ビビりとモフモフの異世界道中

ビビりとモフモフ、冒険開始

頑張りすぎは禁物です

詩音の背中を、肉球でポムポムとマッサージしつつ、夕食のメニューを考える。
こんだけ人数居るんだし、皆が驚くような、インパクトある食事にしたいなぁ。

『インパクトのある食事ですか。』
『うん。どうせなら、見た目から盛り上がれるのが良いかなぁ、と。』
『見た目から……厚いパンケーキに……ご飯を乗せて、更にパスタを乗せる…は、やりすぎですか？』
『主食のチェイ●・ピラミッ●・姫路●かよ。』
『凄く栄養偏るのです…』

嫌だよ、炭水化物しかねぇじゃん。
つか、猪を調理させてくれ。

『よし、マッサージ終了！』
『ありがとうございます♪だいぶ、肩が軽くなりました。』
『うんうん、柔らかい良いお肉に成ったよ。』
『お肉?!塩とか揉み込んでませんよね?!』
『さて、どうでしょうw』

塩揉み詩音……いやなんでもない。

『ミライ、シオンで遊んでないで、そろそろ夕食の準備をした方が、良いんじゃないか？俺も手伝う。』
『準備したいのは山々だし、手伝ってくれんのは嬉しいけど、何作るか決まんねーの。助けて。』
『あら、珍しいわね。』
『皆でアイディア出すです！』

なーんか無いかなー？
詩音をモフる以外にも、小梅をモフったり、地面をゴロゴロと転がってみたり、自分の尻尾追いかけてみたり、その辺に穴掘ったりしながら考えてるんだけど、良い案が出てこないよ。

なんせあの人数である。
お皿に盛るのも一苦労なんだよー。

『普通は、護衛中に携帯食以外が出てくる時点で、ありがたい事らしい。暖かい食事が食べられれば万々歳だと、ギルドの先輩方が言ってたぞ。』
『そうなの？』
『なのです？』
『パパが言うには、依頼人が用意してくれる事もあるけど、自分で携帯食を用意しておくのが一般的らしいわ。』
『だから皆さん、お昼にビックリしてたんですね。』

旅の道中の食事って、そんなもんなのか。
まあ、保存袋かアイテムボックスが無いと、そんな感じにならざるを得ないのかも。
因みに、携帯食ってのは、ラム酒っぽいお酒たっぷりのプレーンパウンドケーキや、干したお肉、ピクルスなんかのことだ。

『なら、今夜はバーベキューとかでも、良いかな？』
『良いですね！お肉やお野菜を、串に刺すだけなら、お手伝いできるかと！』
『……その、肉球の無いフワフワな前肢、怪我したくなかったら、大人しくしてて。』
『流石に人間の姿でやりますよ！』

そりゃそうか。
なら、手伝ってもらうかね。
串に刺すなら、若葉もお手伝いできるかも。
よし、特訓中のモフモフ達を呼んで来よう。

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『きゅう～…』
『ふにぃ～…』
『ぐるぐるぅ～…』
『わぁあああああっ?!』

３体揃って、目ぇ回してる!!

『おい、大丈夫か?!』
『気絶する程頑張ってたの?!』
『ヴァルぴ相手に、何度も攻撃してたら、皆パタリって倒れてさぁ。とりま、寝かしといた。』
『すまん……』

そういう時は呼んで！俺の耳なら、遠くでも聞こえるから！

『ひなくん、若葉くん、時雨ちゃん！しっかりするですっ!!』
『どんな攻撃連発したら、こんな事態に…』
『ヴァルーさん、３体共疲れて気絶…ということですか？』
『そうなのだ。つい、指導に熱が入ってな…少々無理をさせてしまった。』

少々じゃねぇだろコレ！
とりあえず、ベッドに運ばねば！

ぽふっと黒髪モードに擬人化して……

「……陽向を右腕に抱いて、若葉は左腕、時雨は………背中に括る…？」
『小梅が砂で運ぶのです。』

うん、お願いするわ。ソロで1ターンは無謀だった。

「よしよし……。ったくもー…皆まだ子供なんだから、頑張り過ぎちゃダメだって。ってか、陽向に至っては、マジで赤ちゃんなのに…」
『未來くん、それ結構なブーメランでは。』
『総長さんも、生後３ヶ月なのです。』
「俺は中身18歳だから、いいんですー。」
『お前の中身は、６歳程に思える時もあるけどな。』
『基本は10～12歳くらいよね…。』
「酷くね!?」

小～中学生じゃんか！
子供っぽい自覚はあるけども！

『それが、総長さんなのです。』
「うーん、ディスられてんのか、ある意味誉められてんのか。まあ、ありがとう。……しっかし、陽向重く成ったか？若葉は、そんなに変わった感じしないけども。」
『陽向くんは、いっぱい食べますからね。』
『ひなくん、毛も重いのです。』

成る程、毛量の差か。

さっきまで、なんかうわ言言ってたけど、３体共今はスヤスヤ眠ってる。
可愛いけど、起きたらお説教だな。
ぶっ倒れるまでやるんじゃねぇ、と。

「……ん？」
『総長さん？』
『どうした？』
「なあ、変なこと言っていい？」
『変なことって？』
『気になるので、どうぞ。』
「………陽向がどんどん、重く成ってんだけど…」
『『『え』』』
『にゃ?!』

陽向の毛、綿毛集めても集めても無くならないと思ったら、寝てる内に増加すんのか…？
いやでも、重さの変化が感覚として解るレベルの増毛って、目にも見える速さで増えると思うんだが。

「………??……ハッ！まさか、食べ過ぎで脂肪が増加中?!」
『そんな勢いで増えたら、怖すぎますよ…』
『どちらかと言えば、レベルアップによる筋肉量増加の方がありそうだな。取得した経験値は、睡眠中にレベルへ反映される…という説がある。』
『もしかしたら、進化も近いんじゃない？』
『ひなくん、どんな進化か楽しみです♪』

進化かぁ。やっぱ、陽向も大きく成るのかな？
小梅は、賢さも一気に上がったけど、その辺はどうなるんだろ。
もし、進化中なら、尚更起こさないように気を付けないとな。
まあ、陽向は普段から、周りが五月蝿くても眠り続けられる、超熟睡タイプだから、大丈夫な気もするけど。

ドアをラルフに開けてもらい、宿泊小屋の2階へ。
ベッドの上に３体共乗っけて…………

「……陽向も若葉も、引っ付いて離れねぇ…！」
『あー…子供って、寝ながら抱っこされると、しがみついちゃいますよね。』

いつの間にか、俺の腕を掴んでた若葉と、服を口で挟んでる陽向。
どーすっかなコレ…

『…未來くん。』
「ん？うぉっ?!」
『お覚悟ですっ!!』
『覚悟して、お昼寝するのです!!』
「昼寝に要る覚悟って何?!サボる覚悟?!」
『ああ、そうだ。お前も今日は、頑張り過ぎだからな。』
『もっと、周りに頼って良いのよ？』

いきなり、ベッドに倒されるとは…！
くっ、皆モフモフしてて暖かい…
てかさ、この連携…さては俺に内緒で念話してたな？

寝ろったって、夕食どーすんのさ。
…作れるのは、俺だけじゃ無いってか。ごもっとも。

あ、ダメだ時雨が枕になって…陽向のラベンダー＆ポカポカ太陽の匂いもする…
ぅぅ…眠い……zzz


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※小梅ちゃん視点


総長さんは、沢山頑張ったので、お休みなのです。
小梅も今日頑張ったですが、総長さん程じゃないのです。

『というわけで、夕食は小梅がメインで作るです！』

テントのキッチンで、お料理です。
メイドさんのお洋服に着替えて、総長さんの保存袋を失敬したです。
中にお料理セットと、お料理する前の食料に、調味料があるのです。

バーベキューがどんなものか、小梅も知っているです。
前の世界で、総長さん達としおちゃん達が、総長さん家のお庭でやってたです。

「情けないが…このメンバーでは、コウメにメインで頑張って貰うのが、一番だろうな。」
「ですね……。」
「コウメちゃん。アタシ、少しはできるから、頼ってね♪」
『ありがとうです。まずは、誰かにお野菜を買ってきて欲しいのです。』

バーベキューは、お野菜もいっぱい必要なのです。
確か、総長さんは玉ねぎと、ニンジンと、トウモロコシを焼いてたです。
あと、緑のピーマンや、キノコもあったです。

「では、念話を使える、私が行ってきますね。ケイトさん辺りをお誘いすれば、ウサギでも不自然ではありませんし。」
「そうだな、頼む。」
「誰かと一緒なら、大丈夫かしら…お願いね、シオンちゃん。」
『玉ねぎは沢山あるです。キノコも小梅が用意できるのです。他のを買ってきてです。』
「わかりました。」
『レナちゃんとラルくんは、玉ねぎを切って欲しいのです。1cm幅くらいの輪切りでお願いです。』
「わかった。レナ、玉ねぎ切るぞ。幅1cmの輪切りだそうだ。」
「了解！玉ねぎね……切ったらすぐ、水に入れるようにして、なるべく口で呼吸すると良いわよ。」
「？…呼吸に気を付けるべきなのか？」

玉ねぎを切って目に染みるのは、鼻にピリピリ成分が入るから、らしいです。
でも、人間は口も鼻と繋がってるです。
吸いすぎると、気を付けても意味が無いので、注意ですよ。

お野菜はお任せして、小梅は、お肉をどうにかするのです。

猪肉って、臭いが強いみたいです。
きっと、血が着いちゃってるからなのです。
お水でよーく洗って……

量が多いので、ちょっと大変です。
あと、トングで洗うの、難しいのです。
小梅の前肢で、もみもみしちゃダメなのです？
…毛が付いちゃうから、ダメですね。

『よいしょ、よいしょ…お水がすぐ、真っ赤になるです。』
「……レナ、玉ねぎ頼む。コウメ、そっち手伝ってもいいか？」
『ラルくん、お願いするです。』
「此方は任せてね。」

テキパキじゃぶじゃぶ、洗ってくれるです。
人間の手が、少し羨ましいのです。

ならその間に、キノコを生やして…20本あれば足りるですか？
コレはそのまま、焼くのです。
串に、刺しておくだけで良いです。

「終わったぞ。」
『ありがとうです♪』

えっと…お肉は洗っただけじゃ、まだちょっと臭うのです。
総長さんが、お肉の臭み消しには、お酒やニンニクが良いって、言ってたです。
なら、お酒に暫く浸けて置いて、ニンニクやハーブを刷り込んで焼くです♪

『お酒、お酒…ひたひたにすれば良い筈です。』
「浸けておくのか。」
『はいです。しっかり、臭みを取るのです。』

臭いが強いお肉は、本当なら１晩浸けるらしいです。
とりあえず、今日はギリギリまで浸けるです。

この間に、ジャガイモをアルミホイルで、包んでいくのです。
後でホイルごと焼いて、バターを乗せるのが、総長さんのお気に入りなのです。

『戻りました～♪』
『しおちゃん、お帰りなさいです♪』

トウモロコシに、ニンジンとピーマン……

『この緑の棒は…アスパラ？です？』
『はい♪コレにお肉を巻いて焼くと、とても美味しいんですよ！』

そうなのです？バーベキューの時には、無かった気がするです。
でも、美味しいなら、作ってみるのです♪