アップルパイ

プラノ

文字の大きさ
8 / 8

番外編 《シフォンケーキ》

しおりを挟む
まさとと出会って、1年が経ち同棲にも慣れてきた頃だった。

今日は日曜日。朝起きてからまさとがなにか台所で作っているみたいだった。

コーヒーの香ばしい香りがだんだんと近づいてくる。

「あ、拓也さん、おはよう。」

今日も天使が挨拶をしてくれた。
ちゅ、っと耳に短くキスをする。

慣れない俺は少し赤くなってしまった。

「...昨日のこと思い出しちゃった、拓也?」

そう意地悪に彼は囁いて、コーヒーを俺に渡してまた台所へ言ってしまった。

「痛たた....」

コーヒーを飲むために起き上がったが、腰が痛くて動けなかった。

昨日は本当に....

俺が残業から帰ってきて直ぐに、俺をベットへ連れていき

「最近できてなくて、俺辛いです...明日は休みなんですよね?だから、しましょ」

と言って直ぐに俺を溶かした。

何十箇所と跡を付けられて、途中できた鈴木からの電話に出ながらしたり、その電話で聞いた話で嫉妬して激しくしてきたり...


「散々だ....まさとぉぁあ」

動けない俺は彼を呼び、少し甘える。

「ちょっと待ってくださいー、」

なんだか不機嫌そうに言う。

「またなんか作ってくれてるの?...来てぇぇぇぇァァァァ」

いつもだったら直ぐに辞めるがなんだか今日は困らせたい気分だった。

足音を立ててまさとが寝室へ来る。

「なんですか...今日はやけに甘えん坊ですね。」

やっぱりちょっと怒っている。

「何作ってるの」

「...今は教えません。」


彼も意地悪してきた。「んんんん...」とおじさんらしからぬ声を出して抱きつく。

「しょうがないですね、もう...」

そう彼は言って、俺の顎をクイッと上げて、
舌を絡めキスしてきた。

「んん...まっ....いや.....んぁぁ...っ」

俺が少しだけ抵抗するが、彼は辞めない。

「拓也さんが煽ってきたんですよ....?」

そう言ってまた台所へ行ってしまった。

まさとが邪魔されたくない時だから多分お菓子だろうな....

今日は何作ってくれるんだろう。

そう思いながら、彼の後ろ姿を眺めていた。


「也さん...?拓也、起きて。」

耳元でまた好きな声が響いた。
寝てしまったみたいだ。

「やっぱり、疲れてます?昨日やりすぎましたね笑」

申し訳なさそうにこちらを見て手を掴んでリビングまで連れこられた。

テーブルの上には少し茶色のシフォンケーキ。それとレモンティーだった。



「なんだっけこれ...シフォ...?」

と言いかけると、

「シフォンケーキです。前にも作ったでしょ」

俺がまた食べたいと言ったことを覚えていたみたいだ。

「そうだったな。はは...」

笑いながら席に着こうとするが椅子がない。
いつもは2個あるはずだが、まさとが座っていて...俺のはない。

テーブルの上にあるレモンティーとシフォンケーキも一つずつしかない。

「椅子は?」

そう聞くと、

「ここ。来てください。」

と言われ、彼の膝の上に彼の方を見て座った。

「....近くない?」

目を逸らしながら聞くと、軽くキスされて
「近くないです」と意地悪な笑みを浮かべながら言ってきた。

すると、シフォンケーキをフォークで切り取り食べさせてくれるのかと思ったらまさとが自分の口へ放り込んだ。
そして、俺の口へそれを移してきた。

「んぐっ.....ぷはっ...」

いつもよりも甘くて、美味しかった....ケーキがな...

「美味しい?」

そう聞いて今度はレモンティーをまた同じように食べさせてきた。

30分くらいかけて1切れのケーキを完食した。
なんだか、毎回お菓子ができると食べ方が変わっている気がする。
初めは普通だったのに、全部あーんだったり、今回は口移し....

いつか、ヤッてる時に食べさせてくるんじゃないかって思っている。


そんなことを考えていると、彼が


「はい、拓也さん。」

と言ってプレゼントを渡してきた。

「なんで...?」

「やっぱり覚えてないんですね...、記念日ですよ、今日。」


仕方ないなぁ、みたいな目をしてこちらを見てくる。

「ありがとう。毎日幸せすぎて忘れてた...もう一年か...」

早いですよね、とまさとは言う。


「まさと....」

俺は彼の名前を呼んで、頬にキスをして、

「愛してるよ」

そう呟いた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

情けない男を知っている

makase
BL
一見接点のない同僚二人は週末に飲みに行く仲である。

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

ランドセルの王子様(仮)

万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。 ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。 親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。

処理中です...