33 / 109
第三十二話(ゆーかい、愉快。幼女を誘拐?)
しおりを挟む
「おっかないねぇ……。中学生の女の子が誘拐されたんけ」
晩御飯中にTVのニュース番組を眺めながらばあちゃんが呟いた。
画面に映るアナウンサーが、二十三歳の男が未成年者誘拐の容疑で逮捕されたと報道している。情報によれば三年という長い期間監禁されていたらしい。
本日は歌姉もばあちゃんも珍しく早めに帰宅し四人揃っての食事だ。
そのおかげか寂しがり屋な慈愛ちゃんは俺と二人っきりの日以上にニコニコしている。我が妹ながら、純粋で素直な可愛い奴だ。
「慈愛ちゃんも気を付けてね。知らない人に声を掛けられても付いて行っちゃ駄目だぜ。お菓子くれるとかご飯食べさせてあげるって誘われても釣られちゃ駄目。わかったかい?」
「は、はい。分かりました」
ばあちゃんの忠告にこくこくと頷く慈愛ちゃんだったが、この子は以前一度知らない人に声を掛けられて付いて行った経験がある。
俺と初めて会った日。まだ俺達がただの他人だったあの日のことだ。
(何か、心配だな……)
日影が妹の身を案じていると、歌がこんな提案を光子へ口にした。
「ねぇ、おばあちゃん。慈愛ちゃんにもケータイ持たせてあげた方がいいんじゃない?何か合った時のこと考えたらやっぱり必要よね。誘拐されそうになったらそれで助けを求められるし」
「そうだねぇ。慈愛ちゃん、明日ばあちゃんと一緒に携帯電話買いに行くけ?」
「けい、たい……」
携帯電話を買って貰えると嬉しさを隠せない慈愛ちゃんはわくわくで目を輝かせている。
その姿は明日が待ち遠しいリアルな子供だ。
ーーそっか。明日ばあちゃんは仕事休み何だな。
************************
「あ、もしもし。お兄ちゃんですか?慈愛です。貴方の妹です」
「ご丁寧にどうも。慈愛ちゃんの兄、日影です」
次の日の午後。
携帯に掛かってきた未登録の番号に日影は何の躊躇いもなく通話に応じた。
案の定、我が妹の携帯からの初めての着信だった。
「えへへ。お兄ちゃんの声が聞こえます」
「はは。当たり前だろ。電話何だから」
電話越しでも妹がご機嫌だと十二分に伝わってくる明るい声音。
そんな嬉しそうな声を聞いているだけで、こっちも自然と笑顔になっていた。
「これから帰ってくるのか?」
「いえ、すいません。おばあちゃんとお外でお昼ご飯食べてから帰ろうって話してたところです」
「そっか。それじゃ、気を付けて帰ってこいよ」
「はい。お兄ちゃん、ばいばいです」
可愛い自慢の妹との通話を切った後、先程から目を通していた求人雑誌に視線を戻す。
面接に行っては落とされ行っては落とされを繰り返す毎日に夢も希望もない日影だが、彼はまだ諦めてはいなかった。
「俺に警察とか消防士とか無理だわ~」
さっそく諦めの言葉が飛び出した。
応募資格の欄に最終学歴「大卒」とある。
中卒の彼には面接を受けることさえ叶わない。日影は絶望していた。
「かと言って清掃員は無いわ~」
清掃員=おっさん。
清掃員=年寄り達の天下り先。
清掃員=負け組。
清掃員=汚れ仕事。
こんなことを語れば全世界の清掃員を敵に回すかもしれないが、そんな様々なイメージが強い仕事に若いうちから就く何て日影には許せなかった。
だって、その仕事なら年取ったおっさんになってからでも十分に入社できるじゃん。
「ああ…………俺に相応しい仕事って何だろ?」
仕事探しに魂を燃やし尽くした日影はベッドの上に体を倒し、ふて寝した。
自分の部屋の天井をぼんやりと眺めながらこんなことを思う。
このまま何処にも就けないで、ニート生活から抜け出せずに死んじまったりしてな。
不吉なことを連想しながらゆっくりと瞼を閉じる。
今日予定している面接は午後十六時からだ。少しくらい眠っても平気だろ。
……………………………………………
「お兄ちゃん。起きてください。もう晩御飯の時間ですよ」
「…………ん、あれ……慈愛ちゃん。おかえり」
完全に日が沈み暗くなった部屋の中、妹の可愛らしい声が微かに聞こえて目を覚ます。
半開きのドアから差し込む通路の照明に照らされ、慈愛ちゃんの顔が近くにあるのが分かった。
寝ている兄の顔を覗き込むように見ている妹が普通に愛らしい。
「ただいまです。おばあちゃんにお兄ちゃんを呼んできてとお願いされました。ノックしたのですが、反応が無かったので無断で入っちゃいました。ごめんなさい」
「そっか。ありがとな。態々起こしに来てくれて」
「どういたしましてです。起こすくらいどうってことありません。お兄ちゃんのこと大好きですから。それより早く下に行きましょう。おばあちゃん特製のカレーが冷めちゃいます。私も野菜切ったりお手伝いしたんですよ」
「そうか、そうか。慈愛ちゃんはほんと偉いな」
綺麗な銀髪をぽんぽんと撫でてから、妹の後を追って階段を下りる。
キッチンに向かう途中で美味しそうなカレーの匂いが漂ってきた。
「どうだい、美味しいけ?」
「ん、ああ。美味いよ。何かこのカレー久しぶりに食った気がするわ」
「慈愛ちゃんも手伝ってくれたんだぜ」
「それさっき聞いた」
本日は歌姉不在で三人での晩御飯となった。
ばあちゃんは決まって食事中にTVを点けては歌姉が出演している番組を探している。
うちの姉は毎日欠かさず何かしらの番組には映ってるから、あまり寂しいと感じたことはない。流石、人気のアイドルなだけはある。
「歌お姉ちゃん、芸人の人とコンビで漫才やってます」
「すごいねぇ。あの子、私の娘何だよ」
「それ、俺に自慢したって仕方ないだろ」
「お兄ちゃん、あの人私のお姉ちゃんです」
「知ってるよ。同時に俺の姉でもある」
ばあちゃんの真似をしてみたつもりなのか、慈愛ちゃんまでもが得意気に当然の事実を俺相手に自慢する。血は繋がっていないものの、子供が親の背中を見て成長するというのは強ち間違っていないんじゃないかと思うね。
「慈愛ちゃん、ちょっとこっち向いてみ」
「はい、何ですか?」
日影は隣の椅子に腰掛ける妹の顔を覗き込んで口元が汚れていると気付いた。
「カレー付いてるぞ。まったく……可愛い奴め」
日影が慈愛の口元を拭ってやっている微笑ましい兄妹の姿を見て、光子が呟いた。
「二人は本当に仲が良いねぇ。見てるだけで癒されるよ。慈愛ちゃん、優しいお兄ちゃんで良かったね」
「はい。お兄ちゃんはいつも優しいです」
二人にお褒めの言葉を頂いた日影が満更でもなさそうにニヤニヤしていると、慈愛が買って貰ったばかりのスマホを取り出し、保存した写真を兄へ見せた。
「お兄ちゃんが眠っている写真こっそり撮っちゃいました。これ待ち受けにしても良いですか?」
自分の眠っている顔何か生まれて初めて見たかもしれない。
妹のスマホ画面に映る男(木ノ下日影)は口を半開きにしてアホ面を晒していた。
ヨダレを垂らしていないだけマシか。
「待ち受けだけはやめてくれ。俺が恥ずい」
「え~。ずるいです。お兄ちゃんの携帯の待ち受けは誰の写真でしたっけ」
日影のスマホの待ち受け画面にはもちろん可愛い妹の姿が映っている。
今まで何枚も撮りためた慈愛コレクションの中でも至高の一枚を待ち受けに設定しているのだ。
兄は堂々と、包み隠さず丁寧に言った。
「慈愛様でございます」
「なら、これでおあいこです。私もお兄ちゃんを待ち受けにします」
日影が妹を待ち受けにしている理由はおじいちゃんやおばあちゃんが孫の写真を待ち受けにする理由とだいぶ近い。
何時如何なる時も共に居たいという気持ちの表れだろう。
おあいこと言われてしまえば、無理に拒むことなど出来る筈もない。
…………あ、そういえば。
お腹がいっぱいに満たされて、自分の部屋に戻って来て、求人雑誌を見て思い出した。
今日の面接すっかり忘れてたよ。
晩御飯中にTVのニュース番組を眺めながらばあちゃんが呟いた。
画面に映るアナウンサーが、二十三歳の男が未成年者誘拐の容疑で逮捕されたと報道している。情報によれば三年という長い期間監禁されていたらしい。
本日は歌姉もばあちゃんも珍しく早めに帰宅し四人揃っての食事だ。
そのおかげか寂しがり屋な慈愛ちゃんは俺と二人っきりの日以上にニコニコしている。我が妹ながら、純粋で素直な可愛い奴だ。
「慈愛ちゃんも気を付けてね。知らない人に声を掛けられても付いて行っちゃ駄目だぜ。お菓子くれるとかご飯食べさせてあげるって誘われても釣られちゃ駄目。わかったかい?」
「は、はい。分かりました」
ばあちゃんの忠告にこくこくと頷く慈愛ちゃんだったが、この子は以前一度知らない人に声を掛けられて付いて行った経験がある。
俺と初めて会った日。まだ俺達がただの他人だったあの日のことだ。
(何か、心配だな……)
日影が妹の身を案じていると、歌がこんな提案を光子へ口にした。
「ねぇ、おばあちゃん。慈愛ちゃんにもケータイ持たせてあげた方がいいんじゃない?何か合った時のこと考えたらやっぱり必要よね。誘拐されそうになったらそれで助けを求められるし」
「そうだねぇ。慈愛ちゃん、明日ばあちゃんと一緒に携帯電話買いに行くけ?」
「けい、たい……」
携帯電話を買って貰えると嬉しさを隠せない慈愛ちゃんはわくわくで目を輝かせている。
その姿は明日が待ち遠しいリアルな子供だ。
ーーそっか。明日ばあちゃんは仕事休み何だな。
************************
「あ、もしもし。お兄ちゃんですか?慈愛です。貴方の妹です」
「ご丁寧にどうも。慈愛ちゃんの兄、日影です」
次の日の午後。
携帯に掛かってきた未登録の番号に日影は何の躊躇いもなく通話に応じた。
案の定、我が妹の携帯からの初めての着信だった。
「えへへ。お兄ちゃんの声が聞こえます」
「はは。当たり前だろ。電話何だから」
電話越しでも妹がご機嫌だと十二分に伝わってくる明るい声音。
そんな嬉しそうな声を聞いているだけで、こっちも自然と笑顔になっていた。
「これから帰ってくるのか?」
「いえ、すいません。おばあちゃんとお外でお昼ご飯食べてから帰ろうって話してたところです」
「そっか。それじゃ、気を付けて帰ってこいよ」
「はい。お兄ちゃん、ばいばいです」
可愛い自慢の妹との通話を切った後、先程から目を通していた求人雑誌に視線を戻す。
面接に行っては落とされ行っては落とされを繰り返す毎日に夢も希望もない日影だが、彼はまだ諦めてはいなかった。
「俺に警察とか消防士とか無理だわ~」
さっそく諦めの言葉が飛び出した。
応募資格の欄に最終学歴「大卒」とある。
中卒の彼には面接を受けることさえ叶わない。日影は絶望していた。
「かと言って清掃員は無いわ~」
清掃員=おっさん。
清掃員=年寄り達の天下り先。
清掃員=負け組。
清掃員=汚れ仕事。
こんなことを語れば全世界の清掃員を敵に回すかもしれないが、そんな様々なイメージが強い仕事に若いうちから就く何て日影には許せなかった。
だって、その仕事なら年取ったおっさんになってからでも十分に入社できるじゃん。
「ああ…………俺に相応しい仕事って何だろ?」
仕事探しに魂を燃やし尽くした日影はベッドの上に体を倒し、ふて寝した。
自分の部屋の天井をぼんやりと眺めながらこんなことを思う。
このまま何処にも就けないで、ニート生活から抜け出せずに死んじまったりしてな。
不吉なことを連想しながらゆっくりと瞼を閉じる。
今日予定している面接は午後十六時からだ。少しくらい眠っても平気だろ。
……………………………………………
「お兄ちゃん。起きてください。もう晩御飯の時間ですよ」
「…………ん、あれ……慈愛ちゃん。おかえり」
完全に日が沈み暗くなった部屋の中、妹の可愛らしい声が微かに聞こえて目を覚ます。
半開きのドアから差し込む通路の照明に照らされ、慈愛ちゃんの顔が近くにあるのが分かった。
寝ている兄の顔を覗き込むように見ている妹が普通に愛らしい。
「ただいまです。おばあちゃんにお兄ちゃんを呼んできてとお願いされました。ノックしたのですが、反応が無かったので無断で入っちゃいました。ごめんなさい」
「そっか。ありがとな。態々起こしに来てくれて」
「どういたしましてです。起こすくらいどうってことありません。お兄ちゃんのこと大好きですから。それより早く下に行きましょう。おばあちゃん特製のカレーが冷めちゃいます。私も野菜切ったりお手伝いしたんですよ」
「そうか、そうか。慈愛ちゃんはほんと偉いな」
綺麗な銀髪をぽんぽんと撫でてから、妹の後を追って階段を下りる。
キッチンに向かう途中で美味しそうなカレーの匂いが漂ってきた。
「どうだい、美味しいけ?」
「ん、ああ。美味いよ。何かこのカレー久しぶりに食った気がするわ」
「慈愛ちゃんも手伝ってくれたんだぜ」
「それさっき聞いた」
本日は歌姉不在で三人での晩御飯となった。
ばあちゃんは決まって食事中にTVを点けては歌姉が出演している番組を探している。
うちの姉は毎日欠かさず何かしらの番組には映ってるから、あまり寂しいと感じたことはない。流石、人気のアイドルなだけはある。
「歌お姉ちゃん、芸人の人とコンビで漫才やってます」
「すごいねぇ。あの子、私の娘何だよ」
「それ、俺に自慢したって仕方ないだろ」
「お兄ちゃん、あの人私のお姉ちゃんです」
「知ってるよ。同時に俺の姉でもある」
ばあちゃんの真似をしてみたつもりなのか、慈愛ちゃんまでもが得意気に当然の事実を俺相手に自慢する。血は繋がっていないものの、子供が親の背中を見て成長するというのは強ち間違っていないんじゃないかと思うね。
「慈愛ちゃん、ちょっとこっち向いてみ」
「はい、何ですか?」
日影は隣の椅子に腰掛ける妹の顔を覗き込んで口元が汚れていると気付いた。
「カレー付いてるぞ。まったく……可愛い奴め」
日影が慈愛の口元を拭ってやっている微笑ましい兄妹の姿を見て、光子が呟いた。
「二人は本当に仲が良いねぇ。見てるだけで癒されるよ。慈愛ちゃん、優しいお兄ちゃんで良かったね」
「はい。お兄ちゃんはいつも優しいです」
二人にお褒めの言葉を頂いた日影が満更でもなさそうにニヤニヤしていると、慈愛が買って貰ったばかりのスマホを取り出し、保存した写真を兄へ見せた。
「お兄ちゃんが眠っている写真こっそり撮っちゃいました。これ待ち受けにしても良いですか?」
自分の眠っている顔何か生まれて初めて見たかもしれない。
妹のスマホ画面に映る男(木ノ下日影)は口を半開きにしてアホ面を晒していた。
ヨダレを垂らしていないだけマシか。
「待ち受けだけはやめてくれ。俺が恥ずい」
「え~。ずるいです。お兄ちゃんの携帯の待ち受けは誰の写真でしたっけ」
日影のスマホの待ち受け画面にはもちろん可愛い妹の姿が映っている。
今まで何枚も撮りためた慈愛コレクションの中でも至高の一枚を待ち受けに設定しているのだ。
兄は堂々と、包み隠さず丁寧に言った。
「慈愛様でございます」
「なら、これでおあいこです。私もお兄ちゃんを待ち受けにします」
日影が妹を待ち受けにしている理由はおじいちゃんやおばあちゃんが孫の写真を待ち受けにする理由とだいぶ近い。
何時如何なる時も共に居たいという気持ちの表れだろう。
おあいこと言われてしまえば、無理に拒むことなど出来る筈もない。
…………あ、そういえば。
お腹がいっぱいに満たされて、自分の部屋に戻って来て、求人雑誌を見て思い出した。
今日の面接すっかり忘れてたよ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる