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ビビりとモフモフ、冒険開始

鷹(獲物)狩ミッション

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手合わせした場所から10分くらい歩くと、ウィンドホークが巣を作ったという森に到着した。

……小梅は詩音の腕で寝てる。
まあ、飛行タイプに地面・草は相性がゲフンゲフン。

「この森は、質のいい薬草が採れる。」
「薬草ですか…。」
「ええ。商人も来るから、ウィンドホークなんて居座られると、大変なのよ。」
「へぇ~。んじゃ、なる早で討伐したげないとね!索敵開始!」

索敵は、ある程度探すモノを絞れるらしい。
てなわけで、鳥に絞って探していこう。

鳥…鳥…鳥はどこじゃー。悪い子はいねぇがー。
んー、コレはたぶん違う…小鳥だ。
コイツか?割りとデカいし…。
群れだな。3…4羽か。1羽、輪をかけてデカいなぁ。

「居たか?」
「たぶんコレかな?ってのは居る。4羽程。」
「どっちに?」
「上から来るぞ気を付けろー。」
「それは解る。方向は?」
「ノリ悪いなぁ…あっち。」
「で、では、行きましょう!」

…そうか、鳥なら本当に上から来るよね。
森歩くし、一応詩音と手繋いどこ。

「…風の流れがおかしいな。」
「そうですか?」
「そうね…自然の風は右から吹いてるけど、正面から魔力を含んだ風がきてるわ。」

魔力を感じ取れると、そんなことも解るのか。
んー、俺には解らん。

「あ、あの鳥?」
「え?どの鳥です?」
「居るじゃん。スゲー、バッサバッサ羽ばたいてる奴。」
「…お前の視力と一緒にするな。」

ありゃ、皆見えない系?
俺は獣だから、目いいのか。
……あ、こっち見た。

「…気付かれたかな?防御壁張っとくね。《バリア》!!」
「え?気付かれたって…」
「こっち見た。」
「そんなことまで見えるのか?!」

『なんじゃわれぇえええ!!』
『どうした?!』
『人じゃあ!人が来おった!』

「……え、極道さん?」
「ゴクドー?」
「いや、なんでもない。」

あっぶね…ラルフは、俺の正体知らないんだった。
えーと、こっちに来てるのは見張り役かな?


「とりあえず、3羽突っ込んでくるよ。真っ正面。」
「ん……見えた!」

レナさんが矢を連続で5本射る。
ウィンドホーク達はその全てを掻い潜り、尚も突っ込んで来た。

「避けられた…!《フロート》!!」

レナさんは、避けられた矢を空中に止める。
風属性魔法便利だなぁ。

『ワシらの島ぁ荒らしに来たんかぁ!吹っ飛ばしたるわぁ!』
『なんじゃあ、かちこみかぁ!?』
『目にもの見せたるわぁ!!』

3羽分の啖呵と共に、ウィンドエッジが飛んでくる。
が、予め張っていた防御壁に当たり、雲散霧消した。

「っしゃ、掛かって来い!」
「ミライ、そのまま2人を頼む。」
「うん。」
「前だけ見てちゃダメよ、鳥さん!《ハイ・ウィンド》!!」
「すみません、目潰ししますね!《フラッシュ》!!」

『な、なんじゃ?!』
『お天とさんが落ちて来おった!!』
『ぐあっ?!う、後ろにも敵さん居るんか……っ?!』

シオンの放った眩しい光が、したっぱっぽいウィンドホークの目を焼いた。
レナさんが起こした突風により、空中静止していた矢が、ウィンドホーク達の背後から翼を撃ち抜く。

「悪いな…どうも嫌な予感がする。お前らに割く魔力は無いんだ。」
『ぐえぇっ?!』
『ぎゃっ?!』
『ぐはぁっ!!』

落ちて来たウィンドホークは、ラルフによって首と胴を別けられた。
翼と魔石を残して消えていく。

残り1羽…もうこっち来てる!
フラッシュは効かなかったか…!

『うちの若ぇモンが、世話ぁなったな!どう落とし前、着けてくれんじゃあ!!』

「ひゃっ?!な、なんですかアレ!」
「さっきより、2回りは大きいわ!」
「っ!テンペストホーク……!!Bランクの討伐対象になる、上位種だ!」
「マジかよ…!《ファイアショット》!!」

先手必勝!
ピストルの弾をイメージして、炎の弾丸を撃ち出す。

『うおぉっ?!この放火魔が!森で火属性たぁ、躾のなっとらんボンじゃ…!』
「あーっ!避けられた!クッソ、俺の魔法精度ぉおお!!」
「発想は良かったぞ!《サンダー・ストーム》!!」
『ぬっ?!こっちのボンは雷か!』

だぁああ!コイツはっえぇえええ!!
雷避けるって何?!

「このっ!落ちなさいっ!!」
「《エンチャント・パラライズ》!!」
「?!え、シオンちゃん、アタシの矢に……後で詳しく聞かせて!!」
「はいっ!」

レナさんが射った数本の矢に、詩音が麻痺効果を付属する。
お前、こういう時ホント器用だな……!

『なんのぉ!!』
「矢を叩き落とした?!お前凄くね?!」
『今更誉めても無駄じゃあ!』

風の刃が渦を巻いて襲ってくる。
風属性の中級魔法か?
防御壁の形を少し曲げて、どうにか防いだ。
どーしよ、俺ができるのって防御壁のコントロールだけ?!
んー、えーと……そだ!

「くっ、ミライのお陰で向こうの風も効かないが、こちらの魔法も当てられない……!」
「も、もう一度フラッシュします?!」
「ううん、コイツはそれを乗り越えて来てる…たぶん、目眩ましは効かないわ!」
『カッカッカッ!そんなもんかぁ!……ん?もう一人は何処じゃ?』

認識阻害と隠密を使い、木を駆け登る。
枝から飛んで、テンペストホークの真上を取った。

[《フレア・フットアーマー》]

念話で唱えれば、敵に呪文を聞かれずに済む。
炎を纏った脚で、上から踏みつけ蹴りだ!!

『何っ?!』
「燃え墜ちろ!!」
『ごぁっ?!あ、あつ…ぐぉぁあああ?!』

不意打ちの蹴りが、テンペストホークの背を捉える。
炎が羽毛に引火し、焼き付くした。

残ったのは、翼と魔石と…葉っぱに乗ったお肉も落ちた。
翼は討伐証明部位かな?

「ミライ!お前…いつの間に飛んだ?!」
「3人の遠距離射撃が、弾幕になってくれてる隙に。」
「凄いわ!鳥系モンスターを、空中近接で仕留められる人、そう居ないわよ!」
「未來くん、流石ですっ!」
「えへへ♪」

不意打ち決まって良かったー。
避けられてたら、恥ずかしかっただろうなぁ。

「それじゃ、討伐証明部位とドロップ品の回収ね。」
「シオン、アイテムボックスに。」
「はい!」

ふぅ~…よかったよかった。
上位種居るなんて聞いてなかったけど、なんとかなった~。

「そういえば、この森って元々はどんなモンスターが出るんですか?」
「そうだな…危険度は少ないんだが、見た目がムリだって奴の多い……」
「ん?」

何だ?何かの気配が来て……………

「…詩音、剣。」
「へ?…あ、ドラゴンスレイヤーですね?どうぞ……?」

ありがとー。

「どうしたの?ミライくん?」
「…ふぅ……くたばれぇええええええ!!」

目標に向けて白い斬撃が真っ直ぐ飛び、真っ二つにした。
初めて手にした剣だったけど、斬撃飛ばし成功!
よかった……例え道具でも触れたく無かった・・・・・・・・・・・・・・から。

「何だ?……お前、もしかして。」
「…笑いたきゃ、笑えよちくしょー……!」

俺が斬り飛ばしたモノ……それは俺の天敵。

丸々太った、幼虫的なモンスターだった。
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