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20:神の巫女 Ⅲ 13歳
しおりを挟む12月31日。
キメンティ王国に、三人の子供が生まれましたわ。
聖女が産んだ、王太子の子。
子供達は、生まれ落ちて1時間で這い回り、もう30分でつかまり立ちをし、生まれて3時間で言葉を流暢に話す程に成長しました。
なぜ知っているのか?
キメンティ王国が『救世主誕生』と、全世界に子供達の様子を配信しておりましたの。
まさかこのような事になるなどとは思っていなかったでしょうね。
「俺は災害」
「私は疫病」
「僕は殺戮」
三人の子供……いえ、もう私よりも大人に見えます。
成人の16歳以上に見えますわ。
それよりも、間違い無く救世主ではありませんわね。
神が『凶事』と言っておりましたもの。
それに『災害』『疫病』『殺戮』などと、国内で起こってはいけない事ばかりです。
見事な『凶事』ですわ。
ここで、配信は終わってしまいました。
私には、神の御告げをした責任がありますので、キメンティ王国との国境付近に参りました。
これは……結界が張られております。
地面から空まで見えない壁があります。
見えないのになぜ判るのか、と言いますと……キメンティ王国内では嵐が吹き荒れているのに、国境からこちらには雨粒1つ越えてこないのです。
真っ黒な空に、吹き荒れる風や雨のせいで中は全然見えませんが、間違い無く『災害』ですわね。
きっと今、この中では『疫病』と『殺戮』も起きているのでしょうね。
王太子は、この様子を見てどう思っていらっしゃるのかしら?
神の御告げを無視して、ご自分の国を滅ぼしたのですものね。
落ち込んでいらっしゃるかしら。
それとも、まだ聖女の腰を抱いて、何とかなるはずだと嘯いているのでしょうか。
最後は貴方と共に滅ぶ国を、私はしっかりと見届けますわね。
それが神の巫女の責任だと思いますから。
後で判明したのですが、聖女は子供を産んだ後にどこかに消えてしまったそうです。
後産も終わり、別室のベッドでゆっくりと休んでいたはずなのに、ですよ。
年が明けた瞬間、煙のように消えたそうです。
現れた時と同じように、突然消えた聖女。
彼女の使命は子供を産む事だったようですわね。
まぁ、これは後で神が教えてくれた事ですが。
だって、それを目撃していたはずの方々は全員滅びてしまいましたので、聞きたくても聞けませんもの。
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