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ビビりとモフモフ、冒険開始

キャットファイト…?

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……なんで、こうなるかなぁ……

「だいたい、猫なのに、どうやって意志疎通するの?!」

「紅茶美味しいねー、アンジュちゃん。」

『総長さんは、小梅達とお話できるので、問題無いのです!さっきから、叫んでばかりのマリーさんより、ちゃんと『会話』できるのです!』

「ミライ殿、現実を御覧なさいな。」

「な、なんかディスられた気がするっ!」
『良く解ってるのです。』
「くぅぅ、猫の癖にぃ~っ!でも可愛いぃ~!」

「メイドさんが淹れてくれた、紅茶が美味しいのも現実だよ。」
「美味しくて当然ですわ。当家のメイドですもの。」

…………言い合いしてる、女の子達(人間VS猫)なんて、どうやって止めりゃいいんだ…!
やめて!俺の事で争わないで!
マリーちゃんが小梅を膝に乗せて、もみもみしながらだから、パッと見言い合ってるようには見えないけど!
マリーちゃん、どうやら犬派ってより、モフモフは正義派らしい。

「私は、身嗜みだって、毎日気を使ってるんだからね!御覧なさい、この艶やかなストロベリーブロンド!」
『小梅も、毎日こうやって毛繕いしてるです。総長さんと、しおちゃんもしてくれるので、ツヤツヤフワフワなのです♪』
「くっ…毛繕い可愛い…!一挙一動が可愛い…!にゃんこ狡いぃぃ…!」
『ふふーん♪総長さんも、小梅のちょっとした行動にメロメロなのです♪』

流石小梅、魅了使うだけあって、自分の魅力を良く解ってる。
もうね、何してても可愛いよね。

「い、いいえ、可愛いだけの子には負けないわ…!私、料理も掃除も得意だし、一人暮らしの経験も働いた経験もあるから、家庭をしっかり守れるわ!結婚するなら、断然お得よ!」
「あ、家庭云々は兎も角、小梅も料理と掃除できるんだなコレが。」
「何それ!?人間の対抗手段少な過ぎない?!」
『花嫁修業の賜物なのです♪』

花嫁修業て。

「何か…何か勝てる要素は…!?」
『……身長とかどうです?小梅より高いのです。』
「物凄く『そうじゃない』って感じの、妥協案出された気がする…!」

正解。

「ごめんなさいね、ミライ殿。まさかマリーが、猫と大真面目に喧嘩できるほど、舞い上がってしまうとは思いませんでしたわ。……普段は、もう少し大人しい子ですの。」
「いや…うん。大丈夫。」

アレ、ハイテンション故なんだ?

「周りのお友達は、お兄様達のような美しいお顔の殿方に、心動かされる方が多いのですけれど…マリーは常々『美形より、ハンサム系でガッシリめのイケメンが至高よ!』と、語っておりますわ。」
「……それで、美形じゃない俺見て大興奮?」

イケメンじゃねぇとは思うけど。

「加えて、そのお耳と尻尾が、とても魅力的なのでしょう。」
「成る程……。アンジュちゃんは、好みの男子ってどんなん?」
「私は……お顔は、見られる程度に整っていらっしゃれば、充分ですわ。私を大切にしてくださる方で…今なら、エデンと仲良くしていただけるかも、重要ですわね。」
「成る程ねぇ。」

性格は大事だよねぇ~。

「ぅ~っ!せめて仰向けにして、モフり倒してやるわっ!」
『やぁ~ん、お腹はダメなのです~っ!』

「…そろそろ、コウメちゃんを救助なさらなくて、よろしいんですの?」
「なんやかんや、小梅楽しそうだから。」

女の子同士の遊び相手、時雨だけだもんなぁ。
姉ちゃんやおかーさんも、構ってはくれるけど、あそこまでじゃない。

「……はっ!勝てる部分見っけ!」
『む、何処です?』
「胸は私の方があるよ、ミライくん!」
『ーーっ……!!』
「あー、確かに…」
「男の子たるもの、胸は大きい方が良いでしょ?」
「ある程良いとは言わないけど、巨乳に興味が無いと言えば、嘘になる。」
『ふ、にゃ……フシャーーーッ!!』
「うぉおお?!ちょっと待て小梅うわやめここ屋なiぐえっ?!」

下から砂岩のピラミッドにお腹を押し上げられ、天井に挟まれた!流石に痛い!
ラムセウム・テンティ●スなんて、いつの間に習得してたんだ?!

「小梅!俺が悪かったから、ファラオ・オジマンディアス様の宝具必殺技半分、消してくれ!」
『小梅だって…小梅だって成長して師匠さんやディアナさんみたいなグラマラスなメスに成ってやるのですっ!!』
「それはそれで楽しみだけど、落ち着いて!女の子の価値は、おっぱいだけじゃないからっ!俺が好きなのは、一途で可愛くて優しくて可愛くて賢くて可愛くて可愛くて可愛い小梅だからぁ~っ!!」

「フラれましたわね、マリー。まあ、他にも御縁はありますわよ。ああ、ユーシア、片付けの必要は無くってよ。コウメちゃんは、賢い猫ですもの。自分で片付けられますわ。」
「畏まりました。」
「…確かに、この規模の攻撃で、ミライくん以外に被害行ってないのは、賢いからかも……。はぁ~、諦めますかぁ~。久々に好みのイケメン発見したからっていうのもあるけど、一番は猫ちゃんに女の魅力度で負けたのが、ショックだっただけだし。」

あ、そなの?
本格的な、バトルに成らんくて良かった。

「小梅ぇ~…これじゃ、小梅をナデナデできないんだけど。」
『むぅ~。仕方ないです。お仕事の時間まで、小梅をナデナデするのです!』
「了解!」

ミニピラミッドが、砂岩から砂に変わって、圧迫から解放された。
自重で天辺が刺さるかと思ったよ。

「おいで、小梅♪」
『にゃーん♪』

よしよし…おおぅ、地味に泣いちゃってたのか。
吸収されてない水滴が。
ショック受けさせてごめんね。
俺は小梅一筋だよ。

コンコンコンッ

「失礼致します。ディアドルフ様、ロゥミア様、シオン様がご到着なさりました。」
「こんにちは、アンジュちゃん。…え、えっと、そちらの方は…」
「ふわぁーっ?!何この子、かっわいい!」
「ひいっ?!」
「マリー、気持ちは解りますが、怯えさせてはいけませんわ。」
「マリーちゃん、ソイツ人見知りなんだ。あんまガッつかないであげて。」
「あ、ゴメンゴメンw」
「だ、大丈夫、です……」

おとーさんより、詩音に食いつくとは。

「フフフ、元気なお嬢さんですね♪」
「あ、こんにちは!」
「はい、こんにちは。」
「うむ。」
「まぶしっ?!夫婦揃って光輝いてるっ!」

オーラでも見えんのかな?

「ディアドルフ殿、ご一緒の方は?」
「君は初対面だったか。妻のロゥミアだ。」
「そうですの…」

……あれ?会話終了?
おかーさん、自己紹介とかしないの?

「……ロゥミアさん、貴女はしっかり、弁えていらっしゃいますのね!初めまして、シルフィード伯爵家長女、アンジェリカ・シルフィードですわ。」
「ディアドルフ様の妻、ロゥミア・ヴァールフランと申します。お会いできて光栄です、アンジェリカ様。」

あ、目上の人から話しかける、謎ルールか。

「アンジュでよろしくってよ。ラルフお兄様から、ミライ殿のお母様だとお聞きしましたわ。」
「ありがとうございます。アンジュちゃん…でよろしいですか?」
「構いませんわ!」
「ミライくん、ご両親美し過ぎない?!目潰れそうなレベルだよ?!」
「解る。」

俺も、前世思い出してから初めておとーさんに会ったとき、目殺られるかと思ったし。
……そろそろ、1時に成るかな?
詩音に、コックさん服貰わなきゃ。
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