ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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オマケ集

2月14日のチョコレート

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※今回は小梅視点でお送りします

香花の月、14日。
2月14日はバレンタインデーなのです。
小梅が前世で過ごした地域は、2月だと一面真っ白です。
でも、グリンスは緑がいっぱいなのです。

この世界にも、バレンタインデーがあるのです。
広めたのは、やっぱり椿さんです。
家族や友達、大切な人に、贈り物をする日なのです。

そして、女の人は大好きな男の人に、チョコを渡すことが多いらしいです。
そこは、元日本人の椿さんが広めたので、そうなったのだと思うのです。
前世の世界で、バレンタインに女の人が男の人にチョコを渡すのは、日本くらいだと、しおちゃんの本に書いてたです。

そんなわけなので

『小梅は、総長さんに手作りチョコを、あげたいのです!』
「素敵ですね♪ミライもきっと、喜びますよ♪」

師匠さん達に、相談なのです!

「小梅ちゃん、どんなのが作りたいとかある?」
『チョコを作るのは初めてなのです。失敗は、あまりしたくないので、簡単かつ、お料理として成立しているのを、作りたいです。』

溶かして固めるだけは、嫌なのです。
何かしらの、そこそこ複雑な作業工程を求めるです。

「ミライは、何を渡しても喜ぶと思いますけど。ハート型に固めただけのチョコとかでも、大丈夫では…」
『…ルゥナお姉さん……デイヴィーさんに、手抜きで育てたリンゴ渡せるです?』
「た、確かにそれは無理です…!」
「そっか!未來くんは料理人…!溶かして固めただけのチョコを渡すことは、ガルくんで例えれば『茶葉を大雑把に入れた紅茶差し入れる』ようなもの…!」
「旦那様に、ロクな精査もしないまま、不確定な情報をお渡しするようなものですね…!?」

そういうことなのです。
まあでも、例え黒焦げのチョコでも、喜んで食べてくれそうだとは思うのです。

『皆は、どんなチョコを用意するのです?具体例が知りたいのです。』
「具体例ですか。そうですね…白いお義兄様は毎年、『し、仕方ないから作ってやったぞ!適当だがな!……適当だからなっ!!』と、どう見ても適当ではない、素敵なチョコレートケーキを貰うそうです♪」

マクベスさんの奥さん、ツンデレというやつなのです?
エリザさん、少し声まで変えて再現してくれたです。
やっぱり、大好きな相手には、ちゃんとしたものをあげたいものです。

「私は、牧場で搾ったミルクを温めて、黒ショラを溶かしたホットチョコレートを用意します。この時期、私達の家の辺りはとても寒いので。」

ルゥナお姉さんのチョコは、液体らしいです。
チョコのお菓子は、固形物だけじゃないみたいです。
寒い地域で温かい贈り物…環境を考えるのも大事なのです。

「私はココアクッキー作るよ。ガルくん、甘過ぎるのは苦手だから。」

相手の好みに合わせるのも、大切なのです。
総長さんは、甘過ぎるの苦手です?
……そうでも無さそうなのです。

「私はチョコじゃないの。…何故か、料理するとどうしても、消し炭になるのよね…。ビルはいつも働き詰めだから、お仕事取り上げて、全身微弱な電撃でマッサージするのよ。」

成る程、チョコじゃなくても、愛情が伝われば大丈夫なのです。
電撃マッサージは、ディアナお姉さんならではの贈り物です。

「実は、エリザもチョコではありません。エリザの全身を、心行くまで撫で回す権利を贈っています。普段は御触り禁止の耳や目、口の中まで含めて全身です。…最初はチョコを作ろうとしたのですが、エリザの想いをどうにも形にできず…。最終的に納得のいくチョコはできたのですが、旦那様に叱られてしまいました。」
「…この子、湯煎がけした黒ショラに、蝙蝠の姿で頭から飛び込んだのよ……。」
『それは叱られるです……。』

自分丸ごとチョコは、ちょっと参考にできないです…総長さんに叱られるのは嫌なのです。
でも、いざとなったら、全身モフモフ権を贈るのは、アリかもです。

「私は相手いないから、皆にショラ使ったスイートスノウあげてるよ~♪フィーは、『本当に切れるチョコソード』とか『鍛冶にも使えるチョコハンマー』とか貰って、バキゴキ食べてるよね~w」
「食べる音が、最早チョコではありませんが…フィーの防御力なら怪我もしないでしょうから、止める理由はありません。」

チョコで作った剣で、本当に切れるのです……?!
フィルさんの奥さん、その技術教えてほしいのです!

『師匠さんは、あげないのです?』
「いいえ。私は、私にしか作れないモノをお渡ししたいので…『私の肉球』を型どったチョコを、『あ~ん』で召し上がっていただきます♪肉球1つ1つに、果物のジャムやお酒を入れて、様々な味を楽しめるよう、工夫もしていますよ♪」

なんか色々と凄いのです……!!

「昔、イタズラしましたねw」
「そういえば!wお母様のチョコの横に、私達の肉球チョコを並べて置いたこと、あったわねw」
「エリザも、参加したかったです…」
「私も、人間の手じゃ即バレだから、不参加だったなぁ。」
「お兄ちゃん達と、フィーの肉球も作ったっけw何が凄いって、パパ全部ノーミスで、誰のか当てたんだよねwww」
「ディアドルフ様ですから♪」

肉球だけで解るものなのです……?
小梅も、少なくとも総長さんの肉球は、見分けれるようになるべきです?

「コウメちゃん、参考になったかしら?」
「私も手伝うから、ちょっと難しそうなのでも、大丈夫だよ~♪」
『うーん……小梅にしか作れないような、そんなチョコが良いのです。』

小梅ならではのチョコ…折角ですので、総長さんがビックリするようなチョコにしたいです。
むむむ…………そうです!

『ティナお姉さん、四角いチョコって作れるです?』
「四角いチョコ…?」
『できれば、四角錐も欲しいのです!』
「うーん…なら、生チョコかな?」

───────
──────
─────

『というわけなのです!』
「うん…うん、成る程。コレは確かに俺も正直驚愕したし、比較的簡単で失敗も少なく、それでいて溶かして固めるだけでもない、かつ小梅にしかできなさそうだね。」

そうなのです!





『チョコでピラミッドを建設したのは、小梅が初めてだと思うのです!』
「だろうね!写真撮らせて!コレ生チョコどんだけ使ってんの?!つか、もしかして中まで造ってある!?」
『小部屋1つだけの、シンプル構造なのです。』
「充分スゲーわ!!ヤベェ、中どうなってんのか、超見たい!」
『幾つかのチョコに、ジャムを入れたのです。ピラミッドのお宝探しです♪』
「おおー!」

喜んでもらえて、良かったです♪
ただ、1つ懸念が残るのです。
…総長さんでも、1人で食べきるのは、大変そうなのです。
大きくし過ぎたのです。

「な、小梅。」
『何です?ひゃっ…?!』
「ん♪…こんな良いもの、俺独り占めしたらバチ当たるからさ。皆でワイワイ、食べよーぜ♪」

はわわ…オデコにチューされたのです…!
皆で食べるのは、賛成なのです。
お宝探しは、ワイワイやる方が楽しいのです♪

「あ、でも最初の1個は俺用な!」

1番上の、唯一四角錐型に成形したチョコを、パクっと一口で食べたです。

「お、当たり…コレ、梅ジャム?!」
『ふふふ~♪梅のジャムは、それだけなのです♪他はイチゴジャムなのです。』

総長さんなら、最初にソレを食べると思ったです。
だから、特別仕様にしたのです♪

「小梅ぇ~!」
『むきゅっ』
「嫁が尊い策士可愛い~っ!!詩音~!小梅が可愛いよぉ~っ!!」
「はいはい、小梅ちゃんが可愛いのは、皆知ってますよ~w」

お外のしおちゃんに、大声で報告してるです。
……村の皆に、聞こえちゃうです。
悪い気はしないですが、ちょっぴり恥ずかしいのです。

「報告ついでに、陽向と若葉と時雨連れて此方来い!皆でチョコピラミッド解体宝探ししよーぜ!!」
「はい?!ピラミッドですか?!」

皆で解体したチョコピラミッドは、美味しくできていたです♪
お宝探し、楽しかったのです♪

『来年は、迷宮チョコ造るのです♪』
「まさかリアルに中入れるヤツ…?!」

さて、それはお楽しみなのです♪
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