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第六章 【二つの世界】

6-114 報告1

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「あの……ルーシーさんは私たちに協力をしてくれたんです」




ハルナの答えとルーシーの態度が、ステイビルの頭の中ではつながらない。
そこに先ほどのサヤのルーシーの態度を加味したとしても、余計にその情報がより一層乱雑になっていくだけだった。
ステイビルは再び考えることを止め、さらなる情報を得るべく、ハルナの言葉を待った。



ハルナたちは、これまでに王都内で起きたことをステイビルに伝えた。


まずは、イナたちの牢獄の中に入った後の事情から説明する。

イナたちは、やはり兵から乱暴を受けそうになっていた。
そのことに危険を感じたイナが、モイスの隠れていた指輪に呼びかけ助けてもらっていたという。


それはサヤの予想通りだった。
前の世界でも亜人族の売買が行われていたことや、魔素の少ない場所でわざわざ収容させていることなどから、抵抗させる気力を失わせ購買者へ渡していたのだろうと判断していた……が、その推測は正しかった。


続いてハルナが、城内で見たことを伝える。
まずは、探していた”盾”が見つかったことを伝える。

ステイビルはそのことに対して、安堵の表情を見せる。
二人に対しては然程の心配はなかったが、自分が迂闊にあるならば城の中にと言ったために、大切なで重要な協力者に危険な目に合わせてしまうことになったらという思いはあった。
できれば、そんな危険な状態に自ら飛び込んでいったのであれば、何か有益な行動であって欲しかったとステイビルは願っており、無事に戻ってきたことと目的が達成できたことに対してステイビルはホッとした。



「そして、この時にルーシーさんが手伝ってくれたおかげで王の部屋までたどり着くことができたんです」


(であれば、なぜ……)


ステイビルはルーシーの方を改めて向き合ってその答えを聞こうとした。
そこで、再びサヤが割り込んでくる。


「でもね、こいつ……自殺しようとしたんだよ。王国を裏切ったケジメとしてね」



自殺という言葉に、ステイビルは目を丸くする。
しかし、ルーシーの行動は確かの王国を裏切った行動である。
良くて命までは……と言ったところだが、現在の王国の判断を考えるともっと最悪な罰を与えられることも考えられる。




「ルーシー……で、ですが、どのようにしてルーシーを助けていただいたのですか!?」



「はい、フランムちゃんから助けて欲しいって言われて、すぐにモイス様に連れて行ってもらったんです。ルーシーさんが建物の窓から飛び降りていたので、急いで周りに氷の筒を創り、下から風で押し上げたんです」


「……え?」


ステイビルはハルナが精霊使いであることは予測していたが、驚いたところはその別なところにあった。



「氷と……風の力で?……それは、ハルナ様お一人で?」


「え?あ、はい……そうですけど?……あれ、言ってませんでしたっけ?」


「まぁ……今さらね。隠してもどうしようもないしね」


横からサヤのフォローになっていない言葉が聞こえ、ステイビルの驚いていることが事実だと確定した。







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