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第九十七話(ベルウッドの罠)
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その名を鈴木豚也。
彼はかげくんと同い年の男の子で俗に言う苛めっ子。
『ねぇねぇ?いじめていぃい?殴っていぃい?ぶっ飛ばしていぃい?』が口癖の卑劣な人間。
一体全体どんな育て方をされたら、こんな最低最悪な人格に辿り着くのかな。
小学生の頃から仰ぎ見る程に大きかった身長は、中学一年にして180cmを超えていた。
何よりも一番際立っていたのは、気味の悪い口調だ。
彼は自分のことを『ベルウッド』と名乗る。意味不明だ。
最初こそ、早めの中二病でも発症させたのかと思ったのだが、どうも様子がおかしい。
「ベリーベリーハッピーです。まさか、貴女自ら届けに来て頂けるとはね」
「別に貴方の趣味をとやかく言うつもりはないけど、かげくんにちょっかい出すのはもうやめて。それがこれを渡す条件」
鈴木豚也は、立ち入り禁止の筈の学校の屋上に静かに佇んでいた。
幻想的な夕焼け空の下、あたしは恥ずかしさを押し殺して下着を脱ぐ。こんなものが欲しいなんて本当にどうかしてる。
これはかげくんを守るために必要な行為なんだ。
そう割り切ってしまえばあたしは何だってやれる。どうってことないんだから。
「絶世の目鼻立ち、頬を赤らめたその表情。まさにベリーベリーキュートですね。……ですが、貴女は何か勘違いをしているのではありませんか?わたくしに命令をするなど言語道断。ベリーベリーアウトですよ。言わばその下着は主人と奴隷の契約の証。この瞬間から貴女はわたくしの傀儡と成り下がったのですからね」
「君ってさ、いつからそんな喋り方するようになったの? 何か変。それに、さっきからなにを言ってるのか全然理解できないんだけど……」
「貴女が寵愛する大切な弟に魔法のプレゼントを施しました。わたくしとっておきのベリーベリーナイスな器量です。年を重ねる度に彼は不幸になっていく。少しずつですが不幸度が増していくのです。同様、貴女にも魔法のプレゼントを授けましょう。ある条件に合致することによって効果を発揮する、ベリーベリーテリブルな寿命を縮める魔法です」
「あたし達姉弟に器量を使ったって……冗談でしょ? そんな見え透いたブラフ信じるに値しない。あなたは元々器量を使える人間じゃなかった筈」
「当然も当然です。そもそもわたくしはベルウッド。貴女の知っている鈴木君とは全くの別物な存在なのですから。わたくしは鈴木の姓を名乗る者の体を自由に左右出来るのです。この思春期真っ只中のチェリーボーイは貴方をこの場へ呼び寄せるエサとして利用させていただきました。ぐふふ。驚きましたか? 戦々恐々とするその姿、ベリーベリーグッドです」
器量を使った。この男は確かにそう言った。
あたしの千里眼は対象の全てを包み隠さず全容を露呈させる。
つまり、相手が器量持ちかどうかを明らかにするの何てお茶の子さいさいだ。
ーーでも、何かがおかしい。
過去にこの男のステータスを覗き見たことがあるが、その頃は器量を持ち合わせていない至って平凡な存在だった。再度千里眼を発動するも、器量の有無どころか、些細な情報さえも掴むことは出来なかった。情報を隠匿するタイプの器量でも行使しなければこのような現象はありえない。
……それにしても、自分以外で器量を使う人間を初めて見た。
額面通りの意味なら、ベルウッドは器量を複数行使可能ということになる。一つでも物にしていれば優秀と称される器量をいくつも。
ーー器量図鑑。
ふと、そんな言葉があたしの脳裏を過ぎった。
ごく稀に三~四種類の器量に目覚める人間は実在するらしいが、器量図鑑とはその二倍以上の器量を意のままにする人知を超えた存在のことだ。
歴史に名を残す器量図鑑と言ったら、自ずとこの三名に限定される。
三大勢力の長
佐藤。鈴木。高橋。
(ベルウッドってまさか、遠い昔に事切れた筈の偉人の魂がこの男に乗り移ったとでも言うの?)
「この世に生を享けて3000年。貴女のような完成された美少女と邂逅したのは初めてです。鈴木君が恋心を抱くのも納得と言えましょう。目を奪われる出色たる美貌と容姿、他人を思い遣る慈愛の心、口パクアイドル共とは比べものにならない絶大なる歌唱力、そして器量を使い熟す数少なき選ばれし者、正に垂涎の的。ぜひ欲しい。わたくしの妻に相応しい逸材です。手に入れたい。わたくしはツイてます。ベリーベリーラッキーです。わたくし専用のお人形さんになってもらえますか。必ずや愛玩すると誓いますよ。ベリーベリープレシャスです」
「言ってることが支離滅裂っ! 訳わかんない……!こっち来ないで!」
「逃がしませんよ。貴女は永遠にわたくしの物です」
体が動かなくなった。金縛りにでもあったかのように、ぴくりとも動かない。
ベルウッドと名乗る変人が徐々にこちらへと詰め寄ってくる。
出奔は叶わず、抵抗さえできない状態。
敢え無くあたしは体を引き寄せられて、唐突に唇を奪われた。
むざむざとファーストキスを。
「なっ、ななな……なに、するの……? いきなりこんなことするなんて、あたし許可してない……」
「貴女の許可など不要。わたくしは一度欲しいと思った物は必ず手に入れると決めているのです」
「そんなことしらない!全然話が噛み合ってないっ……!返して!あたしのファーストキス返してよー!」
こんな不意打ち受けるくらいなら、あの時かげくんにしてあげれば良かった。悔やんでも悔やみきれない。
舌とか入れられて苦しい思いしたし、何より気持ち悪い。
涙目になりながらぽかぽか体を叩いても、ベルウッドこと鈴木豚也は痛痒を感じていない。
女の子の初めてを無理矢理に奪うなんて鬼畜過ぎる。
「ねぇってば!あたしのはなし聞いてるのっ……!?」
「悲しいお知らせです。今後貴女が弟君に優しい言葉や態度で接するたびに、貴女の寿命は十二ヶ月ずつ削られていきます」
「全然聞く耳もってないし。ーーん?いまなんて言ったの……?」
いま、あたしがかげくんと接すると、寿命がうんたらかんたらとかって言ってなかった?
……ちゃっかり怖いこと言ってたよね?
「要約すると大好きな弟君といちゃいちゃすると死期が早まりますよってことです。貴女がもしも、より長くこの世に留まりたいとお考えであれば、そういった行為はなるだけ回避することをお勧めしますよ。わたくし、我ながらベリーベリーグッドなアドバイスです」
「そ、そんなっ…………ひどい!それじゃ、あたしはかげくんとーー」
「ノーノーノーノーノー。その呼び方はベリーベリーNGです。これから弟君のことは躊躇なく呼び捨てで呼びましょう。いいですね、そうしましょう。因みに、態度は横柄で我儘な傍若無人タイプにシフトさせてくださいね。貴女が優しくしていい対象はわたくしが許可した者限定となります」
「どーしてそんなこと、あなたに指図されなきゃならないの? そんなの絶対に嫌!」
「貴女に選択肢はありません。わたくしの決定は覆ったりしないのです」
かげくんとの何気ない触れ合いはあたしにとって生き甲斐だった。
命を取るか弟を取るか何て選びようがない。そんなの横暴の域を超えてる。究極の二択じゃない。寿命が漸次減っていったらもちろん死んじゃうわけだし、弟に冷たく接する姉とか意地悪してるみたいで何かやだ。
それに、何年も前から今日まで良好だった姉弟の仲が、これといった原因も無しに突然悪くなるとか不自然にも程がある。かげくんだってあたしの様子を疑問に思うでしょ。
とりあえずこの男が独占欲の塊だってことは明瞭に理解できた。私に『不可視の首輪』とやらを取り付け二十四時間監視するつもりらしい。身勝手な振る舞いから察するに、私に拒否権はないようだ。
ーーあの日からあたしは、ベルウッド様のペットとなった。
それからは、かげくんと他愛ない会話をするだけで胸がズキズキした。
具体的に説明するならこんな感じ。
心臓を直に握られているような激しい痛みに襲われるの。
それはもう、あの男の命令に逆らうのは控えようかと躊躇うくらいに甚だしい痛みだった。壮絶な痛みに負けそうになる時もあった。思わず哀願してしまいそうになったり……人は痛みに弱い。
我慢できずに、泣いちゃいそうになるほど苦しそうにしているあたしのことをかげくんはいっつも心配してくれてたな……。
なるだけ面従腹背して困らせてやろうと画策してたんだけど、あたしの体は抵抗を繰り返す度に疲弊していって、気付けば芸能活動に支障を来すまでボロボロになっていた。
頻繁に怪我をするようになったり、度々インフルエンザ級の高熱を出すようになったのも全てあいつが仕組んだ器量の力によるものだ。何度も生死の境をさまよったのは想像に難くない。雁字搦めで鳥籠に囚われたような毎日が延々と続く。
あたしはとうとう、彼の絶大なる権力の前に屈して、彼の言いなりになった。なるしか方法が無かった。
同じく、かげくんにも徐々に器量による兆候が垣間見えるようになった。
最初の内こそ、重度の倦怠感に襲われたり大切な物を無くしたりと小さな異変ばかりだったのだが、刻一刻と状況は悪化した。
芳しくない日々の繰り返しが重なって、ついには刑務所に入るという最悪な事態を招いてしまった。
ーー鈴木という姓が二番目に多い理由を貴女は知っていますか?
あたしは今、頻繁に出入りするよう命じられている主人の『城』の中にいる。
億単位のお金を使って建てた黒一色の趣味の悪い荘厳な邸宅。
ベルウッド様はあたしに質問をしながら髪を撫でてくる。
心底気持ちが悪い。憎悪と不快な気持ちを押し殺しながら、正直に知りませんと答えた。
営業スマイルが思わぬところで役に立った瞬間だった。
「とても簡単なことです。前にわたくしは鈴木の姓を持つものを自在に操れるとお教えしました。ずっと昔、駒として使用するため、器量を行使し服従させたのですよ。その気になれば全国の鈴木達を結集させるのも容易いのです。シュガーとの戦争でベルウッドは虚しくも敗北しました。相当数の鈴木達が打ち取られたのは説明するまでもないでしょう。多勢に無勢、八万ほどの戦力差。数による暴力でわたくし率いる鈴木軍は彼率いる佐藤軍に敵いませんでした。その結果、数多の仲間達が「佐藤」を名乗れと命じられました。わたくしの挑戦は余計にシュガー率いる佐藤軍を台頭させる惨事を招いてしまったのですよ。ベリーベリーショックです。ハイブリッジは我々の鬩ぎ合いを傍観し、佐藤軍の戦力を削る策を講じていたようですが、それでも彼率いる軍団では佐藤軍の足元にも及びませんでしたね。彼等高橋軍の漁夫の利は失敗に終わりました。現代に佐藤を名乗る者が多いのは先の戦争でシュガーがベルウッドとハイブリッジを下したからなのです。敵ながらベリーベリーグレイトですね」
ベリーベリーが口癖の変な人は、話がいちいちだらだらと長い。
高言や自画自賛のような話をかれこれ小一時間はくっちゃべっている。
他にもベルウッド様はこんなことを饒舌に語っていた。聞きたくもない内容だったけれど、すぐ隣でぺちゃくちゃと喋られていては嫌でも耳に入る。
何でも「佐々木」「青木」「八木」などの「木」で終わる姓を名乗る者達は自分が支配しているのだとか。
ついでに「斎藤」「遠藤」「加藤」これらの「藤」で終わる姓を名乗る者達はシュガーの傘下的存在なのだとか。最早何が何だかわからない。
遠い昔に「佐藤」「鈴木」「高橋」による三つ巴の権力闘争があったなんて学校では習わなかった。
巧妙に隠匿されたのか、はたまた隠蔽されたのか……まさに寝耳に水の歴史だ。
膨大な数の器量を手にした者達の蹂躙劇。
微微たる器量しか所持していない長の率いる集団は抵抗さえ儘ならず、強者の言いなりになるしか生き延びる手段がなかった。弱者は三強に屈してどんどん吸収されていった。
……まるで今のあたしみたいだ。
ベルウッド様は何度も姿を変える。
平々凡々な人間の体では幾つもの器量を管理しきれず数日と持たずにパンクしてしまうためだ。
脳が破裂して絶命した鈴木豚也の体はとっくに廃棄したと平然と言ってのけるのだから、恐ろしいことこの上ない。
現在は二十代後半くらいの青年の体に自らの魂を宿らせている。鈴木さんの身体を犠牲にするのは慣れっこだと笑顔で答える。
相好を崩すその顔は不気味意外の何物でもない、残忍で度し難い存在。
時には傀儡として使役する鈴木さん達に命じて、拐かした人達を使い捨てにするらしい。
密かに誘拐した人間を使用し人体実験を繰り返す。鈴木軍の戦力増強を怠らない。
人ならざる者を生み出そうと研鑽の毎日。全ては世界中の生きとし生けるものを跪かせ、統治するため。逆らう者は問答無用で殲滅する。この世の全てを支配し手玉に取るのが彼の野望だ。
そんなベルウッド様の悲願を危惧し始めたのがハイブリッジ率いる高橋軍だった。
厄介な偉人同士の壮大な相剋は、水面下で密かに繰り広げられていた。
高橋軍も鈴木軍と同じような悪業を重ねていった。
鈴木軍が資金集めの目的で売り捌いていた奴隷を買い漁っていたのは主に高橋軍の関係者だと思われる。
一人の人間としての尊厳を奪われ、売り物として扱われる彼等を可哀想だと感じた。
助けてあげたい気持ちはもちろんあったけれど、囚われの身であるあたしにそんな力はない。
商品となっていたのは年端もいかない子供達ばかりだった。
この子達の境遇と比べたら、あたしはまだ果報者と言えなくもないのかな?
自由な会話は制限されてるけど、一応かげくんともお喋りできるしお家にも帰れる。
これからあの子達の歩む人生にはきっと、悲惨な結末が待っているのだろう。
恐い。側に居たくない。今すぐ逃げ出したい。
何度そう願ったことか。
半年に一度。
ベルウッド様は配下である鈴木さん達に、最も美しい女性を発掘するよう命じている。自由に取っ替え引っ替えして楽しむ女性に事欠かないためだ。そのミッションに失敗した者は、制裁の対象となり淘汰される。妻とは名ばかりの『コレクション』にされた被害者はあたしだけじゃなかった。
世界中で忽然と消息を絶った人間の大多数は彼等による仕業だと明言できる。ベルウッド様の周りには脚光を浴びる人気の「女優」「女子アナ」「アイドル」の姿も何人か見受けられた。テレビに映るような仕事をしている女性芸能人は、まさに格好の的だったんだ。
一夫多妻と言えば聞こえは良いが、自由を奪われたうえ、主人に絶対服従のこんな状態では奴隷と何も変わらない。
あたしが芸能活動をしていると知っていた鈴木豚也はあたしをベルウッド様に差し出す形となった。いい鴨が身近にいたな、しめしめと思っていたかもしれない。
最近、あたしの前に四人組の鈴木兄弟で構成されたアイドルグループ、ひとよんで「フォース」が誕生した。
ベルウッド様が鈴木軍に属するイケメン兄弟を選定し、わざわざ水嶋歌姫の監視につかせた。
『不可視の首輪』を嵌めさせただけでは不安なのか、ほんとうに抜け目がない。
こんな状態ではオンもオフもあったもんじゃない。
どうせ、この鎖に繋がれている以上、ご主人様からは逃げられやしないんだから、偶の休みくらい自由にさせて欲しいっていつも思う。
あたしは一生、このまま、囚われの身のまま死んでいくのかな。
大好きなかげくんと満足に遊んだりお喋りしたりすることも叶わずに……。
『おーい、うたちゃーん』
『……あっ、かげくっーーひ、ひかげの馬鹿!気安く話しかけないで……!』
『あ、あれ……俺、うたちゃんに嫌われるようなこと、何かした……?』
初めてかげくんを『日影』って呼び捨てにして撥ね付けたあの日。
お家の廊下でばったり会って『一緒にゲームしよ』って、せっかく遊びに誘ってくれたのに、あたしは不機嫌を装ってその場から逃走。自分の部屋へ篭ることにした。
かげくんのきょとんとしたような寂しそうな表情が、今でも鮮明に思い出せる。
ずっとずっと辛かった。本当は仲良くしたいのに……何度泣いたかわからない。
かげくんに対して精一杯冷たい姉を演じて、大好きで大切な弟を傷付けちゃった。これじゃお姉ちゃん失格だ。
情けないよね。頼りないよね。ご主人様の器量に抗うつもりでいたんだけど、その代償に受ける痛みが予想以上に辛くて、我慢できないくらいで……白状するけど、死んじゃうの怖いなって、いつもいつも震えながら過ごしてた。あんなやつのいいなりに何かならないで、逆らって逆らって逆らい続けるのが正解だったのに、ほんとーに臆病で弱虫。
あたしのこと嫌いになっちゃったかな。そうだとしたら……本当にごめんね。
でもね、まだお姉ちゃんは諦めてないよ。
いつかまた、かげくんと一緒に遊んだり心から笑いあったり、そんな何でもない毎日を楽しく過ごせたらいいなぁ。
彼はかげくんと同い年の男の子で俗に言う苛めっ子。
『ねぇねぇ?いじめていぃい?殴っていぃい?ぶっ飛ばしていぃい?』が口癖の卑劣な人間。
一体全体どんな育て方をされたら、こんな最低最悪な人格に辿り着くのかな。
小学生の頃から仰ぎ見る程に大きかった身長は、中学一年にして180cmを超えていた。
何よりも一番際立っていたのは、気味の悪い口調だ。
彼は自分のことを『ベルウッド』と名乗る。意味不明だ。
最初こそ、早めの中二病でも発症させたのかと思ったのだが、どうも様子がおかしい。
「ベリーベリーハッピーです。まさか、貴女自ら届けに来て頂けるとはね」
「別に貴方の趣味をとやかく言うつもりはないけど、かげくんにちょっかい出すのはもうやめて。それがこれを渡す条件」
鈴木豚也は、立ち入り禁止の筈の学校の屋上に静かに佇んでいた。
幻想的な夕焼け空の下、あたしは恥ずかしさを押し殺して下着を脱ぐ。こんなものが欲しいなんて本当にどうかしてる。
これはかげくんを守るために必要な行為なんだ。
そう割り切ってしまえばあたしは何だってやれる。どうってことないんだから。
「絶世の目鼻立ち、頬を赤らめたその表情。まさにベリーベリーキュートですね。……ですが、貴女は何か勘違いをしているのではありませんか?わたくしに命令をするなど言語道断。ベリーベリーアウトですよ。言わばその下着は主人と奴隷の契約の証。この瞬間から貴女はわたくしの傀儡と成り下がったのですからね」
「君ってさ、いつからそんな喋り方するようになったの? 何か変。それに、さっきからなにを言ってるのか全然理解できないんだけど……」
「貴女が寵愛する大切な弟に魔法のプレゼントを施しました。わたくしとっておきのベリーベリーナイスな器量です。年を重ねる度に彼は不幸になっていく。少しずつですが不幸度が増していくのです。同様、貴女にも魔法のプレゼントを授けましょう。ある条件に合致することによって効果を発揮する、ベリーベリーテリブルな寿命を縮める魔法です」
「あたし達姉弟に器量を使ったって……冗談でしょ? そんな見え透いたブラフ信じるに値しない。あなたは元々器量を使える人間じゃなかった筈」
「当然も当然です。そもそもわたくしはベルウッド。貴女の知っている鈴木君とは全くの別物な存在なのですから。わたくしは鈴木の姓を名乗る者の体を自由に左右出来るのです。この思春期真っ只中のチェリーボーイは貴方をこの場へ呼び寄せるエサとして利用させていただきました。ぐふふ。驚きましたか? 戦々恐々とするその姿、ベリーベリーグッドです」
器量を使った。この男は確かにそう言った。
あたしの千里眼は対象の全てを包み隠さず全容を露呈させる。
つまり、相手が器量持ちかどうかを明らかにするの何てお茶の子さいさいだ。
ーーでも、何かがおかしい。
過去にこの男のステータスを覗き見たことがあるが、その頃は器量を持ち合わせていない至って平凡な存在だった。再度千里眼を発動するも、器量の有無どころか、些細な情報さえも掴むことは出来なかった。情報を隠匿するタイプの器量でも行使しなければこのような現象はありえない。
……それにしても、自分以外で器量を使う人間を初めて見た。
額面通りの意味なら、ベルウッドは器量を複数行使可能ということになる。一つでも物にしていれば優秀と称される器量をいくつも。
ーー器量図鑑。
ふと、そんな言葉があたしの脳裏を過ぎった。
ごく稀に三~四種類の器量に目覚める人間は実在するらしいが、器量図鑑とはその二倍以上の器量を意のままにする人知を超えた存在のことだ。
歴史に名を残す器量図鑑と言ったら、自ずとこの三名に限定される。
三大勢力の長
佐藤。鈴木。高橋。
(ベルウッドってまさか、遠い昔に事切れた筈の偉人の魂がこの男に乗り移ったとでも言うの?)
「この世に生を享けて3000年。貴女のような完成された美少女と邂逅したのは初めてです。鈴木君が恋心を抱くのも納得と言えましょう。目を奪われる出色たる美貌と容姿、他人を思い遣る慈愛の心、口パクアイドル共とは比べものにならない絶大なる歌唱力、そして器量を使い熟す数少なき選ばれし者、正に垂涎の的。ぜひ欲しい。わたくしの妻に相応しい逸材です。手に入れたい。わたくしはツイてます。ベリーベリーラッキーです。わたくし専用のお人形さんになってもらえますか。必ずや愛玩すると誓いますよ。ベリーベリープレシャスです」
「言ってることが支離滅裂っ! 訳わかんない……!こっち来ないで!」
「逃がしませんよ。貴女は永遠にわたくしの物です」
体が動かなくなった。金縛りにでもあったかのように、ぴくりとも動かない。
ベルウッドと名乗る変人が徐々にこちらへと詰め寄ってくる。
出奔は叶わず、抵抗さえできない状態。
敢え無くあたしは体を引き寄せられて、唐突に唇を奪われた。
むざむざとファーストキスを。
「なっ、ななな……なに、するの……? いきなりこんなことするなんて、あたし許可してない……」
「貴女の許可など不要。わたくしは一度欲しいと思った物は必ず手に入れると決めているのです」
「そんなことしらない!全然話が噛み合ってないっ……!返して!あたしのファーストキス返してよー!」
こんな不意打ち受けるくらいなら、あの時かげくんにしてあげれば良かった。悔やんでも悔やみきれない。
舌とか入れられて苦しい思いしたし、何より気持ち悪い。
涙目になりながらぽかぽか体を叩いても、ベルウッドこと鈴木豚也は痛痒を感じていない。
女の子の初めてを無理矢理に奪うなんて鬼畜過ぎる。
「ねぇってば!あたしのはなし聞いてるのっ……!?」
「悲しいお知らせです。今後貴女が弟君に優しい言葉や態度で接するたびに、貴女の寿命は十二ヶ月ずつ削られていきます」
「全然聞く耳もってないし。ーーん?いまなんて言ったの……?」
いま、あたしがかげくんと接すると、寿命がうんたらかんたらとかって言ってなかった?
……ちゃっかり怖いこと言ってたよね?
「要約すると大好きな弟君といちゃいちゃすると死期が早まりますよってことです。貴女がもしも、より長くこの世に留まりたいとお考えであれば、そういった行為はなるだけ回避することをお勧めしますよ。わたくし、我ながらベリーベリーグッドなアドバイスです」
「そ、そんなっ…………ひどい!それじゃ、あたしはかげくんとーー」
「ノーノーノーノーノー。その呼び方はベリーベリーNGです。これから弟君のことは躊躇なく呼び捨てで呼びましょう。いいですね、そうしましょう。因みに、態度は横柄で我儘な傍若無人タイプにシフトさせてくださいね。貴女が優しくしていい対象はわたくしが許可した者限定となります」
「どーしてそんなこと、あなたに指図されなきゃならないの? そんなの絶対に嫌!」
「貴女に選択肢はありません。わたくしの決定は覆ったりしないのです」
かげくんとの何気ない触れ合いはあたしにとって生き甲斐だった。
命を取るか弟を取るか何て選びようがない。そんなの横暴の域を超えてる。究極の二択じゃない。寿命が漸次減っていったらもちろん死んじゃうわけだし、弟に冷たく接する姉とか意地悪してるみたいで何かやだ。
それに、何年も前から今日まで良好だった姉弟の仲が、これといった原因も無しに突然悪くなるとか不自然にも程がある。かげくんだってあたしの様子を疑問に思うでしょ。
とりあえずこの男が独占欲の塊だってことは明瞭に理解できた。私に『不可視の首輪』とやらを取り付け二十四時間監視するつもりらしい。身勝手な振る舞いから察するに、私に拒否権はないようだ。
ーーあの日からあたしは、ベルウッド様のペットとなった。
それからは、かげくんと他愛ない会話をするだけで胸がズキズキした。
具体的に説明するならこんな感じ。
心臓を直に握られているような激しい痛みに襲われるの。
それはもう、あの男の命令に逆らうのは控えようかと躊躇うくらいに甚だしい痛みだった。壮絶な痛みに負けそうになる時もあった。思わず哀願してしまいそうになったり……人は痛みに弱い。
我慢できずに、泣いちゃいそうになるほど苦しそうにしているあたしのことをかげくんはいっつも心配してくれてたな……。
なるだけ面従腹背して困らせてやろうと画策してたんだけど、あたしの体は抵抗を繰り返す度に疲弊していって、気付けば芸能活動に支障を来すまでボロボロになっていた。
頻繁に怪我をするようになったり、度々インフルエンザ級の高熱を出すようになったのも全てあいつが仕組んだ器量の力によるものだ。何度も生死の境をさまよったのは想像に難くない。雁字搦めで鳥籠に囚われたような毎日が延々と続く。
あたしはとうとう、彼の絶大なる権力の前に屈して、彼の言いなりになった。なるしか方法が無かった。
同じく、かげくんにも徐々に器量による兆候が垣間見えるようになった。
最初の内こそ、重度の倦怠感に襲われたり大切な物を無くしたりと小さな異変ばかりだったのだが、刻一刻と状況は悪化した。
芳しくない日々の繰り返しが重なって、ついには刑務所に入るという最悪な事態を招いてしまった。
ーー鈴木という姓が二番目に多い理由を貴女は知っていますか?
あたしは今、頻繁に出入りするよう命じられている主人の『城』の中にいる。
億単位のお金を使って建てた黒一色の趣味の悪い荘厳な邸宅。
ベルウッド様はあたしに質問をしながら髪を撫でてくる。
心底気持ちが悪い。憎悪と不快な気持ちを押し殺しながら、正直に知りませんと答えた。
営業スマイルが思わぬところで役に立った瞬間だった。
「とても簡単なことです。前にわたくしは鈴木の姓を持つものを自在に操れるとお教えしました。ずっと昔、駒として使用するため、器量を行使し服従させたのですよ。その気になれば全国の鈴木達を結集させるのも容易いのです。シュガーとの戦争でベルウッドは虚しくも敗北しました。相当数の鈴木達が打ち取られたのは説明するまでもないでしょう。多勢に無勢、八万ほどの戦力差。数による暴力でわたくし率いる鈴木軍は彼率いる佐藤軍に敵いませんでした。その結果、数多の仲間達が「佐藤」を名乗れと命じられました。わたくしの挑戦は余計にシュガー率いる佐藤軍を台頭させる惨事を招いてしまったのですよ。ベリーベリーショックです。ハイブリッジは我々の鬩ぎ合いを傍観し、佐藤軍の戦力を削る策を講じていたようですが、それでも彼率いる軍団では佐藤軍の足元にも及びませんでしたね。彼等高橋軍の漁夫の利は失敗に終わりました。現代に佐藤を名乗る者が多いのは先の戦争でシュガーがベルウッドとハイブリッジを下したからなのです。敵ながらベリーベリーグレイトですね」
ベリーベリーが口癖の変な人は、話がいちいちだらだらと長い。
高言や自画自賛のような話をかれこれ小一時間はくっちゃべっている。
他にもベルウッド様はこんなことを饒舌に語っていた。聞きたくもない内容だったけれど、すぐ隣でぺちゃくちゃと喋られていては嫌でも耳に入る。
何でも「佐々木」「青木」「八木」などの「木」で終わる姓を名乗る者達は自分が支配しているのだとか。
ついでに「斎藤」「遠藤」「加藤」これらの「藤」で終わる姓を名乗る者達はシュガーの傘下的存在なのだとか。最早何が何だかわからない。
遠い昔に「佐藤」「鈴木」「高橋」による三つ巴の権力闘争があったなんて学校では習わなかった。
巧妙に隠匿されたのか、はたまた隠蔽されたのか……まさに寝耳に水の歴史だ。
膨大な数の器量を手にした者達の蹂躙劇。
微微たる器量しか所持していない長の率いる集団は抵抗さえ儘ならず、強者の言いなりになるしか生き延びる手段がなかった。弱者は三強に屈してどんどん吸収されていった。
……まるで今のあたしみたいだ。
ベルウッド様は何度も姿を変える。
平々凡々な人間の体では幾つもの器量を管理しきれず数日と持たずにパンクしてしまうためだ。
脳が破裂して絶命した鈴木豚也の体はとっくに廃棄したと平然と言ってのけるのだから、恐ろしいことこの上ない。
現在は二十代後半くらいの青年の体に自らの魂を宿らせている。鈴木さんの身体を犠牲にするのは慣れっこだと笑顔で答える。
相好を崩すその顔は不気味意外の何物でもない、残忍で度し難い存在。
時には傀儡として使役する鈴木さん達に命じて、拐かした人達を使い捨てにするらしい。
密かに誘拐した人間を使用し人体実験を繰り返す。鈴木軍の戦力増強を怠らない。
人ならざる者を生み出そうと研鑽の毎日。全ては世界中の生きとし生けるものを跪かせ、統治するため。逆らう者は問答無用で殲滅する。この世の全てを支配し手玉に取るのが彼の野望だ。
そんなベルウッド様の悲願を危惧し始めたのがハイブリッジ率いる高橋軍だった。
厄介な偉人同士の壮大な相剋は、水面下で密かに繰り広げられていた。
高橋軍も鈴木軍と同じような悪業を重ねていった。
鈴木軍が資金集めの目的で売り捌いていた奴隷を買い漁っていたのは主に高橋軍の関係者だと思われる。
一人の人間としての尊厳を奪われ、売り物として扱われる彼等を可哀想だと感じた。
助けてあげたい気持ちはもちろんあったけれど、囚われの身であるあたしにそんな力はない。
商品となっていたのは年端もいかない子供達ばかりだった。
この子達の境遇と比べたら、あたしはまだ果報者と言えなくもないのかな?
自由な会話は制限されてるけど、一応かげくんともお喋りできるしお家にも帰れる。
これからあの子達の歩む人生にはきっと、悲惨な結末が待っているのだろう。
恐い。側に居たくない。今すぐ逃げ出したい。
何度そう願ったことか。
半年に一度。
ベルウッド様は配下である鈴木さん達に、最も美しい女性を発掘するよう命じている。自由に取っ替え引っ替えして楽しむ女性に事欠かないためだ。そのミッションに失敗した者は、制裁の対象となり淘汰される。妻とは名ばかりの『コレクション』にされた被害者はあたしだけじゃなかった。
世界中で忽然と消息を絶った人間の大多数は彼等による仕業だと明言できる。ベルウッド様の周りには脚光を浴びる人気の「女優」「女子アナ」「アイドル」の姿も何人か見受けられた。テレビに映るような仕事をしている女性芸能人は、まさに格好の的だったんだ。
一夫多妻と言えば聞こえは良いが、自由を奪われたうえ、主人に絶対服従のこんな状態では奴隷と何も変わらない。
あたしが芸能活動をしていると知っていた鈴木豚也はあたしをベルウッド様に差し出す形となった。いい鴨が身近にいたな、しめしめと思っていたかもしれない。
最近、あたしの前に四人組の鈴木兄弟で構成されたアイドルグループ、ひとよんで「フォース」が誕生した。
ベルウッド様が鈴木軍に属するイケメン兄弟を選定し、わざわざ水嶋歌姫の監視につかせた。
『不可視の首輪』を嵌めさせただけでは不安なのか、ほんとうに抜け目がない。
こんな状態ではオンもオフもあったもんじゃない。
どうせ、この鎖に繋がれている以上、ご主人様からは逃げられやしないんだから、偶の休みくらい自由にさせて欲しいっていつも思う。
あたしは一生、このまま、囚われの身のまま死んでいくのかな。
大好きなかげくんと満足に遊んだりお喋りしたりすることも叶わずに……。
『おーい、うたちゃーん』
『……あっ、かげくっーーひ、ひかげの馬鹿!気安く話しかけないで……!』
『あ、あれ……俺、うたちゃんに嫌われるようなこと、何かした……?』
初めてかげくんを『日影』って呼び捨てにして撥ね付けたあの日。
お家の廊下でばったり会って『一緒にゲームしよ』って、せっかく遊びに誘ってくれたのに、あたしは不機嫌を装ってその場から逃走。自分の部屋へ篭ることにした。
かげくんのきょとんとしたような寂しそうな表情が、今でも鮮明に思い出せる。
ずっとずっと辛かった。本当は仲良くしたいのに……何度泣いたかわからない。
かげくんに対して精一杯冷たい姉を演じて、大好きで大切な弟を傷付けちゃった。これじゃお姉ちゃん失格だ。
情けないよね。頼りないよね。ご主人様の器量に抗うつもりでいたんだけど、その代償に受ける痛みが予想以上に辛くて、我慢できないくらいで……白状するけど、死んじゃうの怖いなって、いつもいつも震えながら過ごしてた。あんなやつのいいなりに何かならないで、逆らって逆らって逆らい続けるのが正解だったのに、ほんとーに臆病で弱虫。
あたしのこと嫌いになっちゃったかな。そうだとしたら……本当にごめんね。
でもね、まだお姉ちゃんは諦めてないよ。
いつかまた、かげくんと一緒に遊んだり心から笑いあったり、そんな何でもない毎日を楽しく過ごせたらいいなぁ。
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