢を見させてあげてください。祐真君の笑顔で幸せになれる人もいるんですから」
「そう言って貰えると嬉しいですけど……。とりあえずSPさんは救護室で手当てを受けてください。護衛は他のスタッフさんにお願いするので」


 祐真君は救護室の場所を指差した。俺は頭を下げると、祐真君も頭を深々と下げた。俺は救護室で怪我の消毒をしてもらい、包帯を巻いてもらった。
 折角、祐真君のために新調したスーツが台無しだ。それにしても、最近の握手会は物騒だな。あんなリスクがあるのに、ファンサをするアイドルはとても凄いし、頑張り屋なのだなと俺は思った。


「SPさん、大丈夫? 切られたって聞いたけど」
「あ、この程度の傷、大した事ないんで」
「……あれ? 君さ、インカムしてないけど、どこのSP?」


 俺はそのスタッフに事情を説明した。スタッフは冷や汗をかき、頭を深々と下げ、謝罪した。


「本当にすみません! こちらの勘違いで、しかも、お怪我までさせてしまって……」
「いえ、本当の事が言えなかった俺が悪いんで」
「後日、お詫びをさせて頂きます」


 俺は何度も断ったが、仕方なくスタッフに連絡先を渡し、会場を後にしようとした。救護室から出てくる俺を見て、祐真君は走って、俺の元へ来た。


「SPさん、もう大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫だよ」
「本当にすみませんでした。あと、守って頂き、ありがとうございます」
「これからも頑張ってね。応援してるから」


 俺は祐真君に手を振り、会場を後にした。


◆◇◆◇◆◇


「社長、握手会どうでした? 出禁にならなかったですか?」
「うむ、出禁にはならなかったが、間近で祐真君を拝ませてもらった」
「ってか、その左腕どうしたんですか?」
「あぁ、これはどっかに引っ掛けたみたいで。その傷だ」
「そうなんすね。そろそろ同人誌即売会の時期ですね。社長は即売会行かれるんですか?」
「うむ、今回はあの神絵師である『ピチピチピーチちゃん』が祐真君総受けの限定同人誌を出すんだ。あの神絵師が描いた祐真君はあまりにもリアルで尊いし、何よりも限定だから、買いに行きたい……」
「本当に好きっすねぇ。買えると良いっすね」


 切り傷も良くなったが、まだ包帯をしておかないと、見た目的に物騒と社員にいわれたため、包帯はしたまま、同人誌即売会へ行く事にし、今回はスタッフと間違えられないように、スーツではなく、ラフな格好で行く事にした。


 俺のお目当ては神絵師が描いた祐真君の二次創作本。祐真君があんな事やこんな事をされちゃう、そういう系の本だ。
 即売会には何度か足を運んだ事はある。しかし、あそこのジャンルに足を踏み入れるのには抵抗があった。こんなおっさんが男同士のあれやそれやの楽園へ足を踏み入れたら、周りの人達はどう思うのだろうかと不安になった。


 しかし、今回は今まで発売された本に加え、祐真君が史上最強に大変な事になる特別編が全て収録された豪華版なのだ。俺は周りの目を気にせず、本の事だけを考えて、一心不乱で目的の壁サーへ向かった。


「最後尾はこちらです!」


 やはり神絵師だけあって長蛇の列だ。男性もチラホラいて、少し安心した。そして、自分の番が回ってきた。何故か緊張して、言葉が詰まりながらも、豪華版の同人誌を買う事が出来た。


「あっ、ちょっと待ってください!」


 俺が帰ろうとしたら、売り子の女性から声を掛けられた。


「えっと、お金足りなかったですか?」
「いえ、違うんです。その感じに、その左腕の包帯!」
「あぁ、この包帯は転んだ時に出来た傷を隠すためですよ」
「とりあえずこれ渡すんで、ここで待っててください。絶対来て下さいよ!」


 女性は名刺の裏にメモをし、俺に渡すと、ブースへすぐ戻った。俺は渡された名刺を見て、約束された時間まで他のブースを見て回る事にした。


 そして、日が沈みかかった夕方。俺は指定された場所へ向かった。即売会近くにあるホテルのラウンジだった。周りは俺と同じように、即売会での戦利品について話し込む人達がチラホラいた。


 俺がコーヒーを飲んでいると、名刺を渡してきた女性が声を掛けてきた。よく見ると、別の女性も一緒にいた。


「すみません、撤収に時間がかかってしまって……」
「いえ、大丈夫ですよ。即売会お疲れ様です」
「先生、絶対にこの人ですよ! 左腕の包帯に、高身長で強面で声が低い」


 二人は俺を見るなり、コソコソと話していた。そして、茶髪のロングヘアの女性が名刺を差し出した。


「申し遅れました。私は『ピチピチピーチちゃん』と申します。今回は本を購入してくださって、ありがとうございます」
「えっ、ピチピチピーチちゃん? えっ!」


 俺は一瞬時が止まったかと思った。あの神絵師であるピチピチピーチちゃんが目の前にいる。名刺と本人の顔を二度見した。


「驚かせて、ごめんなさい。貴方にはどうしてもお礼が言いたくて」
「お礼ですか?」
「先日行われたSplashの握手会は覚えてます?」
「はい、覚えてます」
「あれで、不審者から祐真を守ってくれたでしょ?」
「あっ、はい。それは俺ですね」
「やっぱり、合ってた。あの時は祐真を守ってくれて、ありがとう」
「はぁ……」
「祐真は私の息子なの」


 俺は一瞬何を言ってるか分からず、開いた口が塞がらなかった。


「大丈夫? なんかビックリさせちゃったみたいで」
「いやいや、ビックリしない方がおかしいですよ」
「それでなんだけど、貴方は今、結婚されてる?」
「お恥ずかしながら、バツイチでして……。って、なんで結婚の話なんですか?」
「実は、息子が貴方を大層気に入ったみたいで、父親になって欲しいみたいで」
「お、俺が……ですか?」


 新手の詐欺かと思ったが違うようだ。推しの父親になる、神絵師のパートナー……。正直、夢のまた夢以上な、想像しただけで頭が爆発しそうだった。


「まぁ、突然こんな事を言っても、受け入れられないと思うから、ゆっくり考えて」
「わ、分かりました。前向きに検討させて頂きます」


 結局、あの後もピーチちゃんと何度か直接やり取りをした。ピーチちゃんは周囲から再婚はしないのかと耳に胼胝が出来るくらいに言われ、それが嫌で、祐真の握手会での事を聞き、祐真の大ファンなら、絶対に即売会へ来るだろうと思っていたらしい。そして、俺はそんなのも露知らず、のこのことピーチちゃんの同人誌を買いに行って、そこで確保されたという流れだ。


 再婚と言っても、ピーチちゃんは絵師として一人で生きていきたい派みたいで、俺も今の会社が軌道に乗っており、新たな事業展開も視野に入れており、お互いにビジネスパートナーとしてやっていける気がして、結局、神絵師であるピーチちゃんと極秘結婚する事になった。


 籍を入れただけで、生活スタイルやそれ以外は特に変わらないと思っていたが、問題点が一つあった。というか、忘れていた。


◆◇◆◇◆◇


 インターホンが鳴り、玄関を開けると、祐真が満面の笑みで抱きついてきた。


「お父さん! 祐真、来たよー!」
「い、いらっしゃい。今日はオフなのか?」
「うん! だから、会いに来たの!」
「何かご飯でも作るか。祐真君はリビングで寛いでおいで」
「ねぇねぇ、早く呼び捨てで呼んでよ。なんか余所余所しい」


 祐真は俺の顔を見上げるなり、頬を膨らまし、不貞腐れていた。俺は苦笑いしながら、祐真をリビングに案内した。そして、俺はキッチンで昼食を作り始める。祐真は最推しだから、何が好きかは把握済みだ。


 俺がオムライスを作りながら、リビングでゲームをしている祐真。妄想が現実になって、しかも、親子だなんて……本当に夢みたいだ。
 オムライスが出来上がると、祐真に声を掛けて、一緒にテーブルへ運ぶ。そして、手を合わせて、食べ始める。


(美味しそうに食べる祐真君も可愛いな)
「ねぇ、お父さんは母さんのファンなんでしょ?」
「うん、そうだが?」
「って事は、僕がエッチな事されてるの見て、興奮とかしてるの?」


 唐突な質問に、俺はご飯を吹き出しそうになった。慌てて水を飲み、気持ちを落ち着かせる。


「ゴホンッ。突然、何を言い出すかと思ったら、そんな事かよ」
「えっ? だって、母さんはそういうの描いてるし、お父さんの本棚にはそればっかあるじゃん」
「それは……まぁ、そうだが」
「じゃ、僕の事をそういう目で見てるんだぁ。ふ~ん……」
「お、大人を誂うな」


 祐真は含み笑いをし、残りのオムライスを平らげた。俺もオムライスを食べ終わると、皿をキッチンに持っていった。洗い物を済ませ、俺は祐真と一緒に映画を観た。テレビ前にあるソファに腰掛ける。隣には祐真が座っている。


 正直、映画どころではない。そして、俺は何故、恋愛映画をチョイスしたのだろうかと後々後悔した。しかも、よりによって、濃厚なキスシーンが続く。


「ねぇ、キスしようよ」
「はぁ? な、なんで、キ、キス? 一応、親子なんだぞ」
「良いじゃん。キスの練習。ほら、今度やるドラマでキスシーンあるからさ。その練習」


 祐真が俺の服を引っ張り、俺を上目遣いで見てくる。推しにこんな事をされたら、ダメとは言いにくい。


(俺は何期待してるんだ。たかがキスの練習だ。変な奴とされる位なら……)
「ねぇ、そんなに僕とキスするの、嫌なの?」
「嫌とかそういうのではなくて――」
「じゃ、良いって事だね」
「いや、まだ心の準備が――っ!」


 祐真が俺の正面に来ると、俺に腕を回し、片膝をソファに乗せ、キスをした。そして、体を密着させてきた。俺は顔を真っ赤にし、軽いパニックで頭が回らなかった。


「お父さん、なんでそんなリアクションなの? 可愛いなぁ」
「か、可愛くない! 大人を誂うなよ! キ、キスの一つや二つ、どうって事無い!」
「へぇー、そういう事言うんだ」


 祐真は俺の顔を見るなり、小さく笑うと、再びキスをしてきた。下唇を吸ったり、甘噛みしたりする。そして、小さな舌が俺の口の中に入ってきた。
 祐真の体を押し退けなければと思う反面、久しぶりのキスと推しが自分にキスをしている事に体が硬直し、されるがままだった。祐真が唇を離すと、クスリと笑い、俺の耳元で囁いた。


「感じちゃった? トロンとしちゃってさ、お父さんのここも気持ち良いってピクピクしてるよ」


 祐真は俺の耳を甘噛みしながら、俺の膨らんだ股間に手をやり、上下に擦った。


「あっ! 祐真、いい加減にしろ!」
「なんで? こんなにしちゃってさ。お父さんって意外と可愛い声出ちゃうんだね」
「ば、馬鹿にするな。そ、そんなに……、耳を噛むな。んぐっ!」
「だって、気持ちいいんでしょ? 体ビクビクさせちゃって。嫌なら僕の事を突き飛ばしちゃえばいいのに。でも、お父さんの推しは僕だもんね。そんな事出来ないよね?」
「ぐっ……。祐真、本当に、これ以上は本当にダメだから」


 俺が祐真に言い聞かせようとするが、祐真は俺の口を塞ぎ、舌で口内を責め立てる。そして、祐真は俺のシャツの上から胸を弄り、気持ち良い場所を探し当て、指で軽く摘む。
 俺は体をビクッとさせ、祐真が口を離すと同時に、口角から涎が垂れる。


「そこは……、やめてくれ」
「なんで? シャツの上からでも分かる位になってるのにさ。……こうされると気持ちよくなっちゃうんでしょ?」


 本当は胸を隠すように手で抑えたり、祐真の腕を掴んだりして、抵抗すればいいものの、何故か俺は祐真が触ってくれるのを期待していたのだ。
 そして、祐真は俺のシャツのボタンを外し、胸を露わにさせた。


「お父さんはガッチリしてて、男らしいよね。わぁっ、すっごいピンッてなってる。可愛いね。顔もさっきよりもエロいしさ。ねぇ、触って欲しいんでしょ? 祐真にお願い、出来る?」


 祐真は俺を試すかのように、突起の周囲を指先で円を描くようにゆっくりとなぞり、俺の顔色を窺う。俺は焦れったいその動きを見ながら、荒い息遣いをした。


(ダメだ、これ以上したら……。親子なのに……。でも、祐真に触って貰いたい欲が……)
「ねぇ? 祐真にお願い……して、くれないの?」
「さ、……触ってください」
「えっ、触って欲しいの? どうしようかなぁ? いつも男らしくって、厳ついお父さんがこんなところが弱いだなんて……。ちゃんと僕の目を見て、お願い出来る? 出来るよね?」
「はぁ……、はぁ……。お、俺のそこを、さ、触ってください……」
「はぁい、良く出来ました。じゃ、こんな感じかなぁ?」
「んあぁっ! き、気持ち良い!」


 祐真が俺のピンッと勃ったそこを人差し指でピンッと弾いた。推しにやられているせいなのか、久々なのか分からないが、自分でも恥ずかしくなる程の情けない声が出た。


「可愛い。もっと弄ったら、どうなるかなぁ?」
「あぁっ! あぁっ! き、気持ち良いです! もっと、……やって。んんっ!」
「刺激する度に、体ビクビクさせちゃってさ。エロい顔しちゃって。マジで僕の好み」


 俺は祐真の指遣いに体をビクつかせた。祐真はニヤリと笑うと、俺の突起物を舌で転がしたり、吸ったり、甘噛みした。勿論、俺はもっと情けない声を出してしまった。

「あぁっ! ゆ、祐真ぁっ! き、気持ち良いっ! あぁっ! もっと弄って! んあっ!」
「ふふっ、お父さんって結構変態なんだね。ほら、ベッド行こう? 続き、したいでしょ?」


 俺は正直、夢を見ている感じでふわふわした感じだった。推しであり、かつ息子である祐真に醜態を晒し、それに感じてしまい、背徳感があった。しかし、体は久々の快楽を求めていた。
 同人誌でしか見た事が無い状況に、すでに体が火照り、それを望むかのように、祐真に手を引かれながら、祐真にベッドへ押し倒された。


「お父さん、ズボン脱がすよ」
「あっ、ちょっと待っ――!」


 祐真は慣れた手つきで、俺のズボンを脱がせた。俺の下着の前の部分はさっきの快感でべっとりと濡れていた。祐真はその濡れた部分を指で触り、指を離すと、トロリと透明の粘液が糸を引いていた。


「すっごい濡れてる! お父さん、すっごい感じてくれたんだ。嬉しいなぁ。シミまで作っちゃってさ……。お父さん、可愛い」
「祐真、もう止めるんだ。俺達は親子なんだぞ」
「嫌だ、止めないよ。やっとあの時のSPさんを捕まえたんだもん。どれだけ苦労したか。どれだけこの日のために準備してきたか」


 祐真はバッグの中をゴソゴソと探すと、ローションを取り出した。そして、俺の下着を勢い良く脱がせ、祐真自身も裸になった。
 俺は推しの聖域を見てはいけないと思い、目を瞑り、両手で顔を隠した。


「なんで顔を隠すのさ。親子なんでしょ? 裸くらい見るでしょ」
「いや、そうだが、流石に祐真の裸やら聖域を見たら、死んでしまうし、他のファンに申し訳ない」
「はぁ、こんなムードの時に、ファンの話しないでよ。萎える。ま、これからアレをすると思うと、萎えるどころか、ギンギンになるけどね」


 祐真は俺の両膝裏を掴むと、そのまま俺の方に押し倒し、俺のお尻が真上になるようにした。そして、俺に膝裏を持っておくように伝えた。
 祐真はローションを手に取り、俺の秘部に塗った。ローションの冷たさに俺は一瞬、我に返った。


「ちょ、ちょ、ちょ! ちょっと待て! 普通だったら、逆だろ!」
「ん? 何が?」
「いや、何が? じゃなくて。普通は俺がやる側だろ」
「あはははっ! あんなメスみたいな顔してたのに、何言ってんの? あと、同人誌の見過ぎだよ。僕はタチだよ。人は見た目によらないよねぇ。大丈夫、お父さんも同人誌の中の僕みたいにあんあん喘ぐようになるから」


 祐真はそう言いながら、俺の秘部を上下に擦ったり、指の腹を引っ掻けたりした。俺は何とも言えないゾワゾワした感覚に襲われた。


「はい、口で深呼吸してぇ~」


 祐真に言われる通り、俺は口で深呼吸した。すると、秘部が一瞬緩み、祐真の綺麗な指が徐々に入ってきた。


「んんっ! き、汚いからっ!」
「問題ない、問題ない。力まないで、僕の指折れちゃう。ほら、深呼吸忘れずに」


 俺の秘部に祐真の指が入った。そして、祐真はゆっくりと指を動かし始めた。初めての感覚で、違和感しか無かった。でも、それは最初だけだった。徐々に解れ、指が二本入ってきた。ローションも足され、グチュグチュと音がする。


 同人誌の中の祐真もこんな風に秘部を露わにし、モブに見られながら、啼いていたと思うと、急に体がゾクゾクしてきた。
 秘部の中を指が行ったり来たりするのが徐々に気持ち良くなり、祐真が俺の前立腺を触ってきた瞬間、ゾワッとする感覚があった。


「そっ、そこは! や、やめてくれ」
「なんで? ここ、気持ち良いでしょ?」
「かはっ! ジンジンするから、すまんが、やめてくれ」
「じゃ、止めるね」
「――はぁんっ!」


 秘部から指が抜けた瞬間、体がブルッとし、はしたない声が漏れた。俺はこれで終わりだと思い、一安心した。
 しかし、次の瞬間、祐真のいきり立ったモノが俺の秘部にあてがわれ、中へ侵入してきた。


「ちょ! そんなん、はいっ! らあっ!」
「お父さん、深呼吸して。キツキツだよ」


 俺はテンパって、必死に深呼吸した。そうすると、祐真のモノがどんどん奥へ入ってきて、更にテンパった。


「はぁ、やっと全部入った。それにしても、お父さん、テンパり過ぎだから。ねぇ、僕の入ってるの、分かる?」


 俺は縦に頷く事しか出来なかった。そして、涙を溢れさせた。


「え、超可愛いんですけど。泣くのはまだ早いよ。同人誌にもあったでしょ? 泣くんじゃなくて、啼くってさ」


 祐真は繋がったまま、体勢を整わせ、ゆっくりと腰を動かし始めた。可愛いキャラの祐真からは想像出来ない位の逞しく太いモノが俺の中を擦り、前立腺を刺激し、快楽に溺れさせようとしている。


「あっ! あぁっ! き、気持ち良い! 中がっ、中が擦れて! 祐真、気持ち良い!」
「お父さんの中、すっげぇ締め付け、温かい。お父さん、気持ち良いね? ちゃんと啼いてる?」
「うん、祐真のがっ! 奥まで来てる! 良いっ! 良いっ! もっと突いて!」
「そんなに突いて欲しいんだったら、もっと突いてあげるよ」
「おっ! んおっ! ぎ、気持ち良い! 祐真に、息子に犯されながら、感じてる!」
「そうだよ。今、お父さんは息子に犯されて、卑猥な声であんあん啼いてんだよ」
「気持ち良い! 祐真の、気持ち良過ぎて。んほぉ! お父さん、情けない声出ちゃっ! おぉっ!」


 俺はあまりの気持ちよさに、よがり啼いた。祐真は満更でもない笑みで、俺の中を責め立てた。グチュグチュという卑猥な音と俺の情けない啼き声が部屋に響く。


「祐真、お父さん、もう! もうイキそう!」
「お父さん、もうイッちゃうの? 僕のがそんなに気持ち良いの? だったら、息子ので情けなくケツイキします、ごめんなさいって言って」
「ん、うんっ! おっ! おっ! 父さんはあっ! 息子のでぇ、な、情けなくぅう、ケッ、ケツイキしゅりゅ! イグイグッ!」


 俺は祐真の執拗な責め立てにより、自身のそそり立ったモノを扱かずに、腹の上に白濁液をボタボタと垂らした。
 そして、祐真は俺のモノを手で扱き始め、先端を刺激し始めた。俺はくすぐったいような感覚だったが、徐々に何かが出る感覚に襲われた。


「らめらめっ! で、でぢゃう! なんか、でぢゃう! そんな、じないでぇ! んぐぅっ! んんぐっ!」


 俺は腰を大きく仰け反り、ガクガクと震わせ、びしゃびしゃと潮を吹いていた。初めての感覚に、俺はまたしても情けない声で啼いた。


「いっぱい出たね。じゃ、僕もそろそろ出そうかな?」


 祐真は俺の腰を持ち、激しく突いた。さっきイッたばかりなのに、中の擦れが気持ち良い。


「あっ……。あーっ、お父さん、そろそろ出る!」
「――あっ!」


 祐真は俺の秘部から腫れて大きくしたモノを引き抜くと、俺は体をビクッとさせた。そして、祐真は俺の顔の前で上下に扱いた。


「あーっ、お父さん、イクイクッ!」


 祐真は絶頂を迎えると、俺の顔に白濁液を撒き散らした。生温かいそれは俺の頬を伝って下へ垂れる。
 祐真は果てたモノで掬い上げると、俺の口にあてがった。俺は条件反射で祐真のモノを口に含み、無意識で綺麗に掃除していた。


「お父さん、気持ち良かったよ」
「お、俺も気持ち……良かった」


 祐真は俺の汚れた顔を拭いてくれ、キスをしてくれた。そして、二人でベッドに横たわり、抱き締め合った。


「お父さん、大好きだよ」
「お、俺も祐真の事好きだよ」
「嬉しいな。また……しようね、お父さん」


 俺は頭の中で色々な事がグルグル回っていたが、もうそんな事はどうでもいいと思い、祐真の頭を撫で、首を縦に振り、祐真と深いキスをした。



<完>
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