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19:閉ざされた世界 side.レグロ

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胸クソ注意!
今までの事のレグロ視点です。
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 突然家を追い出された。
 アレンサナ侯爵家には、俺しか後継者がいないので、何をしても許される……はずだった。


 レヒニタと付き合い出した時、誰も何も言わなかった。
 友人達は、家格の合わない相手と懇意になると、親や執事に注意されたと愚痴っていたが、俺はそんな事は一度も無かった。
「やっぱり侯爵家の跡取りとなると、俺達とは違うんだな」
 そう言ったのは、同じ侯爵家でも三男だからと伯爵家に婿入りが決まっている男だった。

 そうだ。カリナはコイツの家で家庭教師をしていたな。
 父が再婚相手にと勧めてきたカリナ・フォルテア。
 結婚して1年で別れたとか、女として欠陥があるとしか思えない。
 実際に見てみると、地味な女だった。
 祖父の命令だし、仕方が無いから結婚してやった。


 それから色々有り、カリナをにしてやろうとしたのに、使用人と一緒に失踪しやがった。
 祖父に反対されたので、離婚も出来なかった。

 そのうちに、レヒニタが子供を産んだ。
 正直どうでも良いし、夫婦ではないので俺の子として届け出る気は無い。この頃には全然魅力を感じなくなったしな。

 その代わりにと、乳母は若い女を雇った。
 乳母の母乳が出ないとレヒニタは文句を言っていたが、それはお前がやれば良いだろうが。


 乳母は、夜は俺の世話を熱心にしていた。男爵令嬢だったので、処女だった。
 その時の様子とか色々見て、レヒニタが嘘を吐いていたのは間違い無かった。
 尚更、レヒニタへの情が消えた。

 それとは別の使用人がベッドに忍び込んできたので、ありがたくいただいた。この女はすぐに妊娠してしまい、使えない奴だと思ったが、男爵家出身だったので追い出さないでやった。
 この女も処女だった。
 やはり結婚相手は貴族の方が良い。



 有意義な国王陛下との茶会を済ませ、上機嫌で屋敷に帰ると、使用人が誰も迎えに出て来なかった。
 ご主人様をないがしろにする使用人など、クビだクビ!

 ん? 奥の応接室の前に警備兵が立っている。
 誰か客でも来たのか?
 だが侯爵家の俺よりも上の立場の奴など居ないだろう?
 立場の違いを解らせてやろうと態と足を高く上げて歩き、足音を立てながら部屋へ踏み込んだ。


 なぜ、お祖父様と父が居る?
 まさかソファに座っている華やかで上品な美人は、のカリナか?
 胸は大きいのに胴回りは細く、腰には適度な肉がついて色っぽい。
 いや、しかし抱いている子供は何だ!!

 ソイツが侯爵家の後継者だと?
 俺の子供じゃ無いのなら、侯爵家と無関係だろうが!
「そんなどこの馬の骨ともわからん相手との不貞の証拠を、侯爵家の後継者にすると言うんですか!? それならば俺の子の方が相応しい!」
 には、俺の子がいるからな!



 どこの馬の骨などではなく、カリナの横に居た男は再従兄弟はとこだった。
 勝手に勘違いして警備兵に取り押さえられたレヒニタのとばっちりで、俺まで警備兵に捕まった。
 ふざけるな! 俺を誰だと思ってる!

 あぁ! カリナ! お前だけは、妻のお前だけは俺の味方だよな?
 目が合ったカリナは、それは美しく微笑んだ。
 やはりお前は俺を愛しているんだな。
 俺に相手にされなかったから、淋しくてその男と浮気したんだな。大丈夫だ、許してやる。
 俺はカリナに微笑み返した。

「さようなら。むすめさんと仲良くね」
 カリナが俺に別れの挨拶をする。
 馬鹿な事を言うな。
 むすめ? それは書類偽造が発覚して認められなかったと言ってただろう?
 それなら、俺とレヒニタは他人だ!



 何も荷物を持たずに連れて来られたのは、ほんの数時間前まで居た場所だったが、いつもの豪華な部屋ではなく、奥の裏口に近いひっそりとした場所だった。
 しかも今回は、国王陛下は居なかった。
「突然こんな所へ連れて来て、何のつもりだ!」
 部屋に入って来た男を怒鳴りつけてやった。

「俺を誰だと思っている!」
 いつものように、手厚くもてなすのが礼儀だろうが! しかもレヒニタの子供なんか放置で良いのに、菓子など出してやってる。
 俺の子供が腹にいる男爵令嬢にこそ、温かい飲み物と柔らかいクッションを出せ! 気の利かない奴だな!
「子供も可哀想だろうが!」
 更に怒鳴りつけてやったら、溜め息を吐かれた。

「もうすぐ迎えが来るから、大人しく待っていろ」
 生意気な男はそう言うと、部屋を出て行った。
「王太子殿下に対して、不敬にはなりませんか?」
 男爵令嬢が顔色悪く聞いてきた。さすが貴族だな。王太子の顔が判るのか。
 正直、俺は興味が無いから覚えていなかった。


 王太子については、よく国王陛下に相談された。
 王妃に似て小賢こざかしい男だと、陛下が愚痴を言っていたのだ。
 見た目も王族にしては地味で威厳が無いと嘆いていた。

 俺みたいに華やかで、人に好かれて注目を集める息子が良いと、アレンサナ侯爵家が羨ましいと、何度も陛下に言われた。

 確かに地味だったな。
 俺のように魅力的な人間でないと、人々を指導するのには向いていないのにな。
 可哀想な男だ。


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