ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

ご心配お掛けしました

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…………あー……起きたくねぇ……。
枕が…枕が気持ち良すぎる………………
違ぇ、コレ時雨だ。流石は人をダメにするクジラ。

『総長さん、朝なのです。』

小梅の肉球で、頬をぷにぷに押されてる。
何このモーニングサービス、最高なんですが。
もうちょい堪能したいけど、あんまり起きないと、鼻と口を砂で埋められそうだな……。
起きるか~。

「…おはよ、小梅♪」
『おはようです♪』

異世界生活11日目。
気持ち良すぎて起きるのが大変な枕と、可愛い可愛いお嫁さんの肉球に挟まれて、滅茶苦茶幸せな目覚めを迎えた。

顔を舐めてくれるから、此方も丁寧に舐め返す。
俺が危ねー奴に見えるだろうってのは、気にしない事にした。
部屋に居るのは…モフモフ含む子供メンバーだけか。
……あれ?詩音はこの世界だと成人だっけ?
まあいいや。
皆、気持ち良さそうに寝てるなぁ…小梅が一番乗りみたいだね。

…昨晩は…そう、印刷機擬き貰ったんだ。
長方形の黒い箱。
蓋と…印刷される紙を入れる、引き出しが10個。
蓋とガラスみたいな箱本体の間に、印刷したい紙を挟んで、引き出しにまっさらな紙を入れ、魔力を流して暫くすれば、引き出しの中の紙に、ちゃんと写されてるという代物だ。
最大一度に10枚だけど、充分だ。

それから……泥酔してるダメな大人達から、素面のおとーさんと共に、詩音とおかーさん、未成年2人にモフモフ達を救出したんだよな。
んで、俺らは本来、マクベス兄ちゃんが借りてる部屋に泊まった。
おとーさんは、寝てるおかーさんお姫様抱っこして、隣の部屋に入ったはず。

『今日の移動は、小梅が空間転移するです。一度行った場所、会った人の側なら飛べるのです。』
「ん、ケールの外壁の影にでも、お願いするよ。」

まあ、先ずは寝間着を着替えて…
約束通り、家族皆と友達も交えて、朝御飯食べようか。

───────

朝食は、鶏ハムサンドとチーズとミルク。
陽向には鶏ハムだけ抜いた、玉ねぎサンド。
やっぱり、野菜が少ないから、デイヴィー兄ちゃんが果物出してくれたよ。
今日のお話と、今後の農業指導とか農民への待遇向上で、改善するといいけど。

「ん、鶏ハムうまぁ~♪」
『美味しいです♪』
「陽向くん、パンもう少し食べますか?」
『たべるー!』
『わぁーい、玉ねぎ入ってた♪』
「本当に好きなんだな…玉ねぎ。」
「……ラルフ、その内人間の言葉忘れたりしないわよね…?」
「そこは大丈夫だと思うが…。」
「野菜不足、だいぶ深刻みたいですね…」
「客人への料理が、簡素に成るくらいだからな。相当な困窮具合なのだろう。」

……食材提供するべきだったかな?
でも、お城だし…それはそれで失礼?
うーん、こういう時のマナーとか解らん。

「建て直し、大変でしょうね…。」
「俺らでサポートはしてあげるけど、基本的には皇帝くんが頑張ってくれないとね~。ま、あの子なら大丈夫だとは思うけど。」
「家のお茶は、暫くお城にだけ卸す事に成りそうね。」
「俺が商業関連でできんのは、今のところ給仕への、紅茶の淹れ方指南くれぇだな。」
「姉さんも少しは手を貸すみたいですし、ざっと半年後には、軌道に乗り始めますよ。」
「うん…。……大丈夫と言えばさ、おかーさん大丈夫?俺お粥作ろうか?」
「大丈夫ですよ~…ちょっと、頭がズキズキするだけなので…」
「ママ、お水飲む?」
「貰います…ありがとう、ティナ。」

……家の家族…と言うかおとーさんの血筋、肝臓強すぎだろ。
なんで二日酔いっぽい症状出てるのが、コップに半分の葡萄酒飲んで即寝したらしい、おかーさんだけなのさ。
おかーさんは、ずっとおとーさんに凭れて、チマチマと鶏ハムサンド食べつつ、頭をナデナデされてる。

「…今日の外出は、辞めておくか?」
「うぅぅ…行きたいです…。午後までに治しますから……。」
「無理はしないでくれよ?君との逢引は、当然私も楽しみだが、辛い思いをさせたくはないのでね。」
「はい…。」

わぁーい、ハートが舞っとる……
朝から砂糖吐きそうだけど…水注すのも悪いし。
とりあえず、小梅撫でて耐えよう。

…子供達居たたまれない表情してる中、平然と食べてるビルムさん馴れすぎワロタw

───────

朝食を終えて、家族に見送られながら、ケールに戻ってきた。
えーと、先ずは冒険者ギルドかな。

「ケールも来るの久しぶりだな~♪」
「リュガさん、ただいま~。」
「!お嬢、ラルフ様!ミライくんにシオンちゃんも、無事だったんですね!お帰りなさい!」
「ご心配お掛けしました。」
「…な、なんか…増えました?」
『増えたのです。』
『かぞく、ふえたー!』
『シグレちゃんだよ~。』
『初めましてだね~♪』
「昨日、シオンがテイムしてな。大型モンスターだが、完全になついているし、大人しいから心配無用だ。」
「は、はぁ……そうだ、ちょっと詰所寄って貰えますか?お嬢のお迎えがいらしてるんです。」
「パパ来てるの?」
「いえ………親父さんじゃなくて…お袋様が……。」
「えっ…………」
「……レナ、覚悟はいいか?俺はできてる。」
「逆に考えるんだ。『早く済ませられてラッキー』と考えるんだ。」

ラルフお前、5部まで読んでたの?早くね?

「ちょっと!2人共他人事だと思って…!」
「レナぁあああっ!!」

あ。レナさんの面影ある、焦げ茶色の髪のキレイな女性が走って来る。
レナさん、ファイト!

「ま、ママ?!むぎゅっ?!」
「この子ったらもうっ!いくらディアドルフ様直々のスカウトで、ラルフ様もご一緒だからって!ママどころかパパにも何も言わず、なんて遠い所行ってるのよっ!!」
「ま、ママ…ちょっと痛いんだけど…。」

うん…ママさんもレナさんも美人さんだから、抱き締めてる光景が絵に成りますな。
眼福眼福。
あ、小梅、目潰しにゃんパンチはやめてくれ。
ごめんごめん、あんま見ないようにするから!

「コレくらい、我慢なさい!もぅ…無事だったから良いけど、今度から遠出するクエスト受けるときは、せめてパパに相談すること!」
「はい…心配かけて、ごめんなさい。」
「全く…こういう所は、すっかりパパに似ちゃって。…ラルフ様、お見苦しい所をお見せして、申し訳ありません。態々、娘を送っていただいて…本当にありがとうございます。」
「いや…此方こそすまない。女性を連れ出すのだから、一言断るべきだった。」
「いやいや、んな時間作ってくれなかった、家のおとーさんのせいだと思う。」
「うんうん。パパ、思い立ったら即行動だから。」

元々は、俺達に帝都まで遠出の予定、無かったし。
いつの間にやら、アーウ●ン擬きに乗ってて、出発してたからね。

「あ、ナタリアさん初めまして!この子達の保護者として来ました!ティナ・ヴァールフランです!」
「初めまして。ティナさんということは、淡雪のオーナーさん、ですよね?私も娘も、スイートスノウが大好きなんですよ♪この前の新作…三種類のベリーを使ったスイートスノウ、甘酸っぱくてとても美味しかったです。」
「わぁ、ありがとうございます!」

トリプルベリーアイス…絶対旨い…!

「貴方達が、ミライくんにシオンちゃん?初めまして。レナのママ、ナタリア・クリムです。」
「ミライ・ヒノワ・ヴァールフランっす。今回は、家のおとーさんがすんません。」
「は、はは…は初めまして!シオン・ユヅキ・ルームオーグです!」
「ヴァールフラン…え…?で、でも、聞いていたファミリーネームは、ミドルネームの部分なのだけど……」
「ナタリアさん。ミライは一昨日まで、部分的に記憶喪失だったらしい。」
「パパ、自分の子供とか、仲の良い人をからかうの、好きなんです。最期まで自分からは名乗り出なかったんですよ~。」
「まあ……ミライくん、大変だったわね。」
「あのおとーさんなんで、色々諦めた。」
「私は、先日心優しい魔法使いの女性が、私の身元保証人になってくださったんです。両親とは、産まれて間もなく離れてしまいましたので。」
「そうなのね…!なら、早くギルドへ行かないと…名前の更新を、しないといけないわ。」

そっか、ギルドカードの名前!
2人共変わったってか…正式に『この世界での』ファミリーネームゲットしたんだもんね。
カード修正して、ネージュさんに報酬貰って、貸し馬車の御者さんにおとーさんから預かった報酬渡して……商業ギルドで料理人登録、と。
よーし、そうと決まればいざ、ギルドへ!
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