ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

文字の大きさ
66 / 249
ビビりとモフモフ、冒険開始

全ては安心安全な休日の為に

しおりを挟む
※時は遡りディアドルフ様視点
(未來達がお屋敷を出る辺り)

ルーファスの執務室にて、ソファーに腰掛け、目の前で青くなっている男を見据える。
彼には、この部屋の空気が、冷えきって感じられるだろう。
主に私の機嫌が悪いせいで。

「ルーファス…貴君が『絶対大丈夫だ』と言うから、ミライ達を連れてきたのだがね……?」
「す、すまないディアドルフ殿…子供なら、妻もまだ平気かと思ったのだが……。」

やはりこの屋敷に、2人を連れてきたのは間違いであった。
ミライが演技でアレらをおちょくれる程、元気だったからまだ良いが……。
もし、泣かされでもしていたら、私がこの屋敷の全員を泣かせていただろう。

「貴君のことは、ある程度信用しているが…今日のことで、貴君の妻や長男,使用人が、あの子達に危害を加えるやもしれんな…?」
「わ、わかった。心行くまで、調査でも監視でもしてくれ。」
「話が早くて助かるよ。」

ならばさっさと呼んでしまおう。
窓を1つ開けておかねば。

[デイヴィー、頼みがある。此方へ。]
[ん~?わかった、5秒待って。]

外の空気の流れが、微妙に変化した。
直ぐに出発してくれたのだろう。

今、念話で呼び寄せたのは、家の次男だ。
空間転移は持っていない。
ならばどうやって来るのかと言うと……

ビュォォオオオオッ!!

「わっぷ?!……と、突風?!」
「お邪魔しま~す。お、精霊ちゃんいっぱい♪」

暴風に乗って、空を飛んで来る。
次男は我が子達の中で、一番の風使いだ。
因みに、容姿も一番私に似ている。
毛色が深緑だから、見分けは付くが。

「やっべ。色々舞っちゃった…戻しときますね。あ、お手伝いありがと~。」

着地の際に、風で巻き上げてしまった書類や家具を、これまた風で元の位置へと戻していく。
屋敷に居た、風の精霊達も手伝ってくれているから、場所を間違えはしないだろう。
しかし…部屋や屋敷ごとは吹き飛ばさなくなったか…成長したな。父は嬉しいぞ。

「っ?!ディアドルフ殿…か、彼は?」
「家の次男だ。」
「どうも、父さんがお世話になってます。デイヴォルト・ヴァールフランです。」
「わ、私はシルフィード家当主、ルーファス・シルフィードだ。…デイヴォルト殿、貴殿は…風の精霊達が見えるのか?」
「長いから、デイヴィーって呼んでください。精霊達、見えてますし、難なら会話できますよ。俺、シルフちゃんと仲良いので。」
「し、風の大精霊シルフ様と…懇意の仲、だと……?」
「ええ、お兄ちゃんって呼んでくれます。」
「お、おにい……?!」
「んで、父さん頼みって何?」

ルーファスが混乱しているのもお構い無しに、空いているソファーに腰掛けながら、精霊達と戯れる次男。
このマイペース具合は誰に似たのか……
む、「親父に決まってんだろ」という、三男のツッコミが聞こえた気がする。そうか、私か。

「この屋敷を秘密裏に調査、及び監視してくれたまえ。可愛い子供達に、危害を加えようとする、不届き者が現れる可能性が高いのだよ。」
「調査と監視?…だったら、俺よりジェイクの方が適任じゃない?影から影へ渡り歩いて、覗き見放題の、聞き耳立て放題だよ。」
「それでは、精霊達を驚かせてしまうだろう。」
「あー、成る程。この子達を怯えさせたら、可哀想だもんね。むしろ、協力してもらった方がいい…ってことは適任俺かー。」
「そういうことだ。」
「了解!じゃあ、早速行ってきます♪皆、ちょっと手伝って~。」

精霊達を引き連れ、窓からフワリと飛んだ次男。
あまり人に見られないよう、気をつけてくれたまえよ?

「ディアドルフ殿……貴殿の御家族は、皆規格外なのですかな……?」
「人の尺度では、そうかもな。」

私に比べれば、皆可愛いものだがね。

───────

※デイヴィー視点

さて、可愛い子供のために、お兄ちゃん頑張りますかね。
屋根の上で作戦会議しようか。

「シルフちゃん、出といで~。」
『はーい、お兄ちゃん!』

シルフちゃんは、いつも俺のピアスの魔石に入ってる。
フェザードラゴンの魔石に、俺の魔力を込めた物だ。
魔力をよく貰いに来る、シルフちゃんにあげようと思ったら、中に居させてと頼まれたんだよね。
精霊が魔石に入れるの、あの時初めて知ったよ。

大精霊シルフちゃんの登場で、着いてきてくれた精霊達がザワザワしてる。
人間で言えば、目の前に突然王女様が現れたようなもんだからね。仕方ない。

『し、シルフ様!そちらの素敵なお兄様は、シルフ様の契約者なのですか?』
『お兄ちゃんみたいなものよ。契約はしてないわ。魔力が心地いいから、ちょくちょく貰ってるけどね。』
「いや~素敵だなんて照れるねwお屋敷に居る子は、コレで全員……じゃないね?」
『はい!1人だけ来てません!』

ふむ…シルフちゃんが居るのに来ないなんて…珍しい子も居るもんだね。

「誰かと契約してる子?」
『えっと、ご長男にお仕えしてる子です!』
「へぇ。んじゃ、長男くんは俺が直接探るかな。皆は、お屋敷の中で怪しいことしてる人が居ないか、探してみて。見つけたら、シルフちゃんに伝えてくれるかな?」
『皆、しっかりお願いね!』
『『『はい!』』』

…よし、認識遮断と隠密使って…もう1人の精霊は、2階の陽当たり良さそうな部屋に居るな。
浮いて窓から中見れないかな~。
ダメか、カーテン閉まってる。
……風で少しだけ開けちゃえ。えい。

「くそっ!何なんだアイツは!」

おや…荒れてる男の子発見。
その子を心配そうに見ている、風の精霊ちゃんも居る。

「…許さない……よくも私と母上に恥をかかせたな…!」

んー…こりゃ、黒っぽいな。
たぶん、父さんが面倒見てる子のこと言ってるよね?

「ラルフは奴を信用しきっているし…アンジュも、何故か好意的…どんな手を使った?」

[父さーん、ラルフとアンジュって誰ー?]
[この家の次男と長女だ。]
[ありがとー。]

うーん、自分の世界荒らされるの嫌い系?
弟と妹が心配ってだけじゃなさそう。

「正面からでは無理だ…かといって、ディアドルフを出し抜くのも…なんだ、フィオネ?」

父さんを敵に回す恐ろしさは、解ってるんだね。
…おや、精霊ちゃんが動いた。

『ご主人様、庭の倉庫にある呪いのアイテム、どれかプレゼント装って渡しちゃえば?それなら妨害されないわ!』
「……成る程。やってみる価値はある。」

うわぁ……風精霊は悪戯好きな子多いけど…
あの子、だいぶ問題ありだな。
かなり若いみたいだし、呪いってのがどんなもんか知らないのかも。

「それにはまず…父上を丸め込む必要があるな。」
『鍵持ってるの、お父さんだもんね。…あの倉庫に、異国の本もあったわよね?あの子の国の本が無いか、探したいって言えばいけるかも。』
「そうだな。それで行こう。」

倉庫、ね。
先回りして、お仕置きの為に少し細工しようかな~。

『お兄ちゃん、怪しい人居たって!』
「奇遇だね、俺も真っ黒な奴発見したよ。」
『流石お兄ちゃん♪精霊達が見付けた人ね、料理長さんだって。お料理の話を聞くために、誘拐を企んでるみたいよ。』
「誘拐?しかも目的が料理の話って…そっちは父さんに任せよう。シルフちゃん、ちょっと手伝って。」
『はーい♪』

[父さん、念のため子供達の所、戻ってあげて。大丈夫だとは思うけど、料理長が誘拐企ててるってさ。]
[誘拐?…穏やかではないな。]
[もう1人真っ黒なのが居るけど、そっちは俺がお仕置きしとくよ。]
[そうか、任せた。]

さて、と。
人を呪うことが、どうしていけないか……
その身をもって教えてあげるよ、お坊っちゃん。
しおりを挟む
感想 497

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...