友達が欲しいだけなのに

おなつ

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勉強会

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「お邪魔します」

「あら~、いらっしゃい!」


今日は初めての友達と勉強会。
数学が致命的な俺に、峻が俺でよかったら教えるよと言ってくれたので、放課後俺の家で勉強することになった。


「こんなにかっこいい子が唯人の友達だなんて!お母さん嬉しいわ~」

「ははは、ありがとうございます」

「もうっ、母さんは向こういっててよ、峻が困ってるだろ」


峻というイケメンを目の前にして、目がハートになってる母さんをリビングに追いやる。
母さん話すと長くなるからな。


「俺の部屋、階段のぼってすぐ右の部屋だから先いってて」

「わかった」


峻にそう言うと、リビングに行ってお茶の準備をする。


「唯人ったら、あんなにイケメンを連れてくるならいってよ~」

「なんでだよ」

「お母さんこんな格好で、恥ずかしいじゃない」

「はぁ、別にどんな格好でも母さんは美人なんだから気にすることないでしょ」


俺がそう言うとパァっと顔を明るくして抱きついてくる。
苦しいしやめてほしい…


「あーほんっと唯人って可愛いんだから!さすがはわたしの息子、女心をわかっているわ~」

「峻またせてるし、もう行くよ」


母さんを適当にあしらって、お茶を持って2階にいく。


「ごめん、お待たせ」

「全然だよ、お茶わざわざありがとう」



部屋の真ん中に置いてあるローテーブルにお茶を置く。


「よし、やるか」


机に数学の問題集とノートをひろげる。

「ここのページ、ほとんどわかんない…」

授業はちゃんと聞いてるのに、後半の方は頭が追いつかずさっぱりだ。
前に先生に質問しに行ったら、早口で説明されて何かの呪文みたいだったから理解するのを諦めて帰ってしまったし。


「あー、ここはねこの公式を…」

「こうか?」

「そう、正解」

「やった!」


峻は俺のわからないところを1からゆっくり説明してくれてめちゃめちゃわかりやすい。
峻が教えてくれたやり方、忘れないようにしなくちゃ。


2時間くらい勉強して、そろそろ疲れてきた。


「んーーっ」


腕を上にあげて伸びてると、峻が休憩する?と声をかけてきたので、休憩することにした。


「峻って教えるのうまいよなー教師とか向いてそう」

「ふふ、そうかな?唯人が飲み込みがはやいからだよ」


  峻はそういって、俺の頭を撫でてくる。


「峻って頭撫でるの好きだよなー」


優しい手つきが心地よくて目を瞑りながら呟く。


「うん、好き、唯人限定でね」

「峻っていつも俺だけって言うよな」


前も優しいって言ったら、唯人にだけって言ってたし。
峻は人気者だから友達もたくさんいるはずなのに。
…うん、人たらしなんだな。


「だってほんとのことだからね」


「まあ俺も頭撫でてくるやつなんて、峻しかいないんだけどな!」


まず友達が峻しかいないんだけどね。
って、自分で言ってて悲しくなってきた…


「もー、ほんとに可愛い」

「ん、なに?」


峻が小さい声で何か言ったけど聞こえなかった。


「なんでもなーい」


悪戯な笑みを浮かべながらそう言うと俺の頭をぐしゃぐしゃにする。


「わ!やめろっ、」


俺もやり返そうと膝立ちになって峻の頭もぐしゃぐしゃにする。


「ははっ、峻の髪もボサボサー」


笑いながら、峻の顔を見ると目が合う。
俺の顔をじっと見てくるけど何も言ってこない。


「?」


どうしたんだろうと首を傾げると、いきなり腕を掴まれる。


「いたっ、な、なに」


「唯人」


顔近い…峻のイケメンの顔が目の前にある。
しかもなんかちょっと怒ってる?


「ど、どうしたの?俺が頭ぐしゃぐしゃにしたから怒ったのか…?」


いくら自分がやられたからとはいえ、やり返すのはよくなったか…
怒らせてしまったと思い、不安になり目の奥が熱くなる。


「…っ、はぁ、怒ってないよ」


峻は掴んでた腕を離して、俺のぐしゃぐしゃになった頭をなおしてくれた。


「ご、ごめん…」


怒ってないとは言ったけど一応謝り、俺も峻のぐしゃぐしゃになった頭をなおす。


「怒ってないけど、唯人はもう少し危機感をもって」


危機感?なんのだ?
…もしかして峻の嫌なことしたら、ぜ、絶交される危機感か!?


「ご、ごめん、俺もっと危機感もって峻に接するよ」

「えっ、あ、うん」


峻はあまり納得いってなさそうな顔だったけど頷いてくれた。
これからは気をつけないと…
峻いなくなったら俺、またひとりぼっちだ。


峻と仲直り(?)したあとは、もう夕方になってしまっていたため、今日はもう帰ろうかとなった。



母さんはせっかくだからご飯食べていったら、と言っていたけど峻は丁寧に断っていた。




初めての勉強会、初めて喧嘩しちゃったけど、峻との仲が深まった気がしてなんだか嬉しい。



























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