友達が欲しいだけなのに

おなつ

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お泊まり①

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「そ、それでさ、峻が迷惑じゃなかったら今日家泊まっていかない?」


もう隠し事は嫌だったから素直に聞いてみる。
断られても別にいいや!しかたないし。


「え…いいの?」

峻は驚いた顔をしながら聞いてくる。


「峻がよければ、だけど…泊まってくれたら嬉しいなって。あ、でも迷惑だったら全然断ってくれていいーー」

「そんなのいいに決まってるじゃん、明日まで唯人と一緒にいれるとかめっちゃ嬉しい」


俺が最後まで言う前に、峻が抱きついてきてそんなことを言う。


「く、くるしいよ…」

「あ、ごめん…」

抱きしめる力が思ったより強くて、苦しくて峻の背中を軽く叩きながら言うと、すぐに離してくれた。


「いいのか?いきなり泊まるなんて」


泊まってくれるのはすごい嬉しいけど峻の両親とかは大丈夫なのか?


「うん、俺の両親2人とも仕事で家にほとんどいないんだ」

「え、そうなの。俺の父さんと同じだな」


峻の両親のことは初めて聞いた。
いつも俺の話ばかり聞いてもらってるから、よくよく考えると峻のこと全然知らないな…
って俺、友達失格じゃない!?


…よし、!今日は峻のことをいっぱい知ろう!
泊まりだから時間はたくさんある…!

そう心の中で意気込んでいると、峻は不思議そうな顔でこっちを見てる。


「峻!今夜は寝かせないからな!」

「…えっ、それって…」


なぜか顔を赤くしている峻。
熱でもあるのか…?
そういえば雨に濡れて…、って、峻が風邪ひいちゃう!


「峻、すぐお風呂行ってきて!ごめんな、俺気が利かなくて」


なぜ早く気づかなかったんだ。
びしょ濡れになってたのに、お風呂も貸さずに自分の話ばかり…
俺のバカ…!


「えっ、あ、うん」


峻の腕をひいて、脱衣所まで案内する。


えーと、服は俺のじゃ小さいから父さんのを着てもらって、下着は今から洗濯して乾燥機かけたら、まあすぐ乾くだろう。


峻がお風呂に入ってる間に色々と準備をする。
てか布団とか、出さないとだよな…
さすがに男2人で同じベッドはきついよな?


「あ、あった」


クローゼットの中に入ってる布団を取り出す。
お、重い…前が見えない…
何回も往復するのがめんどくさくて、いっぺんに運ぼうとしたらこのありさま。

部屋を出る時にドアの隙間が狭くて手こずっていたら、いきなり手元が軽くなる。


「え?」


顔をあげると峻が、俺の手元からヒョイと布団を持ち上げる。


「唯人ってば、重いもの運ぶ時は俺に言ってよ」

「あ、ありがとう…」


お風呂上がりの峻は髪も濡れていて、なんだかいつも以上にキラキラしていて色っぽい。
さすがイケメン…

あんなに重かった布団も峻が持つと軽そうに見える。
イケメンなのに背が高いって、前世でどんな行いをしたんだよ…


「どうしたの?じーっと見てきて」

「え、いや、背高くて羨ましいなーって」

「唯人、背高くなりたいの?」


峻は布団を床に置きながらそう聞いてくる。


「当たり前だよ」


逆に男で背低い方がいいなんて人いないだろう。
チビってバカにされるし、女子にはモテないし、高いとこにある物取れないなんて惨めでしょうがない。
言い出したらキリがない…


「唯人はだーめ、今のままが1番なんだから」


ギュッと俺を抱きしめながらそう言ってくる。


「でも、背高い方がかっこいいだろ」

「俺はかっこいいよりも、今のかわいい唯人が好きだな」

「か、かわいいってなんだよ…」


俺はかわいいよりもかっこいいって言われたい。


「唯人は拗ねてる顔もかわいいね」


頭を撫でながらそう言われる。
かわいいって言われるのは嫌なはずなのに峻に言われるとなんだかムズムズする。


「も、もういい!それよりご飯たべよ!俺がつくるから待ってて!」


時計を見るともうすぐお昼だ。
2人でリビングに行き、峻にはソファに座って待っててと言って俺はキッチンに行く。

ポットに水を入れて、お湯を沸かす。
その間に戸棚から出したカップ麺の蓋を開けてお湯が沸くのを待つ。


「ふはっ…まって、」

横から笑い声が聞こえると思ってみると峻がお腹をかかえながら笑ってる。

「な、なんだよ!」

「唯人、はりきって何作るんだろって気になって見にきたらカップ麺って…ははっ!」
 

そ、そんなに笑わなくても…!


「か、カップ麺だって立派な料理だぞ!」

「まあ、唯人は料理できなくても俺がやるからいいんだけどね」


峻はそう言ってよしよしと俺の頭を撫でる。


「ば、バカにしてるだろ」


ふんっ!としながらお湯をカップ麺に注ぐ。
3分タイマーをかけてあとは待つだけ。
たった3分待つだけで美味しいラーメンが食べれるなんて最高じゃん。


「「いただきます」」


3分たって、蓋を開けると熱々のラーメンが出来上がってる。
フーフーと冷まして、ズルっとすする。


「うま!」

やっぱりカップ麺最高!いつもは母さんが作ってくれるからたまに食べると美味いんだよなー。


「たしかに、美味しい…」


ちらっと伺うように峻を見ると少し驚いた顔をしている。


「ほら!だから言っただろ?でも俺初めて、友達とラーメン食べたけど、今まで食べた中で1番うまいかも!」


いつもは1人で食べてたから、今初めて峻と食べるラーメンはすごい特別な感じがする。


「俺もこんな美味いラーメン初めてだ…」


峻がカップ麺の良さをわかってくれて嬉しい。
友達と食べるとより一層うまいって言うのもわかったし大満足だ。


お腹もいっぱいになり、そのあとは峻とテレビを見たりゲームをしたりしてダラダラ過ごした。


ゲームはほとんど俺が負けてたけど…








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