友達が欲しいだけなのに

おなつ

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昼休み

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「唯人、一緒に食べよう」


昼休みになり、いつもの場所へ行こうとお弁当を持ち、立ち上がると後ろから峻に声をかけられる。


「え、いつも一緒に食べてる子たちはいいのか?」


キョロキョロと周りをみると、いつもはチャイムがなったと同時に集まってくる陽キャ軍団たちがめずらしくいない。


「うん、唯人と食べたいから」


「そ、そっか」


嬉しい…
友達とお弁当一緒に食べるって、やってみたかったんだよな。


「唯人はいつもどこで食べてるの?」


「俺?えーと…秘密の場所があるんだ、峻にだけ教えてあげるっ」

「っ…」


峻にだけに聞こえるように耳打ちして、ニッと笑う。
まさか俺の特等席を誰かに教える日がくるなんて思わなかったな。
しかも秘密を共有できる友達ができるなんて…

「峻?」

なぜか固まってる峻の顔の前におーいと手を振ると、目が合う。
あ、やっとこっちみた。


「え、あっ、うん」

「何ボーッとしてるの?はやくいこっ」


早く行かないと時間なくなっちゃう。
昼休みはあっとゆう間に過ぎるんだから。
ルンルン気分で、教室を出て階段をのぼる。


「へぇ、こんな所があったんだ」

「そうだよ!ここ、俺の特等席」


屋上扉の前に腰を下ろしてもたれかけると、峻も俺の隣にきて腰を下ろす。


「たしかにここなら人はこないな」

「だろー!」


お弁当箱をあけて、一番好きな卵焼きを1口で食べる。
んーー、やっぱりうま!毎日食べても飽きない!
もぐもぐと味わってたべて、ゴクッと飲ま込むと横から視線を感じる。


「ん、そんな見てどうしたの?」

口周りなんかついてるとか?


「ははっ、唯人ってすごく美味しそうに食べるね」

「えっ、そ、そうかな」


なんか今思うと、峻に食べてる姿と初めて見せたよな。
俺、汚い食べ方とかしてなかったかな、咀嚼音とか…
なんだかさっきの自分が心配になり、恥ずかしくなってくる。


「唯人?」


しばらく黙っていると、峻が心配そうに声をかけてきた。


「あ、あのさっ、俺中学のときから友達とかいなくて、その、と、友達の付き合い方とかっ、よくわかんなくって…だからもし俺に変なところとかあったら、全然言ってくれていいからっ」


下を向いていた視線を峻の顔に向けると、きょとんとした顔から優しい顔になる。


「突然何を言い出したかと思ったら、唯人に変なところなんてあるわけないよ」


唯斗はずっと今のままでいればいいんだよと頭を優しく撫でられる。


や、やさしい…なんだこの男は女神なのか。


「峻って優しいね、俺そんなこと初めて言われたよ」


中学までは、俺のことを変だと言うやつがたくさんいた。
今まではずっとその頃のことを気にしてきてたけど、
さっきの峻の言葉で、どうでもいいやって思えてきた。
自分を変える必要なんてないんだと思ったら心が楽になった。


「もし唯人のことを変なんて言うやつがいたら俺がやっつけてやるよ!だからほら、お弁当食べよっ」


時間なくなっちゃうよと明るく声をかけてくれる峻には感謝しかない。


まじで良い奴だな。
この間まで苦手だと思っていた自分を殴りたい。


そう思いながら、お弁当を口の中にかけこんだ。


弁当を食べたあとは、世界史の先生が癖強いとか、教頭の頭はカツラだとか峻が面白い話をたくさんしてくれた。

あと俺の好きな音楽も聞いてくれたらしい。
唯人が好きそうな曲なんとなくわかったと言って、おすすめの曲も教えてくれて嬉しい。
今日からいっぱい聴こう。


初めて友達と過ごす昼休みはあっとゆう間だった。
気付けばチャイムが鳴る1分前で、2人で慌てて教室に戻った。


















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