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第六章 【二つの世界】
6-298 すれ違いの情報
しおりを挟む「――そいつの言うことに耳を貸すんじゃないよ!!」
ハルナはサヤの攻撃に素早く反応し、再びサヤの攻撃を防御するだけの行動に移る。
そして、また同じことの繰り替えしになりかけることを阻止するために、ハルナは今考えていることをサヤに伝えた。
「サヤちゃん!私まだ、盾とつながっていないよ!……わっ!?」
そう告げても、サヤはハルナに向かって槍を振り回すことを止めない。
ハルナその続きを、サヤの攻撃を避けながらも続けていく。
「私ね、この世界の崩壊を防ぐために戻ってきたの!盾の創造者からは、サヤちゃんたちを止めることがその唯一の方法なんだって!」
その言葉を聞き、ようやくサヤは攻撃の手を止めた。
手にした盾は、地面に突き立てもう片方の手は腰に当てた姿勢を取った。
「……なんだいそりゃ?アタシがこの世界を壊そうとしてるって聞こえるんだけど?」
「でもサヤちゃんは、既にその剣とつながっているんでしょ?その剣の能力で何をしようとしてるの?」
「それは、アンタとその盾の行動を止めるために手を組んだんだよ」
「え?――っと!?」
サヤの返答に、ハルナは一瞬動きが止まってしまい、サヤの攻撃が胸元をよぎっていく。
盾を止めている皮のベルトの表面の薄い皮にサヤの攻撃が届いていた跡が残っている。
ハルナは後方へ飛び、一旦距離を取ってサヤの攻撃範囲から抜け出した。
今回は高さを取って逃げるのではなく、声の届く範囲で距離を取ったのは、サヤの攻撃のパターンが本気で自分を攻撃しているわけではないと気付いたからだった。
サヤは、常に上半身だけを狙ってきており、そこにはいつも背負っている盾のベルトを切ろうとしていたのだと気付いた。
そしてハルナは、自分の知らない何かをサヤが知っていると感じ、それを得るためにもサヤの近く煮る必要があった。
サヤも、ようやくハルナが自分の意図に気付いたと感じ、サヤは再び攻撃の手を緩めた。
「サヤちゃんは……一体、何を知っているの?」
「アタシが知っているのは、アンタの盾がこの世界を壊そうとしているってことらしい。そのためには、莫大なエネルギーが必要だから……ハルナ。アンタは盾に狙われているんだよ」
「盾に……狙われてるの?……私が!?」
そう反応するハルナの頭の中に、盾の創造者の声が止まらない。焦っている感じはないが、サヤの言うことを信用してはいけないという内容を何度も何度も繰り返し、ハルナに警告をしている。
しかしハルナはその盾の声を意識の奥へ押しやり、サヤの言葉の続きに耳を傾けた。
「そうみたいだね。アンタの能力は特殊で、その量も普通じゃないんだよ……知ってると思うけど、あのラファエルたちよりもその力は上で、この世界では神をも超える存在なんだってさ……アンタも、アタシも」
「サヤちゃんも……」
「そう、普通の人間にはこの剣と盾に繋がることなどできやしないんだよ。もしつながったとしたら、その存在はすぐに耐えきれなくて消滅しちゃうからね」
サヤはそう言って、自分の話を聞く体勢になったハルナに話しを続けていく。
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