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第六章 【二つの世界】
6-200 違和感10
しおりを挟む「よく来られた、キャスメル殿。西の王国へようこそ」
「突然の訪問にも関わらず、迎え入れていただいたことに感謝いたします……カステオ”王”」
王という言葉を口にする時に、キャスメルの胸には締め付けられる痛みが生じる。
自分が到達できなかった地位の名を口にする度、その痛みはこの身体に襲ってくる。
もともと、ハルナとエレーナに先に出会ったのは自分だった。
その理由は決して良いものとは言えないが、初めに好意を寄せていたのは自分だった。
だから、王選に同行する精霊使いはあの二人となるように手を回してお願いをしていた。
だが、その者たちの力か努力が足りなかったためか、自分の望まない結果となってしまった。
そのため、初めの頃の王選の旅は、キャスメルにとって辛い時間が続いた。
仲間との軋轢が生じ、一緒の時間を過ごすことが苦痛になっていた状態を、上手くまとめてくれたのは一番弱々しかったクリエだった。
それ以降、何かとキャスメルの世話を焼いてくれるクリエは、キャスメルの心の支えとなっていき、キャスメルのパーティの中でも中心的な役割を担っていった。
そのおかげで、それ以降の王選の旅は差し障りなく進めていくことができた。
しかし、今回の件でも協力してほしかったのだが、クリエは何も言わずにキャスメルの傍からその姿を消したのだった。
そのことを思い出すと、少し恨みにも似た怒りの感情が沸き上がってくるが、今はその状況ではないと気持ちを静めていく。
カステオはわずかなキャスメルの心情の変化を察して、本来の話題に切り込んでいく。
「キャスメル殿……私たちの元にも東側の状況は入ってきております。この度の結果、西の王国に手を貸していただいたキャスメル殿になんと申し上げてよいやら」
「カステオ様……そのようなお気遣いは無用です。今回の結果は私に人望と力が足りなかった結果でしょう。ですから、今回の件は私の不徳の致すところなのです」
そう告げるとキャスメルは自信なく、視線を床に向けてしまった。
その様子を見たカステオは、側近の者に目で何らかの合図を送った。
「顔を……お顔を上げてください、キャスメル殿。とはいえ、あなたはまだ東の王国にとって重要な人物。この場では問題ございませんが、そのような顔つきをされていてはキャスメル殿の沽券にかかわってまいります。ささ、どうかお顔を上げてください」
その時、この場に新しい人物が姿を見せた。
綺麗なドレスと宝石を身に付け、手には先端に大きな宝石の付いたロッドを手にしていた。
「……ご無沙汰をしております、キャスメル様」
「……ニーナさま?」
キャスメルが半信半疑でその名を口にしたのは、自分の記憶の中にあるその人物とはかけ離れた容姿をしていたためだった。
キャスメルが知るニーナは、しっかりとして今よりも幼い感じの女の子だった。だが、今目の前に現れたニーナは成長し外観はやや大きくなってはいるが、何かの病気に罹ってしまったとも思えるくらいに痩せ細ってしまっていた。
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