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第七話(藤野慈愛)
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お待ちかねの晩御飯の時間がやってきて、慈愛が目の前のお子様ランチをキラキラした瞳で見つめていた。
食事時につまらない話であることは重々承知の上で、日影は囚人達が一日に行う作業内容をゆったりと説明してやろうと考える。
ちなみにお子様ランチは子供の囚人である慈愛専用らしく、俺の手元にあるのは天丼だ。
久々に見たな。国の旗が刺さったチキンライス。
「わぁ……お子様ランチ久しぶり過ぎです。とても美味しそうですが、私は子供ではないので少し馬鹿にされている気がします。デザートにケーキがついているので別に構いませんけど」
そんな慈愛の台詞を聞いて、日影は心中でツッコミを入れる。
小学生は大人ではないだろう。
「慈愛。食べながらでいいから聞いてくれるか?」
「は、ふぁい。……なんれふか?」
此処に収容されている限り、小学生と幼い慈愛でも刑務作業や奉仕作業を避けては通れない。
それが囚人である俺達が罪を償う方法だ。
日影は刑務所での一日を大体の感じで説明してやった。
「知ってます。刑務官の人が説明してくれました。えと……確か、職業体験みたいな感じのことするんですよね?」
「職業体験じゃない。奉仕作業な」
「明日は何処に行くんです?」
「明日は清掃会社だ」
基本午後からの奉仕作業だが、極たまに午前中から午後。一日フルで向かう仕事場も存在する。明日の清掃会社はそのうちの一つだ。
「清掃ですか。それなら私にも出来そうですね。小学校で経験済みですし、自信があります」
慈愛は得意気に言うが、明日俺等が向かう場所では教室やトイレ掃除のような簡単なことはしない。
古く剥がれてきた床のワックスを専用の機械を操作し完全に取り除く。
その後、洗浄作業によって発生した汚水を回収するという特殊な仕事だ。
過去に何度か経験済みだが、機械の操作は憶えれば簡単に感じるものの、初心者には難しく感じるかもな。
……ま、何とかなるだろ。
「お、慈愛……ご飯粒付いてるぞ」
食べるのに夢中で気付いていないのか、チキンライスのオレンジ色の米粒が可愛らしいほっぺに一粒。
それを取ってやると、愛し合っている恋人同士の真似事のように口へ含んでみた。
当然、まだ小学生と幼い慈愛に日影の行動の意味が分かる筈もなく、
「ありがとうございます」
からかい甲斐もなく普通にお礼を言われただけで終わった。
こんなことをされれば、少しは照れがあっても良いくらいだが……そう思っていたところ、この光景を遠目で眺めていた正面の牢の中に収容された囚人「吉澤大地」通称「デブちゃん」がウザいくらいに反応した。
「おい、日影!俺の目の前で羨ましいことすんな!自慢か!自慢何だな!そう何だろ!このロリコン野郎!社会不適合者!」
「うるせーよ、デブ。食事中に大声を出すな。俺はロリコンじゃねぇ」
女子とばかりペアになっている日影へ頻繁に喧嘩を吹っかけてくる愉快な太った男は、外国人と日本人のハーフで二カ国語ぺらぺら。ユニークな丸刈り頭をした一押しの愛すべきデブキャラだ。
罵声を連発されてはいるが、別に仲は悪くない。誤解をしてもらっては困る。
「ああん?誘拐未遂で捕まってる癖に今更強がるんじゃねぇよ。この刑務所内でお前が間違いで捕まった何て信じてるのはルナちゃんくらいのもんだろうが」
「お前もだろ。マイブラザー」
「へへ。寄せよ。皮肉言う気も失せるぜ」
「お兄ちゃんのお友達さんですか?」
日影とデブちゃんのやり取りを眺めていた慈愛がそんなことを尋ねてきた。
「デブちゃんだ。体重百キロオーバーのデブだから慈愛は近寄っちゃ駄目だぞ。うっかり潰されても嫌だろ?」
注意点を添えて紹介してやった。
あの巨体に乗っかられようものなら、窒息死くらいは覚悟する必要がある。
「何て紹介してくれてんだ、てめぇはよぉ……」
「怒るなよ、デブちゃん。俺達の仲だろ?」
「そう呼ばれるのもすっかり慣れちまったせいか、今ではその名を受け入れている俺が居るぜ」
そう。この「デブちゃん」というあだ名は俺が命名した。
初めこそ嫌がっていた彼も現在ではこの名を気に入っている。
まるで自分が正真正銘の「デブ王」だと認めたかのように、何時の日か、誰がどう聞いても悪口でしかないそのあだ名を許してくれるようになっていた。
これは日影の努力の賜物だ。
注意すべき点があるとすれば、くれぐれも「デブ」とは口にしないこと。
「デブ」と発声後に必ず「ちゃん」を添えて呼ぶことが、彼の怒りを買わない重要なポイントとなるのはすでに検証済みだ。
「はは。しかし、刑務所暮らししててもその腹は相変わらずだなぁ。出所後は力士にでもなったらどうだ?なあ、そこんとこどう何だ、デブ」
「うっせぇ。次デブっつったらそのひょろっこい体へし折るからな」
「俺はひょろくねぇ。スマートと言え」
「ところで話は変わるけどよ。明日の奉仕作業先、俺達もお前等と同じ場所になっちまったわ。清掃とかだりぃよ。なぁ?」
「達って?お前その牢一人で使ってるじゃねぇか。また誰か来るのか?」
最近の話になるが、デブとペアだった相手は罪を償って刑務所から塀の外へと帰って行った。
だからこいつが「達」と口にした瞬間に違和感があった。また新たに囚人が追加されるのだろうか?
この世界には悪いことを平気でするような人間で溢れかえっているんだな。
牢にも制限がある。現在じゃペアの俺達もいつかはトリオやカルテットになるのかもしれないな。
「ああ。それがよぉ……どうもあいつが帰って来るみたい何だわ」
「誰だよ?」
「誰ですか?」
日影と慈愛が二人揃って首を傾げていると、そいつは唐突に姿を現した。
見覚えのある長い髪と鋭めな目付きは懲罰牢に長い期間閉じ込められていたのに以前と変わらないように見える。
過酷な環境で何ヶ月も過ごしてきたのか疑ってしまうくらい整った顔やスタイルは俺とペアだった頃そのままに維持されていた。
「あたしのペアは日影じゃないって聞いたけど、まさかおデブちゃんだとは予想もしてなかったわ。ハズレくじを引いちゃったみたい。夏場は暑苦しくなりそう」
桜葉つるぎが再会して早速デブに毒を吐いた。
「懲罰牢から帰ってきて最初の台詞がそれかよ……」
デブちゃんのその台詞には同感だな。
あの拷問部屋のようなところに閉じ込められていた囚人は大体が鬱になってげっそりして帰って来るんだぜ。
解放された瞬間に栄養失調で倒れたりとにかく酷いらしい。
それに比べてこいつは何だ?
何事も無かったかのように元気だ。ぴんぴんしている。
(ああ……そういえば……)
懲罰牢と聞いてぽかんと頭に浮かぶのは、金髪ツインテールの少女が一人で寂しそうに泣いている可哀想な表情。
おお、ルナよ、可哀想に……。
帰ってきたら目一杯慰めてやるからな。
「久しぶりだな。つるぎ」
「あら日影。そんな所にいたのね」
「懲罰牢はどうだった」
「そうね。良いダイエットにはなったんじゃない」
こいつは面白いことを言うな。
ダイエットも何もつるぎは俺とペアだった頃から太ってなどいなかった。
「だってよ、おデブ。お前も今から懲罰牢行って、そのだらしねー体シェイプアップして来いや」
「日影の言う通りよ。あの部屋なら確実に痩せられるし、ちょうどいいんじゃない?」
「んあ?何がちょうどいいってんだよ?」
「貴方は痩せられて、あたしはこの牢を独り占め出来るでしょ」
「ぜってーに行かねぇ。意地でも行かねぇ」
「そう。別にそれでも構わないけれど、入浴中に覗くのは無しよ。おデブちゃん」
つるぎのその言葉で思い出す。飯の後は風呂の時間だったなと。
今日から慈愛とペアだし、俺は暫く体を濡れタオルで拭くだけの洗体になりそうだ。
一緒に入れば周りの連中に何と罵られるか大体の予想が付く。
「はあ!?何でだよ!風呂は一緒に入る決まりになってるだろ!それにお前、日影とは一緒に入ってたじゃねぇか!」
「日影は可愛いから良いの。あたし、デブで丸刈りって嫌ーー苦手なのよね」
「今、嫌いって言おうとしてたよな?……くそぅ、これじゃ折角女とペアになった意味がねぇじゃねーか。女体が拝めると思って期待してたのによ。最悪だぜ」
「慈愛、お前も食べ終わったら風呂行って来いよ」
「へ?お兄ちゃんは一緒に入らないんですか?」
「俺はデブちゃんとは違うんだよ。濡れタオルで体拭くから大丈夫だ」
日影は基本、相手が許可しない限りは一緒に入ったりしない。
慈愛が二人で入りたいと甘い言葉を投げかけてきたが、俺はそのお誘いをキッパリと断った。
食事時につまらない話であることは重々承知の上で、日影は囚人達が一日に行う作業内容をゆったりと説明してやろうと考える。
ちなみにお子様ランチは子供の囚人である慈愛専用らしく、俺の手元にあるのは天丼だ。
久々に見たな。国の旗が刺さったチキンライス。
「わぁ……お子様ランチ久しぶり過ぎです。とても美味しそうですが、私は子供ではないので少し馬鹿にされている気がします。デザートにケーキがついているので別に構いませんけど」
そんな慈愛の台詞を聞いて、日影は心中でツッコミを入れる。
小学生は大人ではないだろう。
「慈愛。食べながらでいいから聞いてくれるか?」
「は、ふぁい。……なんれふか?」
此処に収容されている限り、小学生と幼い慈愛でも刑務作業や奉仕作業を避けては通れない。
それが囚人である俺達が罪を償う方法だ。
日影は刑務所での一日を大体の感じで説明してやった。
「知ってます。刑務官の人が説明してくれました。えと……確か、職業体験みたいな感じのことするんですよね?」
「職業体験じゃない。奉仕作業な」
「明日は何処に行くんです?」
「明日は清掃会社だ」
基本午後からの奉仕作業だが、極たまに午前中から午後。一日フルで向かう仕事場も存在する。明日の清掃会社はそのうちの一つだ。
「清掃ですか。それなら私にも出来そうですね。小学校で経験済みですし、自信があります」
慈愛は得意気に言うが、明日俺等が向かう場所では教室やトイレ掃除のような簡単なことはしない。
古く剥がれてきた床のワックスを専用の機械を操作し完全に取り除く。
その後、洗浄作業によって発生した汚水を回収するという特殊な仕事だ。
過去に何度か経験済みだが、機械の操作は憶えれば簡単に感じるものの、初心者には難しく感じるかもな。
……ま、何とかなるだろ。
「お、慈愛……ご飯粒付いてるぞ」
食べるのに夢中で気付いていないのか、チキンライスのオレンジ色の米粒が可愛らしいほっぺに一粒。
それを取ってやると、愛し合っている恋人同士の真似事のように口へ含んでみた。
当然、まだ小学生と幼い慈愛に日影の行動の意味が分かる筈もなく、
「ありがとうございます」
からかい甲斐もなく普通にお礼を言われただけで終わった。
こんなことをされれば、少しは照れがあっても良いくらいだが……そう思っていたところ、この光景を遠目で眺めていた正面の牢の中に収容された囚人「吉澤大地」通称「デブちゃん」がウザいくらいに反応した。
「おい、日影!俺の目の前で羨ましいことすんな!自慢か!自慢何だな!そう何だろ!このロリコン野郎!社会不適合者!」
「うるせーよ、デブ。食事中に大声を出すな。俺はロリコンじゃねぇ」
女子とばかりペアになっている日影へ頻繁に喧嘩を吹っかけてくる愉快な太った男は、外国人と日本人のハーフで二カ国語ぺらぺら。ユニークな丸刈り頭をした一押しの愛すべきデブキャラだ。
罵声を連発されてはいるが、別に仲は悪くない。誤解をしてもらっては困る。
「ああん?誘拐未遂で捕まってる癖に今更強がるんじゃねぇよ。この刑務所内でお前が間違いで捕まった何て信じてるのはルナちゃんくらいのもんだろうが」
「お前もだろ。マイブラザー」
「へへ。寄せよ。皮肉言う気も失せるぜ」
「お兄ちゃんのお友達さんですか?」
日影とデブちゃんのやり取りを眺めていた慈愛がそんなことを尋ねてきた。
「デブちゃんだ。体重百キロオーバーのデブだから慈愛は近寄っちゃ駄目だぞ。うっかり潰されても嫌だろ?」
注意点を添えて紹介してやった。
あの巨体に乗っかられようものなら、窒息死くらいは覚悟する必要がある。
「何て紹介してくれてんだ、てめぇはよぉ……」
「怒るなよ、デブちゃん。俺達の仲だろ?」
「そう呼ばれるのもすっかり慣れちまったせいか、今ではその名を受け入れている俺が居るぜ」
そう。この「デブちゃん」というあだ名は俺が命名した。
初めこそ嫌がっていた彼も現在ではこの名を気に入っている。
まるで自分が正真正銘の「デブ王」だと認めたかのように、何時の日か、誰がどう聞いても悪口でしかないそのあだ名を許してくれるようになっていた。
これは日影の努力の賜物だ。
注意すべき点があるとすれば、くれぐれも「デブ」とは口にしないこと。
「デブ」と発声後に必ず「ちゃん」を添えて呼ぶことが、彼の怒りを買わない重要なポイントとなるのはすでに検証済みだ。
「はは。しかし、刑務所暮らししててもその腹は相変わらずだなぁ。出所後は力士にでもなったらどうだ?なあ、そこんとこどう何だ、デブ」
「うっせぇ。次デブっつったらそのひょろっこい体へし折るからな」
「俺はひょろくねぇ。スマートと言え」
「ところで話は変わるけどよ。明日の奉仕作業先、俺達もお前等と同じ場所になっちまったわ。清掃とかだりぃよ。なぁ?」
「達って?お前その牢一人で使ってるじゃねぇか。また誰か来るのか?」
最近の話になるが、デブとペアだった相手は罪を償って刑務所から塀の外へと帰って行った。
だからこいつが「達」と口にした瞬間に違和感があった。また新たに囚人が追加されるのだろうか?
この世界には悪いことを平気でするような人間で溢れかえっているんだな。
牢にも制限がある。現在じゃペアの俺達もいつかはトリオやカルテットになるのかもしれないな。
「ああ。それがよぉ……どうもあいつが帰って来るみたい何だわ」
「誰だよ?」
「誰ですか?」
日影と慈愛が二人揃って首を傾げていると、そいつは唐突に姿を現した。
見覚えのある長い髪と鋭めな目付きは懲罰牢に長い期間閉じ込められていたのに以前と変わらないように見える。
過酷な環境で何ヶ月も過ごしてきたのか疑ってしまうくらい整った顔やスタイルは俺とペアだった頃そのままに維持されていた。
「あたしのペアは日影じゃないって聞いたけど、まさかおデブちゃんだとは予想もしてなかったわ。ハズレくじを引いちゃったみたい。夏場は暑苦しくなりそう」
桜葉つるぎが再会して早速デブに毒を吐いた。
「懲罰牢から帰ってきて最初の台詞がそれかよ……」
デブちゃんのその台詞には同感だな。
あの拷問部屋のようなところに閉じ込められていた囚人は大体が鬱になってげっそりして帰って来るんだぜ。
解放された瞬間に栄養失調で倒れたりとにかく酷いらしい。
それに比べてこいつは何だ?
何事も無かったかのように元気だ。ぴんぴんしている。
(ああ……そういえば……)
懲罰牢と聞いてぽかんと頭に浮かぶのは、金髪ツインテールの少女が一人で寂しそうに泣いている可哀想な表情。
おお、ルナよ、可哀想に……。
帰ってきたら目一杯慰めてやるからな。
「久しぶりだな。つるぎ」
「あら日影。そんな所にいたのね」
「懲罰牢はどうだった」
「そうね。良いダイエットにはなったんじゃない」
こいつは面白いことを言うな。
ダイエットも何もつるぎは俺とペアだった頃から太ってなどいなかった。
「だってよ、おデブ。お前も今から懲罰牢行って、そのだらしねー体シェイプアップして来いや」
「日影の言う通りよ。あの部屋なら確実に痩せられるし、ちょうどいいんじゃない?」
「んあ?何がちょうどいいってんだよ?」
「貴方は痩せられて、あたしはこの牢を独り占め出来るでしょ」
「ぜってーに行かねぇ。意地でも行かねぇ」
「そう。別にそれでも構わないけれど、入浴中に覗くのは無しよ。おデブちゃん」
つるぎのその言葉で思い出す。飯の後は風呂の時間だったなと。
今日から慈愛とペアだし、俺は暫く体を濡れタオルで拭くだけの洗体になりそうだ。
一緒に入れば周りの連中に何と罵られるか大体の予想が付く。
「はあ!?何でだよ!風呂は一緒に入る決まりになってるだろ!それにお前、日影とは一緒に入ってたじゃねぇか!」
「日影は可愛いから良いの。あたし、デブで丸刈りって嫌ーー苦手なのよね」
「今、嫌いって言おうとしてたよな?……くそぅ、これじゃ折角女とペアになった意味がねぇじゃねーか。女体が拝めると思って期待してたのによ。最悪だぜ」
「慈愛、お前も食べ終わったら風呂行って来いよ」
「へ?お兄ちゃんは一緒に入らないんですか?」
「俺はデブちゃんとは違うんだよ。濡れタオルで体拭くから大丈夫だ」
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