友達が欲しいだけなのに

おなつ

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ーーゴロゴロゴロ



俺は今、布団の中で両耳を抑えて縮こまっている。


よりによってこのタイミングで雷だなんて…
昨日から母さんは友達と旅行に行ってしまい、
父さんは出張で何ヶ月も家を空けてるので今家には
俺一人。


この世の中でも雷が大の苦手で、雷が鳴ってる日は外に出れないレベル。


学校、行きたかったな…
今日は金曜日だから、月曜日まで峻に会えないし。


 ピロン


スマホが鳴り、見てみると母さんから連絡がきてた。


『一応先生にはお休みの連絡いれといたわよ』

『ありがとう』

『こっちは晴れてるのにねぇ』


母さんがいる場所は晴れてるらしい
俺もそっちに連れてってよ…


『怖いならしゅんくんに泊まりに来てもらったらいいじゃない』

『いや、迷惑だろ』

『そんなことないわよ、明日は学校も休みだしせっかくなら来てもらったら?』


うーん…
いきなり誘って迷惑じゃないだろうか。
他の友達との予定もあるかもだし…
でも正直峻がいてくれたらめちゃめちゃ心強い。


ピロン


『唯人風邪?大丈夫?』


峻からも連絡がきた。
学校には風邪で休みますって言ってあるから、峻の心配の言葉に少し申し訳ない気持ちになる。


『実は俺、雷が苦手でさ…』

『え、大丈夫なの?』

『家にいれば割と平気だよ』


ほんとは家の中にいても怖くて仕方ないけど、心配かけたくなくて、平気だと嘘をついた。


ーーピカッ

ドーーンッ


「ひっ…」


外がピカっと光ったと思ったらしばらくして、雷が落ちる音がする。

こ、こわいよ…
ギュッと目をつぶる。

家に雷が落ちることはないと聞くけど、落雷を身近に感じてしまうと、落ちてくるのではないかと不安になる。
最悪なことを想像してしまい涙が溢れる。


なるべく雷の音が聞こえないようにイヤホンつけて音楽を流し、布団もかぶりなおす。


しばらくすると、スマホが鳴った。


え…峻から電話だ…


耳につけてるイヤホンを外し電話に出る。


『唯人!?』

『え、』

『今どこにいるんだ?』

『家、だけど…』


なぜか焦ったような声をしてる峻を不思議に思いながら答える。


『は、今唯人の家の前にいて何回もインターホン鳴らしたんだけど』


え、俺の家の前!?
聞こえなかったのはおそらくイヤホンして爆音で音楽を聴いていたせいだ。


『っ、まってて!』


急いで階段を駆け下りて、玄関のドアを開ける。


「唯人!」

「峻!なんでここに…って、傘さしてこなかったのか!?」

ドアを開けたらびしょ濡れになってる峻が立っていた。


「最初はさしてたんだけど、風が強くて途中で置いてきた」


…なんてことだ。


「と、とりあえず入って!」


峻を家の中に入れて、急いでタオルを取ってきて渡す。


「な、なんできたんだよ、っていうか学校は!?」

「唯人が怖がってると思ったら、授業なんか受けてられないよ」


タオルで濡れた髪を拭きながら、まるで当たり前かのようにそう言う。


「えっ、でも俺は平気だって言っただろ?」


学校サボってまで俺のことを心配してきてくれたのか…?
友達ってそこまでしてくれるものなのか。


「唯人、平気なんて嘘でしょ」


目赤くなってるよ、と言いながら俺の目元にそっと触れる。


「な、泣いてなんかなーー」


ーーゴロゴロゴロ


「ひゃっ」


突然の雷の音にびっくりして耳を手で押さえ、目をギュッとつぶる。


「ほら、怖いんでしょ」


峻はそう言うと俺の腕を引いて、自分の腕の中に閉じ込める。


「こ、怖くなんかないよっ」

「俺の前では強がんないでよ」


ポンポンと安心させるように優しく背中を叩かれると、さっきまで張り詰めていた神経がだんだんと
落ち着いてくる。


「…ほ、ほんとは、峻がいてくれたらなって思ってた、でもそんなこと言ったら迷惑かと思って言えなかったんだ」


峻の服の袖をギュッと握りながら、自分の気持ちを正直に話す。


「まぁ、唯人のことだからそんなことだろうと思ったよ」


峻は少し呆れたような顔をしてそう言うと
でも、と続ける。


「これからは何かあったら絶対に俺に言うこと、俺に嘘はつかないで」

「うん、ごめん…ありがとう」


俺も峻に隠しごととかされたら傷つくもんな…
逆の立場だったら、と思うとやっぱり悲しい。
友達なんだから気なんか使わず何でも話してほしいものだよね。

…よし、これからは気を付けよう。



峻に頭を撫でられながら、そんなことを思った。


















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